良い死に方

@Kitamiya1

読切

      良い死に方って何だろう


昔考えたことがあった。

その時僕はまず

こんな死に方はやだな

とか

僕的にありえないな

とかいう死に方を考えた。


最初に誰かを助けて死ぬのは嫌だなと考えた。

僕の死で助かった子がこれから僕の死に縛られながら生きていくのは嫌だった。

そうやって僕の最後で誰かの始まりを潰してしまうのは嫌だった。


次に病死。

苦しんで苦しんで死んでいくのは嫌だし、

僕の体質的にありえなかった。

僕は病気には滅多にはかからない。

いつだったか世間で何億と死者を出した病気が大流行していた時も僕だけはかからなかった。

これもありえないなと思った。


その次に考えたのは事故や事件での死。

これは場合によっては苦しまないが、

やはり僕の体質的にありえなかった。

僕の体は内面的にも外面的にもとても強いらしい。

昔色々あって切りつけられた時も、

車にぶつけられた時も、無傷だった。

これもありえなかった。


こうして考えているとキリがなかった。

だから次に、こういう死に方がいいなというのを考えることにした。


1つ目に思い浮かんだのが、

誰か大切な人と一緒に死ぬということ。

同じ痛みを共感しながら死ねるし、

何より大切な人を自分の死によって泣かせなくて済む。

死んだ後に大切な人の涙なんか見たくないもんね。

まぁ僕には大切な人なんてもういないんだけど。

家族も友達もみんな先に死んじゃった。

だからこそ、

今まで流してきた涙を大切な人に流して欲しくないっていう

気持ちが最初に出てきたんだと思う。


2つ目に思いついたのは、苦しまずに死ぬということ。

さっき言ったみたいな体質だから、

怪我もここ最近はしてないんだ。

だから痛みに対する恐怖が大きくなってて、

すごく怖いんだ。

だから……

できれば苦しまずスッと死ねたらいいなって思った。


3つ目は、

死ぬ前に時間があるということ。

事故とかみたいに唐突に死んでしまうのは嫌だということ。

死ぬ前に今までのことを振り返って死にたいし、覚悟を決める時間が欲しい。

そういうことだ。


……


ここまで聞いてて感のいい君なら気づいていると思うんだけどね、、

実は僕死ねないんだ。

なぜ気付けたかって?

もう何千年も生きているからさ。

それに、何度も試したさ。

でも、ダメだった。

そうしてるうちに友達も家族もみんな先に死んじゃったよ。

そうして悲しさに浸っていると、思ったんだよ。

どうせ死ぬなら、

一度きりの死なら、

良い死に方をしてやろうって。


……そういえば、

まだ結論いってなかったね。

僕にとっての良い死に方は、


大切な人とビルから飛び降り自殺すること


それが僕の中のベストだった。

まぁ、

君は死ねるんだから、

君の中の良い死に方をしなよ。


昔あった幽霊がこんなこと言っててね、

一体どんな死に方すれば、

あんなんになれるんだろうねw

僕にとってはどうでも良いことだったんだけど、

一つだけ学んだことがあったんだよね……

ところで


 君はまだ生きてるよね ?



それが、

僕が彼……

サイコパスから最後に聞いた言葉だった。

それからしばらくして目を覚ますと、

僕は解放されていた。

それから僕は、

良い死に方についてよく考えるようになった。

こうあって欲しいということや

こうは嫌だということを

何度も

何度も

考えた。

そしてある時、

出会った少年にこう話した。

ねぇ……


      良い死に方って何だろう

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