嘘をついたな!
「ああ、私はナイトに属する正騎士のライアンだ」
ライアンとか、いかにも王宮に勤めてそうな名前しやがって!
「それで、正騎士さんは私達をどうするおつもりですか?」
雄峰が腰を浮かして尋ねる。腰を浮かすのは戦うつもりじゃなく、逃げるつもりだな性格的に。
「心配するな。私はお前達を、と言うよりソウタを守るために来た」
既に俺の名前を知っていて、しかも守るためとかそんなに話が広まってるのかよ……。
「よく考えてみたら、こんなに大騒ぎになるスキルを、颯太しか覚えないってある意味チートスキル貰ったようなもんじゃねぇかぁ?」
覚える前に殺されるスキルをチートと呼ぶのだろうか? そんなチートいらないから。つーかピエロ提案したのお前だろ!
「各国の王が懸賞金まで出して求めているが、同時に良からぬものとしてソウタを亡き者にしようとしている者達もいる。独り占めしようとしている王もいる。故に我が主が私を遣わせたのだ」
「いくら何でも展開早すぎない? なんでそんなに広まってるんだよ」
「ギルドマスターが情報発信しているからな。あれでここの冒険者ギルドは相当稼いだようだぞ」
ドノヴァーーーーン!! この国の王だけじゃなかったのかよあの野郎、俺を売りやがった!
「なんて奴だ!」
「ああ、半分貰わないと」
いやそうじゃなくて!
「違うだろぉ」
そうそう、雄峰は金の亡者で困る。
「九割は貰わないとダメだろぉ?」
「違ーーーう!」
ダメだこいつら、やっぱりクズだった。
「そういう訳で、お前が立派な宮廷道化師になるまで、私が守ろう。我が主がお前を求めているのだ」
くそう、守って貰えるのは有り難いが、どうせならクララちゃんがいいぞ。
いや、まて。クララちゃんもだけど、今後女の子と出会った時にイケメンナイトが一緒にいたらどんな間違いが起こるか……おっと、最も重要な情報を聞いておかないと。
「ライアンさんって、結婚してるの?」
「いや、独身だが……なぜそのような質問を? まさか、お前、男が……?」
「な、なんだって!? まさか、天国で女の子に飽きたから男だけで旅をしたいと思ったんじゃ」
「ええぇ? 俺にはそんな趣味ねぇぞぉ、近づくなぁ!」
「違ーーーう!」
はぁ、何はともあれやはりこいつと一緒に女の子と出会うわけにはいかない。とっととレベル上げて宮廷道化師を目指そう。
「しょうがない、さっさと修行しようぜ」
「ああ、あらゆる意味でそれが最善だろうね。ひとまず食事を済ませようか」
「おう、ライアンも食えよぉ」
もう呼び捨てか。まあ守ってもらうのもスキル目当てだし、気を使う必要もないか。
「それじゃあ、私も同席させてもらおう」
そう言って、食事を持ってくるライアン。当たり前だが、頭の兜を脱いだ。
「えっ!?」
そこにあったのは、お世辞にも美形とは言い難いおっさんの顔だった。ちょっと髪の毛が寂しい。
「……えっ!?」
ナイトはイケメンの為の職業だったんじゃ……?
驚きのあまり声が出ず、口をパクパクさせながら雄峰と源三郎を見る。
「?」
どうした? と言わんばかりの不思議そうな表情で見返してくる二人。いや、覚えてないの?
「だ……」
「だ?」
「だ、騙したなあああああ!!」
キャラメイクの奴! 嘘をついたなああああ!?
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