2ターン目 谷口(奴隷)

武藤は祈祷師になった。

その事を知る人間は大勢いる。

彼に『略奪』を仕掛けた僕を含めて。


島尾が武藤に頭を下げて、自分が【祈祷師】だと名乗りを挙げた。

そして今度は彼が【全員助かる方法】を熱弁し始めた。

完璧な、理想論だった。


そして、上野という女が、意を決したといった様子で立ち上がり


「待って」と言った。

「武藤が祈祷師になったのは、分かる。島尾だっけ?貴方が語った方法は完璧よ。でも、『貴方が祈祷師かどうかの証明』になってない」


もっとも、だ。

名乗るだけなら、誰にも出来る。



僕だって、できる。



他の人の【役】も、大まかに推測する事は出来ても、【証明】するとなると困難だ。



電光掲示板に【2ターン目が開始されるまで】【あと50分】という残酷すぎるカウントダウンが表示されている。



花田が悲痛な声で「神の俺を冒涜しろ」という声さえ、この数字に比べれば、信用出来なかったり。



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