形勢逆転
タルタロスが俺の中に取り込まれていく。
俺の想像をはるかに絶する痛みが体中を襲う。
怒り、悲しみ、憎しみなどの感情も魔素を通じて伝わってくる。
昔の俺が味わった苦しみがまるで走馬灯のように思い出される。
〈マスター、取り込んだ魔素量が規定に達しました。【イデア】の封印の第一段階を解放します。それと同時に【固有スキル】も追加されます。〉
その言葉と共に一気に痛みから解放される。
荒地を囲んでいたタルタロスは跡形もなく無くなっていた。
「お前は、、本当に魔人か?」
タルタロスを取り込んだ俺にウェンティが問いかけてくる。
「、、、魔人ではないかもしれない。俺は"地獄"そのものだ。」
「ふーんわたしには関係ない。双風の風〈神1級〉!!」
ウェンティは俺に魔法を放つ。
「そんなものじゃ、、、俺には届かない。」
「な!片手で相殺だと!?」
「じゃあ次は俺の番だ。固有スキル【蓮華】〈魔〉。」
そう言いながら俺は手から小さな火の玉のようなものを放つ。
「な、何?」
次の瞬間、その火の玉が爆発し、ウェンティの足を怪我させる。
「くそ!しくじった、、足の腱をやられた」
「お前は少しおとなしくしてろ。俺が全部終わらせる。」
そう言い残した俺はエアエディター〈神1級〉で空を飛んで、うちの軍とアンデットの軍が戦っている戦場の真上に来た。
「なるほど、敵は何か興奮剤?のようなもので覚醒しているな。」
(俺の固有スキル【蓮華】は地獄の炎を自由自在に操ることができるというものだ。だから、正直、ここにいるものたちを一瞬で殺すことも容易いだろう。)
「しかし、俺はこの荒地という国を再建したいのでな、労働力が必要なんだ。それと、閻魔からも殺しすぎるなと言われているしな。、、、とにかく、早く終わらせなければ。」
俺は空中からおそらく敵の大将がいるであろう、本陣に降り立つ。
「なに!?お前は誰だ?」
高位の魔術師のような風貌のガイコツがこちらに話しかけてくる。
「あ!お前がドライか?」
「、、、なるほど、お前が最近噂の魔人か。
どれほどの強さなのか実に興味深い。」
どうやら戦う意志を見せるドライ。
「ふん!お前は見る目がないようだな」
「ほざけ!すぐにかたをつけてやるわ!
ダークネス〈天2級〉!!」
その瞬間、足元の暗闇から無数の手が俺の足を引っ張ってくる。
「はははは!魔人とやらもどうということもないな!それは、掴んだら一生、手を離さない高位の黒魔術の一種だ!足でも切り離さないか、、ぎ、、り」
俺はすでに炎で手を焼き切っていた。
「お、お前、、その力は一般の"魔人"が手にしていい力ではないぞ、、、」
「まぁ、そうなるかもしれないが、あいにく俺は一般の魔人ではないのでな。では容赦なく行かせてもらおう。」
(蓮華!)
俺はドライを一気に燃やす。
(うん?なんかあっさりしてるような、、)
「ふはははは!私はリッチ、骨であると同時に闇の力に対する免疫を持っている!それが地獄の炎だと言うのなら私には効かな、、うわぁぁーーーー、、なんでだ!なんでまだ俺 は焼かれているんだ!」
ドライは悶え苦しむ。
「地獄の炎はな、、、闇の力かもしれないが、、、それと同時に罪人を裁く炎でもあるんだ。だから、聖なる力も同時に宿している。ここで提案がある。」
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