いざ、異世界へ②

「お前には【フリングホルニ】に属する世界に転生してもらう!!」

「は?」

僕は聞き返した。

「ああ、急な話で申し訳ない。一から順に説明する。まず、先ほどから言ったようにこの世界には4つの世界があって下から順に【イデア】【プリングホルニ】【現世】【上界】というふうに割り振れ、それらは生き物のように循環している。まぁ【上界】は時間が止まっているから除くがな。ここまでは先ほど話したとおりだ。そして、【上界】にいる神々にはそれぞれ持ち場の世界がある。我や【暗黒神ヘル】のように【上界】など全ての世界に干渉する権利をもつ【上級神】もいれば現世だけを持ち場とする【中級神】などもいる。それぞれの神がそれぞれの世界の管理を任されているんだ。そして、我や【上級神ヘル】などの【上級神】は自分の力を預けた存在を【プリングホルニ】、【現世】に送り込むことができる。我々は【聖典】、まぁ言うなれば神々の法律みたいなものだ。それの力によって、下位の世界に積極的に介入することはできないんだ。だから、自分の力を預けたものを送り込むことで直接世界に干渉するんだ。そこでだ、お前に眠る力を完全に制御するにはまた別の"力"で押さえつけるしかない。」

(閻魔大王って結構すごい神様なんだな、、、サタンも従えてるし)

「じゃあ僕は閻魔からその"力"を受け取って、【プリングホルニ】の世界に転生すればいいんだな?」

「ああ、理解が早いとこちらとしてもやりやすい」

「何か俺がすべき目標みたいなものはあるのか?」

僕は咄嗟に言った。でも、言った自分ですら違和感を感じる発言だった。

「いや、、、力を封印するために転生させるだけだからなぁ、、、あ!でも多分あっちの世界にも悪いやつはいるからな、、、そいつらを倒してくれたら助かるな」

閻魔は満足そうに呟いた。

「それと転生する前に、いくつか条件がある。

条件①むやみやたらに人を殺さないこと。

条件②先ほど話した世界のことわりについては一切話さないこと。

条件③因果律(時空や世界そのもの)を歪ませる力の行使をしないこと。

これさえ守ってくれれば大抵は大丈夫だ」

(なるほど、、、人を殺さないようにか、、、)

「じゃあ、お主が転生する世界についてと今から与える力について説明する。【プリングホルニ】の世界にはお主がいた【現世】とは違い、科学が発展していない、代わりに"スキル"が使える。そして、様々な種類の民族がいるということも補足しておこう。まぁその他のことは向こうで学ぶなりしてくれ。我も【プリングホルニ】の中でもどの世界に転生するかはわからないからな。じゃあ次に肝心の"力"についてだな、、」

僕は口を挟む。

「ちょっとまて、その世界の住人自体はどんなスキルを使っているんだ?」

「ああ、すまない、まずスキルというのは一つの根本的な柱からなり、自分の中にある【MP】を消費して使う。だから、その世界の住人たちは生まれた最初からスキルの柱、【スキルツリー】を持っている。その【スキルツリー】を進めていくことによってスキルとMPの保有量が手に入る。そして、それは基本の4つの柱、火、水、土、木というものがある。この4つの属性に大体60%の人々が振り分けられる。でも、たとえば【ドライアド】の種族だったらある程度は木属性になるなどで種族で決まっている場合が多い。まぁ中には2個持ちや3個持ちもいるらしいがな。そしてその次に闇、光、ハイブリッド、メディカルの4つがある。これらには大体30%が振り分けられる。光、闇は汎用性が高く、攻撃に適している属性だ。ハイブリッドは基本の4属性、全てが使える。メディカルはその名の通り、治癒することができる。基本の回復魔法は誰でも習得可能だが高度なものになってくるとメディカルしかできない。最後に、上位10%から5%が【ユニーク属性】だ。これはその属性によって全く違うため一概に説明はできないが、たとえば溶岩を操るなど基本属性の上位互換になるものもこれに含まれる。」

「じゃあ、話の流れからすると、僕はユニーク属性をもらえるのかな?」

「いや、お主は火属性じゃよ、、、」

「へ?」、、、、、







「、、、ガハハハなんて嘘じゃよ、お主が受け取るのはユニーク属性である【地獄の覇者】じゃ!!」

「、、、、おちょくってるんだな!」

僕はつぶやく。

「いやいや、そう殺気立たないでくれよ笑。

じゃあ【地獄の覇者】について、簡潔にいうと、、、、地獄に関するスキルって感じじゃな!」

(いや、ほんとに簡潔だな、、、、)

「それから、お主の中に眠る【イデア】の核を封印するスキルは最初から与えられおるぞ、どんどんMPを増やしていけば封印もだんだん解かれるように設定してある。封印が解けるようになったとき、お前はその力を扱えるだろう。そして、【地獄の覇者】は強力なスキルだ、だからくれぐれも扱いには気をつけるように、、まぁお主なら大丈夫だと信じてるがな。」

「あっちの世界で生まれた時の姿は今のままなのか?」

僕は尋ねる。その時、地獄の天井が少しひび割れたように見えた。

「ああ、なんならイデアの形を崩す方が危険じゃからな。うーむ、じゃあそろそろ、、行った方がいいかもしれん、、、」

少し急かすように閻魔が言う。

「なんだ?なにかあるのか?」

「いや、、、怒ってるんだよ、、、、【上界】にいる、、、【上級神】たちが、みんな暴走したお前と戦ったからな、、、それで怒ってるんだ、、」

俺はニヤリと微笑み、上を向いて言った。

「俺には記憶もないからな、、そんなことは知らないな!俺は俺だ!まぁ歓迎されてないなら、今すぐでも出てってやるよ、、、じゃあな閻魔、、まだ少ししか話してないが、お前はいい奴ってことがひしひしとわかったよ。また会えると思う、、その時はまたよろしくな!」



("俺"か、、、いつからこんな口調になったのか自分でもよくわからない、、でも、これだけは言える。現世にいたひ弱な"僕"とはもう違うんだ、、、)



「ああ、また会えるよ、、、じゃあサタン連れて行ってくれ」

「はい。わかりました」

サタンは俺の手を引っ張りつれていく。






「、、、結構危なかった、危うく地獄が破壊されるところだった、、【上級神】の連中は相変わらず血の気が多くて困るわい、、、それにしても、あやつ、、青木閻は相当狂っておるな、、泣いたり、笑ったり、まぁでもこれからを思えば、、それくらいじゃないと、、な」

閻魔は呟いた。




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