三章 あなたの役に立つということ 16


     16


 儀式の開始が宣言されると、ハシゴの近くから人がいなくなった。テオはトビアスに合図し、彼が銃を構えるのを待ってからハシゴに近付く。木製のハシゴは比較的新しいもので、幸い足をかけても音は鳴らない。


 慎重にハシゴを上がり、携帯端末のカメラで周囲を確認した。


 広く、天井の高い空間だった。


 壁際は石灰石が積まれたままになっていて、松明が点々と周囲を照らしている。ハシゴを上がって左は壁、後ろは石灰石が崩れてこないようにフェンスを立てて塞がれていた。ハシゴの右手には立派な祭壇が設けられている。


 壁に付けられた祭壇には大きなタラスカイト鉱石が鎮座し、黒い蝋燭がそれを取り囲んでいた。祭壇の前に置かれた箱には金色の針が山を作っている。祭壇の両脇はグラナテマの国旗を掲げるポールと、グラナテマ国教のシンボルらしきものが描かれた旗をさげたスタンドが立てられていた。旗の後ろであれば隠れられそうだ。


 その祭壇に背を向けて、助祭らしき男が立っている。信者たちは彼の前に整然と並び、揃って膝を突いて腕を組み、頭をたれて目を閉じていた。祈りを捧げているらしい。


 テオは素早くハシゴから上がり、トビアスを呼び寄せた。助祭も目を閉じて腕を組み、朗々と聖句らしき文言を読み上げている。今のうちだった。


 祭壇の周囲は光源となるものが蝋燭ぐらいしかないため、薄暗い。身を隠すのにちょうどよかった。テオとトビアスが息を潜める中、祈りは終わり助祭が両手を広げる。


「では兄弟姉妹。今日の勤めを」


 助祭の呼びかけで、信者たちは続々と列を作り始めた。黒装束の者が差し出した針を受け取り、それを手や腕に刺して血を捧げていくのだ。血と引き換えに、信者たちは助祭から蝋燭に火を灯されて同じ言葉を繰り返す。


「グラナテマに栄光あれ」


「グラナテマに栄光あれ」


 歩くのもやっとの老人も、痛みを嫌いそうな小さな子供も、躊躇うことなく針で自らを傷付けていく。誰もこの儀式を疑うことがない様子だ。


『──こちら一班、制圧準備完了』


『──同じく二班、いつでも対応可能です』


「……了解。合図まで待機せよ」


 囁くようにして通信を終えて、テオは辺りに目を走らせた。


 武器を持っているのは黒装束の者たちだけだ。老若男女の信者たちは蝋燭を持っているだけで、助祭は何も持っていないが魔導士の可能性が高い。信者以外を警戒すればよさそうだ。


(……というか、信者たちはとても戦えそうにない)


 テオは眉をひそめた。


 信者たちは誰も彼も顔色が悪く痩せていた。服や靴はぼろぼろで、季節感もサイズも合っていない。咳をしている者が多く、生気が感じられないというのに、彼らの瞳は使命感に燃えている。


 粛々と血が捧げられていく中、ふと通信が入った。


『──イレブンです。アマルガムが人質を連れて鉱山に入りました』


「位置は」


『──テオたちより下です。加速している』


 通信機越しに、特殊部隊の緊張が高まるのを感じる。テオも集中していると、突然鐘が打ち鳴らされた。カンカンカン、と鋭い音が響く。


 信者たちが動揺にどよめき、トビアスも息を飲んだ。


 助祭に目をやると、彼は不敵に微笑んでいた。軽く咳払いして、信者に向かって両手を浮かせる。


「案ずることはない、落ち着きたまえ。我らの協力者が到着したのだ」


 そう言って、助祭は信者に語りかけた。信者たちがそれに聞き入っている間に、ハシゴから黒装束の男が上がってくる。腰に鐘をさげているから、彼が鳴らしたらしい。祈っている隙に移動していて正解だった。


