第4話 No.5の考え 及び 真実を知る者

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「あれ~。久々に遊びに来たのにいないじゃーん。せっかく遊びに来たのにー。えぇ~。まぁ、俺たちは、あぁ、えっと、私達の寿命なんてないに等しいんだし!また適当に会えるかぁ。」

誰もいない研究所でそう話す生き物が一匹。


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次の日、レツを連れてゾンビ狩りの登録、いわゆるギルド的な所に来た。レツはギルドの中を見渡しキラキラと目を輝かせ楽しそうだ。

「おいおいおい。久々にエースさんを見たと思ったら女連れで引退連絡でもしにきたんですかねぇ!」

「それともそろそろ一人で狩るが大変になってきたんで、誰かと組もうと思ったら女しか相手がいなかったのかなぁ??」

野次が飛んでくるが気にしない。いつものことだし、こんな底辺の奴らに割く時間が勿体無い。

「君は随分嫌われているんだね。」

レツがそう言った。にしてもストレートに言い過ぎたと思うが。俺はその言葉に答えることはなく受付のところまで歩いていき、受付の奴にこいつの登録、孤児と伝えた。レツはおそらく個人情報を覚えていないだろうし孤児といったほうが面倒くさくなくてよい。

「お二人をチーム登録致しますか?」

「あぁ。」

「了解しました。ではそちらのえーと、レツさんですね、試験に移りますのでご同行願えますよう。」

受付にレツを引き渡し俺もその後ろへついて行く。

試験とは捉えてあるゾンビと1v1をするもので、倒すたびにゾンビを徐々に強いものに変えていくというものだ。その倒したゾンビのレベルによって狩り人としてのランクが決められる下からE D C B A S と6段階

俺はSランクだ。一昨日の筋肉ゾンビはおそらくB〜Aあたりだろうからそのへんだろう。

俺の予想は外れた。Aランクをレツは5分とかからず倒してしまったのだ。受付はここではSランク試験は受けれないためAランクとして登録しておく、と言った。

「レツ、Sランク試験受けたいか?」

「…面倒くさいのは嫌いだから遠慮する。ひとつ上のクエストまでは受けれるんだし大丈夫のはず。」

ということでSランク試験は受けないことになった。受付が紹介状だけでもというのでそれは受け取っておいたが、使うことはないだろう。

「お嬢ちゃーん、そんなやつとじゃなくて俺たちと遊ぼうぜぇ。」

「そりゃあいい!こっち来いよ!」

ほかの狩り人からそう言われたレツが俺に言った。

「これが噂に聞くモテ期というやつか。」

「そんな装備にしたからだろ。勘違いすんな。」

マントがあるとはいえ前隠れてないし。ヘソ出しタートルネックのタクトップみたいなのに短い見せパン履いてたらそりゃそうなるだろうよ。

「布面積多いと動きづらい。それに、色々使い勝手がいいんだ。」

うるさい野次馬たちを無視してギルドを出たあと一昨日の依頼主の元を訪ねた。聞くと、新しい依頼があるのだという、今度はレツを連れてい依頼主の部屋へ入った。

「やぁやぁ。昨日ぶりだね!おや、知らない子がいるけどもしかしてコレ?」

そう言ってニヤニヤしながら小指を立てて来たので面倒くさいなと思いながら笑顔で答える。

「いえ、残念ながら仕事仲間です。フリーでそこそこ実力があるので、私と組んでもらったんですよ。それで、今回の依頼は?」

「いやぁ〜、そりゃあ残念君にも春がきたのかと!いやね?結構依頼受けてもらってるからさぁ、心配なわけよ、君が一人で寂しく一生を終えないかとかさ!あ、良かったら一人好きな子選んで連れて行っていいよ。」

「お気持ちだけ受け取っておきます。」

「釣れないねぇ。…依頼内容は昨日ファイ君が調査に行った研究所の周辺、半径2キロのソンビ駆逐について調べてきてほしい、というものだよ。」

「ゾンビ駆逐?普通に誰かが倒したのでは…?」

「そうであってほしいんだけどね。基本的に皆ゾンビを倒したらその報告をギルドにするだろう?報酬も入るし、でもその駆逐数の報告が誰からも入ってきていないんだよ。倒されたゾンビの中には相当な額になるレベルの特殊個体もいたんだ。」

「なるほど、そのゾンビたちを駆逐したものが何者か、またそのヒントを探して来ればいいんですね?」

依頼主はうん、と頷き付け足した。

「でも、その依頼はファイ君じゃなくて君にしよう!」

と言い、レツを指さした。

「ファイ君が認めるほどの実力気になるしね!ファイ君はここで僕とお留守ばーん。君は僕の使用人が送っていくよー。じゃ、依頼終わったらまた会おうね〜。」

そう言われたレツは無言で使用人について行った。

いや抵抗しろよ、反論くらい言えないのかあいつ。

俺が席から立ってレツを追いかけようとすると、

「だめだよ。ファイ君、君はここで僕と少しお話 をしよう。」

と依頼主が声のトーンを落として言った。俺はレツなら大丈夫か、と思い席にまた座った。


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