三章 あなたの役に立つということ 15
15
「わかったから落ち着け。そう自分を責めるんじゃない。今から地図を送るから、タクシーでも何でも使って鉱山まで来てくれ。必要な物は俺たちが持っていくから、いいか、絶対に馬鹿なことはするなよ。俺たちで、エマを助けるし、奴らの企みも阻止する。分かったな。返事しろ。トビアス。いいな」
電話口で今にも死にそうな声で謝り続けるトビアスを根気強くなだめて、テオは通話を終えた。携帯端末を握りしめた拳を額にぶつける。
やられた。
致死量の出血があればトビアスも違和感を覚えただろうが、気絶する程度の怪我で済ませて捕食すれば、成り代わっても気付くことができない。何せ擬態している側が化けている自覚をしていないのだから。
(すまないエマ、すまない先輩)
噛み締めた歯の間から怒りと自己嫌悪を逃がしていると、ギフェルが椅子の背もたれに両手を置いてテオの顔を覗き込んでいた。にや、と嫌な笑いを浮かべている。
「大変なことになっちゃったみたいだねぇ」
テオは気が付くとギフェルの胸倉を掴み上げていた。椅子が倒れ、キャスターが虚しく回っている。
「……お前の望み通りには動いてやらねえぞ」
床に向かってギフェルを放り捨てると、彼女は「いたーい」と咳き込んで笑うだけだった。携帯端末をポケットに戻していると、ロッキがオフィスに駆け込んでくる。
「ロッキ? どうした、そんなに急いで」
「お嬢さんに呼び出されたんだよ」
「イレブン?」
テオが振り向くと、大きな紙をデスクに広げているイレブンと目が合った。彼女はすぐにロッキに駆け寄る。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。だがこれで本当にいけるのか?」
ロッキが持ってきたのは、証拠品袋に入った髪の一部だった。透き通ったブロンド。エマの髪だ。
テオははっとする。
「お前、そうだ、髪があれば……」
「はい。追跡に必要な情報は十分です。追いますか」
「頼む」
イレブンは証拠品袋ごと口に入れ、ぱくんと飲み込んでしまった。かと思うと口を覆っていたギフェルの腕を掴んで引きずってくる。
「エマの位置は私が伝達します。ただ、アマルガム対処のためにクロエ・ギフェルを現場に同行させてください」
「なんだと?」
「え?! アタシも行くの?!」
ギフェルが一番驚いた顔をしていた。テオはイレブンの瞳を覗き込む。
「……必要なんだな?」
「はい、間違いなく」
「分かった。……すみません、ご相談が」
テオは急いで魔導士たちに声をかけた。事情を話すと、彼らはぼそぼそと相談してから頷き、ギフェルの首に紐を結び付けた。リボンタイのようになった紐は、一瞬だけ赤黒い魔法陣に包まれる。
「クロエ・ギフェル殿。貴殿がこの紐を外した場合、及び魔術を使った場合、この紐は爆発する」
「爆……?!」
「命が惜しければ決してこの紐を外さず、捜査官の指示に従うように」
顔を真っ青にするギフェルに説明を終え、魔導士は再び沈黙を守った。ギフェルがイレブンの腕にしがみつく。
「天使ちゃんどうして!! アタシに何の恨みがあるの?!」
「兵器が『恨む』をすることはありませんが、この首輪が同行の条件ですから仕方ありません。ご理解ください」
「爆弾を首につけられてご理解できると思う?!」
ギフェルの相手はイレブンに任せ、テオはデスクに広げられた紙を確認した。これから向かう鉱山の坑道図だ。
「イレブン、これ最新のデータか?」
「採鉱していた企業に確認しました。閉鎖当時の状況です」
ギフェルの口を手で押さえて、イレブンは素早く答えた。
