いざ、異世界へ①

「ガハハハ、さすがに質が違う魂じゃのぅ」

「どういうことだ?」 

僕は困惑の表情で閻魔を見つめる。いや、睨むと言った方がいいかもしれない。

「おーおー、そう殺気立つな、まぁひとまず落ち着いて我の話を聞け」

閻魔はおもむろに話し出した。

「お前は知らないかもしれないが、お前がいた【現世】意外にも世界の種類というのはあと3つある、そして、簡単に言えば循環している、、、あー例えばな、虫というのは卵→幼虫→サナギ→成虫のように成長するよな?そんな感じで世界は成長する。【現世】はそれでいうと、サナギの段階だ。そして、成虫、、いや【上界】というのはいまお前がいるここ、地獄や他の天界などの世界のことを指す。そして、【上界】に属する世界には寿命がない。」

僕は話に割り込む。

「長々と話すのはいいが、その類の話と僕になんの関係があるんだ?」

「ガハハハ、もう一回死んでいてなんも怖くないという感じだな、だがこれから伝える話はお前のこれからに関わるんだぞ、、、」

(これから?、、なんだ?僕は地獄で罰を受けるためにここにきたんじゃないのか?)

「さっきの話の続きからいうと、【現世】と呼ばれる世界には寿命がある、寿命を迎えるとその世界は消滅してしまう、、だから循環させる必要があるんだ。それから、先ほど言った【上界】に属する世界の中に、天界という世界がある。天界というのは世界を生み出していく存在なんだ。そして」

急に風が吹き始めた。閻魔からだ。

「閻魔様、落ち着いてください」

サタンが言う。

「おーおーすまん、すまん、少し昂ってしまったわ。どのくらい前かは忘れたが昔、世界でいう卵の役割をもつ【イデア】、がいつも通りに天界により生み出された。そして、いつも通り成長していくと我、いや神々は思っていた。しかし、その【イデア】に悪意をもたらすものが現れた。それが忌々しき【暗黒神ヘル】だ。神というのは【現世】や【上界】などのの世界の管理を任されているんだが、その【暗黒神ヘル】はもともと地獄の管理人だった。そやつが何を思ったのかは未だわかってないが、そやつは【イデア】に地獄にある思念の塊である【パンドラ】、ようは恨み、妬み、嫉妬、悲しみなどの暗いものの塊を捧げたんだ。悪意を入れられたイデアは暴走した。我々神々も全勢力を持って阻止しようとしたが、最終決戦の末に【現世】に逃げられてしまった、、、そいつは弱り果てていたが人型を保って行方をくらました。暗黒神ヘルも同様だ、、、察しのいいお主なら、、ここまで聞いてわかっているんじゃないか?、」

僕は胸が熱くなるのを感じた。それから、恐怖、焦りなどの様々な感情が込み上げてきた。

(まさか、、、僕がその、、、、)

「ぼ、僕がその時の【パンドラ】を入れられた【イデア】なんです、、か?」

「ああ、お主のいうとおりだ。通常、記憶がなくなり、普通に人として暮らすのはおかしいことなんだがな、、、お主に不幸がよってきたのはそのせいである。」

閻魔は気まずそうな顔で告げる。

僕は泣いていた。床に涙が溢れていく。地獄の床に広がった涙はとても赤く見えた。

(じゃあ、、僕が過ごしたあの人生はなんだったんだ、、なんのためにあんな思いをしたんだよ、、、)






5分くらいは経っただろうか。ようやく僕は泣き止んだ。

「お、おっほん、神々との最終決戦でイデアの核の力は衰えたものの、お主にはまだ強い力が隠されている、、、少し前、我がお主を現世で見つけた時、神々で話し合った。そして、お主が成長しきってしまえばおそらくまた暴走が始まるだろう、という結論に至った。だから、我はお主を一旦地獄に呼んだんだ、、、」

僕はまたしても話を遮る。そして言った。

「はは、ははは、、、、ありがとうございます神様、、あの母親から、あの父親から、あのクラスメートから、、、そしてあの地獄から救い出してくれて、、、」




僕は泣いていた。満面の笑みで、、




「閻魔今、〈お主が成長しきってしまえばおそらくまた暴走が始まるだろう〉と言ったがそれはどういうことだ?」

「あ、ああすまない、少しボーっとしていたよ」

(なんだ今の笑顔は流石の我も引いたぞ、、、)

「そう、お前はこれから成長すれば暴走してしまう、、、だから我の能力を授けてお前には【フリングホルニ】に属する世界に転生してもらう!!」








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