 信者たちの次は黒装束の者たちだ。助祭以外の全員が戦勝祈願を行うらしい。全員が血を捧げ終えるのを待って、助祭は口を開いた。


「────親愛なる兄弟姉妹たちよ。偉大なる父はいつも我らを見守ってくださる。今朝もまた、父からの宣託がくだった。父に代わり私が伝えよう」


 厳かに告げられた言葉に、期待や興奮をにじませた声が上がる。助祭はそれに気を良くした様子で続けた。


「『楽園より異形の使徒が訪れる。苦難の時代が終わりを迎える知らせだ。そなたらの父を解放すれば、使徒は父に永久の繁栄をもたらすであろう』……父が囚われの身となり二十年、ついに我らの献身が報われる時が来たのだ!」


 様子を窺っていたテオは、ふと階下から水音がしてハシゴに視線をやった。何か濡れたものが這う音が聞こえる。


「祖国からの指令に従う中で、多くの兄弟姉妹が殉職した。この国で生まれ、祖国を知らない弟妹もいる。裏切り者となり血縁を処刑することになった者も。婚約阻止に失敗したとして祖国からの支援は打ち切られ、絶望した兄弟姉妹は多かったことだろう。しかし今日、その全てが報われる。我らが父をここにお呼びし、自由の身になりさえすれば」


 助祭が高らかに宣言した。読みが当たったのだ。残るは制圧タイミングとエマの確保だ。


 武装した者たちの位置を再確認していると、助祭が「では」と声を強めた。


「これより父をお呼びする儀式を行う。兄弟姉妹は指示した通りに並び、祈りを捧げるように」


 助祭は黒装束の者たちに指示し、信者たちを並べ直した。子供たちは奥の方へ、若い者は前の方へ、テオより年上に見える者たちは床に薄く見える線の内側へ。黒装束の者たちは、子供たちに二人、前方に二人、残りは信者たちを囲むように立つ。信者たちはこれから始まる儀式への高揚を顔に浮かべるばかりで、疑いもしていない様子だった。


 信仰は、ここまで麻痺させるものなのか。テオは儀式の準備を愕然と眺めることしかできなかった。


 信者たちを並べ終えると、助祭はハシゴの方に手をやった。


「さあ異形の使徒よ、ここへ!」


 その声で、誰もがハシゴの方へ目をやってしまった。


 視線の先。ハシゴから、人の手にしてはあまりにも大きく青白い肉が、ぬらりと伸びてくる。


 ずる、ずる。音を立ててハシゴを上がってきたそれは、先輩捜査官の面影を残した頭部を膨張させ、滑るように這い出てきた。肩を失い、腕を伸ばし、喉から腹までをどす黒く膨らませて、ぬめりを帯びた肉体を信者たちにさらす。


 捜査官に擬態した姿から蛙に移る途中で諦めたような、歪んだ姿のアマルガムだ。


 常軌を逸した異形の姿を見て、子供たちが甲高い悲鳴を上げ、近くにいた信者たちも怯えた顔で互いにすがった。


「恐れるな、兄弟姉妹よ! この者こそが異形の使徒、我らが父を解放に導く協力者である! 使徒よ、父を蝕む悪魔の娘をここに!」


 助祭が歓喜に満ちた顔で言うと、アマルガムの腹部が左右に裂けた。白い繭のような塊がこぼれ出る。近くにいた信者が耐えられず逃げようとするが、黒装束の者が銃で殴ってその場に座らせた。