坑道図によると、鉱山の坑道はほとんどが落盤によって潰れている。残った入り口は坑道入り口が二か所と、かつて運搬用に使われていた鉄道トンネルだ。
坑道は、中央にある三つの広間のうち、上の空間からアリの巣のように伸びている。下は貯水槽、中央は石灰石の粉砕等を行っていた機材置き場、上は採掘したばかりの石灰石を集めて下に落とす空間だ。
「……特殊部隊に坑道を押さえてもらって、俺たちでトンネルから侵入しよう。上下の空間はハシゴで繋がってるから、行き来できる」
「だが、大丈夫かね。中で大立ち回りなんかしたら崩れるんじゃねえか?」
「不安はあるが、時間も選択肢もないからな」
顔をしかめるロッキをよそに、テオは携帯端末を手に取った。軍事刑務所には警備レベルの引き上げを依頼し、監視も強化してもらった。突入に必要と思われる装備も揃えた。あとは、と視線を巡らせ、テオは魔導士たちに声をかける。
「無理を承知でお尋ねしますが、鉱山一帯で発動する魔術を妨害することは可能ですか。移動の魔術を阻止したくて」
「少しお待ちを」
魔導士たちはまたぼそぼそと相談してから頷き、リーダーが応じた。
「この規模では若干の阻害が限度ですが、それでもよければお引き受けします」
「ありがたい、是非ご同行を。悪いロッキ、何かあったら連絡してくれ」
「お前らが無事に帰ればなんだっていいさ」
ロッキはため息混じりに言った。ギフェルをイレブンに任せ、テオは必要な物を持ってオフィスを後にした。
七人乗れて山道を進むとなると悪路用のワゴン車がいいだろう。魔導士に引っ張られて車に乗り込んだギフェルを横目に、テオは最低限の装備を積む。魔導抑制機、短機関銃、発煙手榴弾、対魔術防護ベスト、人数分の無線機。念のための備えではあるが、武装組織を相手にするには少々心もとないか。
同じ駐車場で車両の準備をしていた特殊部隊が片手を挙げた。テオはそれに頷き返して、ふとまだ車に乗っていないイレブンに気付く。
「どうしたんだイレブン」
「近接戦闘の重要指針はご存じですか」
「……注意事項ならともかく、指針?」
「詳細に把握し、迅速に包囲し、制圧する」
言われてみればなんてことはない。アカデミーに入り捜査官になるべく訓練を繰り返す時に、指導教官から言われる基礎的なことだ。
今更、と目をまたたかせたテオは、イレブンに両手を取られて彼女と目を合わせた。静かな灰色の瞳を見ていると、緊張と焦燥で上がった血がゆっくり落ち着いていく気がした。
「私たちは既に鉱山の構造を把握しました。包囲する準備もできています。現時点の戦力で敵を制圧することは十分に可能です。あなたは近接戦闘の準備が整った」
「……その通りだ」
「『不安』はありますか」
穏やかに尋ねられる。テオは軽く息を吐き出し、温度のない手を握り返した。
「ない。行くぞ」
「了解しました」
テオたちは素早く車に乗り込んだ。
捜査局の駐車場から、三台の車が飛び出していく。
■
デルヴェロー市から工場地帯へ向かい、さらに山の方へ進んだ先に鉱山はある。
山道を進み、開けた広場で車を降りた。魔導士たちは無線機を受け取ると静かに持ち場へ向かい、特殊部隊はさらに山道を進んでいく。
テオも装備を整えていると、トビアスがやってきた。山道ではなく薮を掻き分けてやってくる姿を見て、テオは思わず顔をしかめる。
「お前まさか」
「いや、近付いてない。大丈夫。見張りがいるか周りを確認してただけ」
トビアスが慌てて両手を上げる。テオは目を据わらせて尋ねた。
「……いたのか?」
「それが誰も。……重要な拠点だと思ってたけど、案外手薄なのかな」
「その方が助かるが……イレブン、エマはどうだ」
イレブンはトビアスに装備を渡しながら視線を巡らせた。
「こちらに向かって移動中です」
「……まだ無事だな?」
「生命反応あり、無事です。相手の移動が遅いため、間に合いました」
それを聞いて、トビアスが安心した様子で息を吐き出した。
「……まだ、挽回できるんだね」
「ああ。必ず助けよう」
銃の動作を確認していると、イレブンは車内で縮こまっていたギフェルを引きずり出した。
「ではテオ、トビアス。私たちは別行動です」
「聞いてない聞いてない天使ちゃんアタシ聞いてない初耳」
「当然です、今初めて言いましたので」
顔を真っ青にするギフェルに冷たく言い放ち、イレブンはギフェルを黒い帯でぐるぐる巻きにした。
もがもがと何か喚いているらしいギフェルを地面に転がし、イレブンは少しだけ背伸びをした。テオとトビアスが耳を寄せると、彼女は小さく囁く。
「アマルガムは引き受けます。お二人はエマに集中を」
「……数は?」
「鉱山に二体。崩壊の危険があるため、坑道から離して対処します」
テオは思わず鉱山の方に目をやった。十年以上昔に閉鎖されて以来、内部の情報は不明の坑道。どれほど補強されていてもアマルガムの戦闘に耐えられるような強度はしていないだろう。
「……分かった。アマルガムとギフェルは頼むぞ」
「了解。ご武運を」
イレブンは短く応じて、ギフェルを肩に担いだ。黒い帯の内側でギフェルはまだ何か言っていたが、イレブンはギフェルを一瞥するだけで特に何も言わずに駆け出した。
イレブンだけ重力から解放されているのだろうか。風になびいた髪はあっという間に森の中に消えて見えなくなった。
「……なんというか、敵わないな、彼女には」
「頼もしい相棒だよ。俺たちも行こう」
地図に従い、テオとトビアスは山道から少し外れて川沿いに進んだ。
トビアスの言う通り、見張りや巡回の類はない。監視カメラさえ設置していないようだ。何もない方が疑われないということだろうか。
足を滑らせないように気を付け、それでもできる限りの速さで進むと、やがて鉄道橋が見えてきた。線路は既に朽ち果てているが、川を渡る堅牢な橋は自然に飲まれながらも健在だ。
トンネルまで近付いても川のせせらぎぐらいしか聞こえない。短機関銃を握り、慎重にトンネルを覗き込んだ。
鉄道としては使われていないが、物資運搬用にトロッコが設置されていた。線路脇にはコンテナボックスが積まれている。難民キャンプに蝋燭を送った支援企業のロゴが入っていた。
だが、それだけだ。見張りも誰もいない。
「……確かに手薄だな。どうなってるんだ」
「僕たちが思ってるほど相手の数は多くないのかな」
怪しく思ってテオとトビアスが顔を見合わせていると、通信が入った。
『──こちら一班、指定ポイント到達』
『──こちら二班、同じく指定ポイント到達』
「捜査官、了解。こちらも指定ポイントに到達した。魔導士は」
通信に応答して続けると、魔導士たちから慌てた様子で返事があった。
『──我々の準備も完了しました。魔術阻害を開始します』
魔導士からの通信が終わると、空に赤い光が四つ灯った。そこからゆっくりと魔法陣が描かれていく。
「よし、突入」
『──了解、突入します』
通信を終え、テオとトビアスは線路沿いにトンネルを進んだ。
コンクリートのトンネルは、奥に進むほど気温が下がっていく。遠くからは水滴の落ちる音がして、湿度の高い空気と相まって洞窟を進んでいるようだった。
どれぐらい経っただろうか。下手に灯りを点けることもできずに暗い中を進んでいるうちに、人の声が聞こえるようになってきた。大勢で集まっているようだ。
(……集会? いや、祈りの時間か……?)
彼らが難民キャンプの者たちと習慣を共有している可能性はある。テオはトビアスに目配せし、線路の左右に分かれてさらに進んだ。
やがて、松明の光が漏れる場所に出た。コンテナや木箱の陰に身を隠し、広間を見やる。
だだっ広い空間だった。石を運んでいたであろう巨大なトロッコが三つ、レール上に並んでいる。どのようにここで作業していたのか、壁と床に残った機材や重機の跡から見えるような気がした。
奥にハシゴがあり、そこから人の声が漏れ聞こえていた。
「……一班、二班、状況は」
『──こちら一班、居住エリアらしき空間を発見。しかし誰もいません』
『──こちら二班、武器庫を発見しました。銃はほとんど持ち出されている様子です。警戒を』
「了解、そのまま進んでくれ」
テオは誰もいない広間に入り、柱の陰に滑り込んだ。トビアスも後方を確認しながら同行する。まさか鉱山にいる全員が一番上の広間に集められているのだろうか。そう疑うほどに静かだった。
足音を殺してハシゴに近付くと、黒装束の背中が見えた。素直に上に行かせてくれることはなさそうだ。テオはトビアスに手で示して柱の陰まで下がる。
「────諸君」
ふと、男の声が響いた。
「蝋燭は行き渡ったかね。では儀式を始めよう。グラナテマに勝利を」
「グラナテマに勝利を」
男の声に、大勢の声が応じる。テオもトビアスも固唾を飲んで儀式の様子に耳を澄ませた。
■
跳ねるように断崖絶壁を登り、イレブンは鉱山の頂上に降り立った。ギフェルはぐったりとした様子で大人しいものだ。
イレブンは無線機の電源を切って空を見上げた。
テオたちと特殊部隊は鉱山内部へ侵入し、魔導士たちの魔術も完成している。こちらもそろそろ始める時間だ。
イレブンはアマルガムの位置を確認してから、ギフェルを地面に下ろした。黒い帯を外してやると、ギフェルは「ぷはぁ」と大きく息を吐き出して後ろ手を突く。
「酷い目に遭った! なんて運び方するんだよ!」
「お気を付けください。落ちますよ」
「へ?……えっえっ高い高い高い!!」
ギフェルは自分の手のすぐ隣が崖であることに気付いて、慌ててイレブンの足元まで引き下がった。脚にすがりつく彼女を見下ろす。
「高いところは苦手ですか」
「苦手じゃなくても怖いでしょこの高さは!!」
崖に沿って上がってきた風がイレブンの髪とスカートを揺らした。鉱山の頂上は見晴らしがよく、麓の寂れた工場地帯から再開発地域、遠くに広がる街並みまで見える。崖の下は剥き出しの岩肌が続き、ずっと下の方で細く川が流れていた。
落ちれば、並の人間であれば即死する高さだ。
ギフェルはイレブンの脚にもたれて呟いた。
「……こんなところまで来て、アマルガムをどう相手しようっていうのさ」
「聞こえていたのですか」
「アタシ耳がいいからね!」
「あれは別行動を取るための嘘です」
「へ? 嘘? じゃあ何のためにここに……」
ギフェルが驚いた顔でこちらを見上げる。イレブンはその視線に応じることなく、ギフェルの胸倉を掴んで崖際に連れていった。ギフェルが必死でイレブンの腕にしがみついて踏ん張るが、ハウンドは彼女の筋力で止まるような造りをしていない。
「ちょっと! 待ってよ天使ちゃん! ねえ足、足が、ああ、ああああ……」
ギフェルの爪先が崖から離れて宙を蹴る。
イレブンの腕一本。それが今、ギフェルを落下から止める唯一の支えだった。
ギフェルは浅い呼吸を繰り返し、こぼれ落ちそうなほど目を見開いてイレブンの腕にすがりつく。強い風を受けてだぼだぼの作業着が心もとなく揺れた。
「て、天使ちゃん、嘘だよね? こんな、こんなさ」
「私には人間を守る使命がある」
ひゅ、とか細い喉を鋭く呼気が駆けていった。青ざめた肌を冷や汗が伝い、筋肉は強張っている。露骨に『怯え』と『恐怖』を示すギフェルに、イレブンは無感情に告げた。
「あなたが一人でも多くの人間の死を望む以上、人間にとって有害です」
「ねえそれはさ、簡単にお金になるからでさ!」
「人間に危害を加える存在を、見過ごすわけにはいきません」
「アタ、アタシだけじゃないよそんなの! なんでなんで? アタシあんなに情報喋ったじゃん! ねえだからさ見逃してよお願いお願い!」
ギフェルが必死に言い募る。落ち着きなく動く目。取引材料を絞り出そうと頭を悩ませている顔。イレブンは腕を持ち上げ、ギフェルの爪先をさらに地面から離した。
「ぎやあああああああ!!」
「そうやって命乞いする人間を何度見殺しにしましたか」
「やだやだやだ!! 落ちる!! 落ちちゃうよ!!」
「酷い顔。鏡を持ってくればよかったですね。きっとあなたの欲求を満たしましたよ」
ギフェルはイレブンの腕に爪を立て、蹴り飛ばそうと足をばたつかせる。だがイレブンは人間の動作で揺らぐ肉体をしていないのだ。
ギフェルが喚いているが、もはや言葉になっていない。汗と涙が次々伝う顔を見上げて、イレブンはことさら優しく微笑んで見せた。
「怖いですか」
「怖い!! 怖いよ!! ねえ助けてお願い頼むよなんでもするから!!」
「死にたくないのですか」
「死にたくない!!」
「何よりです」
イレブンは空中へ押しやるようにして手を離した。ギフェルの体が落下し、甲高い悲鳴がこだまする。イレブンはそれを聞きながら、ただ服に付いた靴跡を払い落とした。
その時だ。山頂付近にあった古い通気口を吹っ飛ばして土塊が二つ飛び出した。彼らは砂埃を上げて壁を走りギフェルを追う。
アマルガムだ。二体のアマルガムが崖を転がり落ちていく。
擬態が解け、生白い肉の腕をさらした瞬間、イレブンはギフェルを引き上げた。
伸縮性を持たせた黒い帯がギフェルの体を跳ね上げる。
イレブンのところまで引き戻されたギフェルは、イレブンの足元に座り込んで目を見開き、体を小さく縮めて硬直していた。崖の下でアマルガムたちも衝突して小さく見える。
「あぇ……? い、生きてる……?」
浅い呼吸、全身を縛る緊張。恐怖から抜け出せない様子のギフェルは、まばたきを忘れてイレブンを見上げた。わなわなと震える口を開く。
「だましたな!!」
「私は主人には嘘をつきませんので」
イレブンはもう一度ギフェルを黒い帯で縛り上げた。アマルガムが崖を登ってくることはない。代わりに降り立ったのは二体のハウンドだ。彼らは回収したコアを抱え、イレブンと目を合わせる。それだけだ。ハウンド同士の交流に言葉は必要ない。イレブンの指示を受け、二体のハウンドはすぐさまコアの輸送に移る。
ギフェルは「はーあ」と大きく溜息をついて背中から倒れた。イレブンも傍らに膝を突く。
「……何もかもお見通しだったってわけね。回収要員まで待機させちゃってさ」
「自覚がないようですが、あなたは分かりやすい人間ですよ」
イレブンが告げると、ギフェルは顔をしかめてこちらを睨んだ。
「……特別変わった人間ではない、って話の続き?」
「そうですね。あなたは死が怖いだけ。怖いものを他人に押し付けて安心したいだけ。スワンプマンの実験が上手くいったから、自分の死体を捕食させて自分のスワンプマンを作りたかった……というところでしょうか。あなたも立派に、愚かで非効率的で、大変人間的です」
「あはは……天使ちゃんにかかったら、そんなもんなのかアタシも」
ギフェルはそう呟いた。残念そうな、安心したような、そんな顔だった。
しばらくそれを眺めていたが、イレブンははたと顔を上げ、無線機の電源を入れた。
アマルガムの反応が近付いてきている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます