第零章
地球異変
それは突然やって来た。
東京都千代田区。国会議事堂、皇居、秋葉原。他にも数々の名所があるこの地は、東京の中心と言っても、過言ではないだろう。そんな千代田区では、昼でも沢山の人が行き交っていた。
すると突然、大きな揺れが人々を襲った。地震速報のけたたましい音と、人々の悲鳴が飛び交う。そしてその揺れと共に、一つの建造物が現れた。それは、大きな扉だった。縁に豪華な装飾品が施されたその扉は、この世の物とは到底思えない、異様な雰囲気を放っていた。当然の如く、街は大混乱に陥った。
「え…何あれ?」
「扉…?」
若者はスマホのカメラを扉に向け、SNSには扉の画像や映像が溢れ返った。出現から3分と経たない内に、TVには速報が流れた。
「こちら、千代田区上空です!見て下さい!巨大な扉が出現しています!この扉の正体はいった…え?…嘘?!…は、はい!…えーたった今、速報が入りました!この扉は、世界各地に出現している模様!繰り返します!この巨大な扉は、世界各地に出現している模様です!」
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「総理!外にはマスコミが押し寄せています!」
「分かっている!今アメリカのクリード首相に連絡を取っているところだ!」
国会議事堂が近いということで、扉について、既に首相官邸に情報が入っていた。当然この事態を静観なんて出来る筈もなく、その上、世界同時に同じことが起こっておるなんて、混乱する筈もなかった。
「い、いいい一体、ななな何がおお起こってるんですかかか!?!?!?」
「わしに聞くな!お前は外務相だろうが!!!とっとと会見でも開いてろ!!!」
「へ?あ、は、はい!!」
自分が外務相だということにようやく気付いた野々村が慌てて部屋を出て行くのを横目に見ながら、文字通り岡井は頭を抱えていた。
「くそっ!!ただでさえ今は立て込んでるのに、なんだ扉って!!」
岡井内閣は、歴代で見ても比較的評判の良い内閣だったが、つい最近共民党の大物議員の不祥事が発覚し、支持率が段々低下してきていたのだ。
「…いや、待てよ?」
この扉のお陰で、不祥事については一切忘れ去られている筈だ。この扉について適切な対処をすれば、支持率が元に戻るどころか、更に上げることも出来るかもしれない。
このチャンスを逃す訳にはいかない。
「早く繋がってくれ…!」
岡井は、未だに始まろうとしないクリードとの通話画面をソワソワしながら見ていた。
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