第9話 畑…アレ?
「おとーちゃん、またゴロゴロ?」
「はっはっはっ、当たり前だろ。今日は休みと決めたからには好きな事をしないとな」
昨日まで働き詰め(?)だった俺は今日を休みにし、起きてから母さんの掃除が始まるまで家の居間でゴロゴロした後に、カフェでゴロゴロをかましていた。
好きな事=ゴロゴロ=正義である。
「すきなこと……じゃあごいっしょに、はたけにおみずあげにいこ!」
唐突に、メマが元気に俺の手を引きながら言う。
そう言えば畑作ったんだっけか。畑作った直後に色々ありすぎて忘れてたぞ。まぁ…でも……
「メマが1人で出来るなら1人でやっても良いぞー」
「めっ! おとーちゃんもいっしょ!!」
……どうやらご指名らしい。行かないってもずっと手を引っ張っていそうな雰囲気だった為、俺は諦めてメマに手を引かれるままに畑へと向かった。
この畑は俺が3日ぐらい前に作って、一昨日に枝豆の種を植え、その夜に起きた俺がメマと畑で会った。勿論、そこからは何ひとつ手を付けず忘れていた訳だが……
「何だこれ?」
そこにあったのは何処かキラキラしてある植物だった。形的には恐らくは枝豆で間違いはない。ないのだが……明らかにキラキラしている。
それも物理的に、水に光が反射しているかの様な眩しさを感じる。
「野菜がキラキラするって…そんなの聞いた事ないぞ。しかも2日でここまで育つ訳もない」
不気味、その一言が俺の頭を支配した。
普通の野菜の成長速度を超越している速度だ。
流石に、手は出せないな……せめて触るとしても誰かに相談してからーー
「すごいよー! おいしそー!!」
「あ、おい!」
と思っていると、目の前でメマがその植物に触れているのを見る。そんな俺は急いでメマを抱き上げる。
「む?」
「『む?』じゃねぇよ! 何か変な毒とかあったらどうするんだよ!」
「そんなのないよ! おいしいよ!」
メマの口元には既に何かの食べカスが付いている。
「もしかして、食ったのか?」
「? うん。ダメだった……?」
いや、まぁ、ダメではない……畑の採れたての野菜を食べてると思えば問題ないが、枝豆って生で食えなくね?
「体調とか大丈夫か?」
「うん!!」
メマは元気いっぱいに手を挙げる。
見る限り、メマが嘘をついてる様には見えない。逆に元気過ぎる気もするが異常な元気という訳でもない。
食べて……みるか?
メマ同様光る枝豆を手に取るが、流石に生で食う程好奇心旺盛でなかった俺は、出来てる枝豆をいくつか収穫し、KIROへと持って行った。
「おいしーー!!!」
「どうなってんだこれ?」
凄いよこれ? 茹でて土地から出た『岩塩』振っただけなのに、ご飯何杯も行けるぐらい美味いんですけど?
うん。ちょうどいいや。
俺は顎に手を当てながら頷いて虚空を見上げた。
枝豆、もっと作ろ。
KIROの名物が"枝豆"に決まった日だった。
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