 繭がほどけて現れたのはエマだった。頬に血の気はなく、ぐったりと倒れている。


 だが、生きている。


 テオは気を引き締め、インカムに向かって囁いた。


「……一班、二班、構えろ」


 無線越しの気配が張り詰める。テオもトビアスも短機関銃の引き金に指をかけた。


 黒装束の者がエマを助祭の前まで引きずっていく。彼女の防弾ベストが外され、シャツが胸元まで開かれていく間、助祭は杭と金槌を手に笑みを深めていた。


 ギフェルが明らかにした解呪方法は、エマの心臓を捧げること。


 彼らは本気で、司祭をここに呼び出し、解呪するつもりなのだろう。


 準備を終えると、助祭は黒装束の者たちを下がらせ、エマの傍らに膝を突いた。アマルガムはそれを見届けてからおもむろに歩き出す。周囲の人間が怯えたように身動きするのに構わず、ゆっくりと壁に手をつけ、そのままぺたぺたと足音を立てて壁を這い、天井で落ち着いた。


 チャンスだ。


「……イレブン、アマルガムが攻撃行動に入ったらすぐに制圧を」


『──了解、待機します』


 頼もしい返事を助祭の感極まった声が掻き消した。


「我らが父、偉大なる父よ! あなた様を忌まわしい檻から今、解放いたします!」


 助祭はそう言って杭の先端をエマの胸骨へ──心臓の上へ向けた。金槌を握り直した瞬間、テオは無線機に怒鳴った。


「行け、行け行け行け!!」


 指示に従って特殊部隊が飛び出し、一斉に包囲した。トビアスとテオも短機関銃を手にスタンドを蹴り倒して前に出る。助祭が目を見開き、忌々しそうに顔を歪めた。


「ネズミめ、いつからそこに……!」


「そこまでだ! 全員動くな!」


 黒装束の者たちも信者も、息を殺して助祭の方を窺う。テオが目配せすると、トビアスが短機関銃を構えたまま助祭に歩み寄った。


「ゆっくり彼女から離れるんだ」


 助祭は舌打ちし、指示に従ってエマからゆっくり距離を取った。テオはトビアスたちを背にして助祭に銃を向ける。


 それを機にトビアスが銃を納め、エマの頬を軽く叩いた。彼女は力なく目を閉じたまま動かない。トビアスは彼女を両手で抱え、急いでハシゴへ走る。黒装束の連中が動くが、銃口を向けて押し留めた。


 二人の姿が見えなくなってからテオは声を張った。


「馬鹿げた儀式はそこまでだ。両手を頭の後ろにやって膝を突け! 全員だ!」


 テオの声が広い空間に反響する。信者たちはすっかり縮こまっているが、黒装束の者たちは動かない。


「……馬鹿げた儀式だと?」


 助祭がぽつりと呟いた。彼は杭と金槌を放り出し、祭壇にあった針を一本取り出した。テオはすぐさま彼に銃口を向ける。


「動くな。妙なマネはするなよ」


「この儀式に我々がどれほどのものを投じたか貴様に分かるか?! 我々はいつ終わるとも知れない任務に送り出され、敵国で息を潜め、成果が出なければどんな功績があろうと殺される定めだ! あの難民どものように! あの裏切り者どものように! 儀式に失敗すれば、我々は全員、無用のものとして殺される……この儀式が最後のチャンスだった……祖国の祝福を得られる最後の……」


 助祭は正気を失った顔でそう言うと、がくりと膝を突いた。


 その手に、針が突き刺さる。


「グラナテマに栄光あれ!!」


 助祭は絶叫し、針の刺さった手を床に叩きつけた。


 床が眩しいほど光り輝き、魔法陣が浮かぶ。黒装束の者たちと特殊部隊が一斉に動いた。信者たちは悲鳴を上げて頭を抱えるようにして床に伏せる。テオはすぐさま助祭を銃で殴って床に押さえつけた。それでも助祭は笑っている。


