同盟成立
〈了解です。マスター〉
その言葉と共に俺の頭の中では何か扉が開く音がした。
その瞬間、俺は自分の意思を失いアフロディーテを抱えたまま、鎌で受け止めるだけが限界だった空気の圧力の塊を鎌で一気に吹き飛ばした。
「うおぉーーーーーーーーーー!」
"俺自身"がそう叫んだあとに俺は気を失った。
俺は木の部屋のベッドの上で目覚めた。
おそらく、ツリーハウスのうちのどこかだろう。
少しボーっとしていたところ、部屋の正面にあるドアがゆっくりと開く。
「あ、あんた起きてたのね」
アフロディーテが部屋から入ってきた。
タオルなどを持ってきているようだ。
「今、俺が気を失ってから何時間くらい経った?」
「まぁ、、大体8時間くらいかしらね」
それから、俺は彼女から俺が気を失ったあとの話を聞いた。
「まず、あんたはサンの"最終技"のエアープレス(天3級)を弾き飛ばして、木に穴を開けたわ、あと急に叫んでたくさんの魔素を放出した。」
「それは、、迷惑をかけたな、、すまない!」
「いやいや、それはこっちのセリフ。サンの馬鹿がやったことが原因なんだから」
「で、結局そいつはどうなったんだ?」
(多分、サンはドライアドの中で一番強かったからその分プライドも高かった。だから、あんなことをしたんだ。、、、多分落ち込んでるんだろうな)
そんな俺の生やさしい考えは次の一言で全て吹き飛んだ。
「死んだわ」
あたりがほんの少し静かになったように感じる。
彼女自身は普通な感じに言ったつもりかもしれないが、俺にはとても残酷な響きに聞こえた。
いや、おそらくまだ若い女の子がそんなことをいったからそういう印象を受けたのだろう。
「、、、あいつはドライアドの命と引き換えに使う"最終技"というものを使ったの。命と引き換えにとてつもない力を得るのものね」
その顔には少し寂しさを感じた。
「お前は悲しくはないのか?」
「私は、、、悲しくはないかな。あいつは最後あんたを道連れにするような外道だったわけだし、、、それにあんたの方がカッコよかったし」(ボソッ
「うん?何か言ったか?」
「い、言ってない!!そ、それよりも妖精族と3部族でまた新たな同盟を作るんでしょ!
早く来なさい!」
「よっとっと!」
俺はベッドから無理やり起こされて、手を引っ張られて部屋を出た。
そこはツリーハウスなどがずらりと並んでいる妖精族の村の一番奥にある建物だった。
俺はアフロディーテと他愛もない会話をしながら手を引かれるままに歩いて行った。
しばらく歩き、大体、村の中央にきたというところにはカインド、クレバー、パワーの3人がいた。
「あ、ああ閻さん!!お体は?どこも怪我はしていませんよね?」
「お主は何をしておったんじゃ、、全く」
「でも、無事よかったです!」
3人が一斉に喋り始める。
「というか、他のゴブリンとかは今どこにいるんだ?」
「ああ、それなら今は外で待機していますよ!だから、この場には我々3人で参りました!」
カインドが答えた。
「ああ、そうなのか」
(しかし、今からは何をするんだろう。)
「あんたには今この場で盟主譲渡の義をしてもらうわ!」
よかった。素直にそう思った。同盟を結べばよりこの戦争の勝利に近づくからだ。
(いや待てよ、、、そうなると、、俺また寝なくちゃなんないの???)
「あ、アフロディーテ、そっちの妖精族は俺が盟主になることに反対してるやつとかいないのか?」
「うーん、まぁサンが暴走したのを止めてくれたのをみんなも見てたから、みんな納得してると思うよ!!」
笑顔で答える彼女は実に可愛らしい。
(まぁいいか、、、ロキには起きてから話を聞こう。)
そう決めた俺は妖精族に向けて声をかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます