第11話 臙脂(えんじ)

「臙脂(えんじ)」

濃い赤色全般を指して広く使われる色名。

「臙」は中国の「燕」という古代国家で使われていた赤色に

由来すると言われているが、当時の染料が何だったかは

はっきりとわかっていない。

人口染料が普及し、発色の良い赤色が登場した明治期に流行した。

(引用)



「あら、貴方お帰りなさい。」


「あぁ、ただいま。」


朝から出かけていた夫が帰ってきた


「…今夜久しぶりに外で食べないか?」


「たまにはいいですね。そうしましょうか。」


「出かけるまで、ゆっくりしてていいよ。

あとは私がするから。」


夫はいつも私を休ませようとする

結婚してすぐの頃も大概だったけれど

より甘やかされている気がするのよね


クローゼットを開けると、見慣れない袋が一つ


”君のために”


袋を開けると、エレガントな臙脂色のドレスが

サイズもぴったり。


「とても似合ってるよ。」


「まぁ、貴方ありがとう。」


「仕上げにこれを。」


夫は私の後ろに立って、私の首にネックレスをかけた


「これからもよろしくね。」


年甲斐もない老夫婦になってしまったけど

貴方と繋いだ手はそのままでもいいかしら?


C:0 M:80 Y:52 K:30

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