 撃ち殺される者、床に押さえつけられる者、様々だが特殊部隊が優勢だと思った次の瞬間だった。一人が部屋の隅にあったレバーを倒す。


 その途端、床の中央が割れた。


 細い線の内側、魔法陣の中央部分に座らされていた信者たちが落下していく。


 下にトロッコがあったはず、と動いたテオの思考を爆発音が凍らせた。


 次々に響く破裂音。悲鳴、痛みに呻く声、絶叫。


 何が起こっているのか、誰もが一瞬動きを止めてしまった。


 その機を逃さず、床に押さえつけられていた黒装束の者が拘束を振りほどき、仲間の死体を掴んでともに下へ落ちていく。また爆発音が響き、声が減った。


 隊員が震える声で言った。


『──トロッコ内に地雷あり。落下した人の重みで、次々に発動を』


『──魔術、止まりません! ど、どうすれば……っ』


「総員、信者を連れて退避だ! 坑道を戻れ!」


 隊員たちに怒鳴りつけ、テオは目の前にいた信者たちの手を引っ張って立たせた。光を増す一方の魔法陣から一刻も早く引き離したかった。


「ほら立って! 逃げるんだよ!」


「あ、ああ、はい、はい!」


 幼い子供と引き離された時に不安そうにしていた男女は、急いで子供たちのいる方へと走り出した。それに伴って、数人は子供たちを連れ出し、隊員も子供を抱えて坑道へ走り出す。


 だが未だに座り込んだままの信者は、呆然とテオを見上げていた。何をしているんだと怒鳴ろうとしたテオに向かって彼らは喉が裂けそうなほど絶叫し、猛然と走り出す。魔法陣の中心へと。


「やめろ!! お前らも死ぬぞ!!」


 必死で叫んでも足を止めず、彼らは穴に身を投げてしまった。苦しむ声が聞こえてくる。魔法陣がいよいよ正視できないほどに強く光を放つ。テオは奥歯を噛み締め、助祭の腕を掴んで立たせた。


「このクソ野郎、どんな教育したらあんな信者に育つっていうんだ」


「ああ、あはは、ははぁ! 来た、来た! 我らが父は、ここに! この場所に!」


 すっかり現実が見えていないらしい。唾液を垂らして笑う助祭を見てテオは顔をしかめたが、殻の割れるような音を聞いて振り向いた。


 魔法陣の中央、その空中に、ヒビができていた。


 目の錯覚かと自分を疑ったが、抵抗する助祭を引っ張ってハシゴにじりじりと向かうテオの目は、確かに空中にあるヒビを捉えていた。


 パリン、と音を立てて空間が割れる。


 その亀裂から、黒い煙が溢れてきた。やがてそれは確かな重量を伴った塊となり、空間の裂け目の内側から力を込めて亀裂を広げていく。


 闇だ。闇が覗いている。


 その闇から、無数の目がこちらを見ていた。


「……失敗した? そんな、あんなに、準備したのに……?」


 助祭が立ち尽くす。テオは彼をハシゴの方へ蹴り飛ばした。


「あれがお前のお父様に見えるか?! さっさと走れ!!」


「ひぃ、ひいいっ!!」


 情けないことに、助祭は腰を抜かしていた。その間にも亀裂からは不定形の闇が無数の目をまたたかせて這い出てくる。


『──儀式は失敗ですか』


「イレブンか? おい化け物が出てきてるぞ、どうなってるんだ」


『──移動の魔術と悪魔召喚の儀式は本質的に同じものですから、都合のいい門ができたと悪用されたのでしょう』


『──悪魔の封印となると、その名を呼ぶ必要がありますね』


 魔導士が通信に口を挟む。助祭は真っ青な顔で何事かぶつぶつ繰り返すばかりで、悪魔の名前など聞けそうにない。だが迷っている時間もない。


 ぱがんっと派手に通気口が吹っ飛ばされたかと思うと、イレブンが飛び降りてきた。


 同時に、天井にいたアマルガムが動く。


 蛙の手足を持ったまま、それ以外が大きく開いた口になる。鯨の捕食する姿に似た、がばりと開いた口腔が降ってくる。


 口の化け物となったアマルガムは、落下地点にいた闇の塊を一飲みしてしまった。そのまま下のトロッコに落ち、血飛沫が舞う。


 魔法陣から光が失われた。


 終わったのだろうか。


 何が起こったのか理解を拒む頭で、テオはアマルガムを見つめた。


 体の半分を階下に落としたらしいアマルガムは、のっそりと両手を突いて段差をよじ登っていた。その青白い肉の皮が、ぼこぼこと泡立つ。スーツ模様の皮膚は影を切り抜いたような闇に、泡は無数の目に、姿を変えていく。


 次の姿に擬態しようとしているのだ。


「やられた。最初からその予定だったとは」


 テオに駆け寄ったイレブンが、新たに変貌しつつあるアマルガムを見ながら言った。どういう意味か、問おうとした矢先にギフェルが足元に放り出される。彼女は目を回してぐったりしていたが、アマルガムを見て「げえ!」と叫んだ。


「何?! 魔術失敗したの?! 信者の前で司祭を食ってやるつもりだったのに!!」


「お前は最悪の事態を引き起こすことしかできないのか?!」


 テオは反射的に怒鳴った。ギフェルが必死に叫ぶ。


「アマルガムちゃん! 大人しくしなさい! アタシが主人でしょ! 聞け!! 動きを止めろ!! その冒涜的な姿をやめてロールパンになれ!!」


「……止まりませんね」


「どうして~~~~?!」


 アマルガムにギフェルの声が届いた様子はない。もう制御できる状態ではないのだ。イレブンもそのつもりでギフェルを連れてきたのだろうに、これでは意味がない。


 テオは舌打ちして短機関銃を構えた。


「……コアを破壊するしかないってのか」


「あるいは、擬態対象に有効な手段を試すのみですね」


 銃が悪魔にどれほど有効だろうか。


 だが試す前にイレブンがテオの腰から手錠を奪い、その手錠でギフェルと助祭の腕を繋いだ。ギフェルが仰天する。


「ちょっと天使ちゃん正気?!」


「あなたは彼と一蓮托生です。死にたくなければ逃げてください」


「この鬼!! 悪魔!!」


「兵器です」


 イレブンは無表情のままギフェルをハシゴへ押しやった。ギフェルが既に限界の顔をして助祭を引っ張り、四苦八苦しながらハシゴを下りようとしている。テオは彼らを背に庇って短機関銃の銃口を悪魔に向けたが、イレブンが銃身を押さえてそれを止めた。


「重要な容疑者が逃げます。追ってください」


「お前、ここまで来てそれは……」


「一般的な擬態であれば私とあなたで対処できますが、擬態対象が詳細不明の悪魔では、私があなたを守ることができるか不明です。ここはご協力ください」


 イレブンはアマルガムから目を離さずに言った。テオは眉根を寄せる。エマの確保と儀式の妨害は叶い、犠牲は出たものの信者たちと容疑者の確保はできた。確かにこれ以上は、捜査官の仕事と呼べる範疇を超えている。だがここで一人残すわけには。


 葛藤するテオの脳裏に、イレブンの脚を失った姿と両腕を切り離した姿が浮かぶ。手の届く範囲に守るべきものがある時、アマルガムと対峙する彼女は自分の損傷を厭わない。たとえ一緒に戦おうとしても、守る対象だと彼女が認識している限りは、彼女の負担を増やすだけではないか。


 ともに戦いたいと言って残る方が、独善的なのではないか。


 テオの胃がきりきりと痛む。気付けば呻くような声になっていた。


「……すまない、イレブン。悪魔にだけ集中しろ」


「了解。必ず封印させます」


 テオは短機関銃を背負って駆け出した。ハシゴでもたついている二人をさっさと下がらせ、イレブンの変わらない横顔と変貌するアマルガムを目に焼き付けて階下へ急ぐ。


「悪魔はイレブンが対処する! 魔導士はイレブンに協力して、悪魔の封印を試みてくれ!」


『──承知しました。魔導士一同、全力を尽くします』


 魔導士が涼しい声で応じる。足をもつれさせるギフェルたちを引きずって走り出したテオの背後で、この世のものとは思えない絶叫が響いた。

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