第6話 フレンド

 レイは時空の歪みを通り抜けた。

「ここは、どこだろう?」

レイは自然に溢れた星に降り立った。

「まるで科学が発達する前のガイアのようだ」

レイは森の奥深くにある岩山に足を踏み入れた。その岩山に姿を隠すようにバリエルがいた。レイがバリエルに語り掛けた。

「バリエル、反省しているようだね。僕とガイアに帰ろう」

バリエルが立ち上がり、レイに近づいたとき、勢いよく腕を伸ばした。レイは咄嗟に避けた。立っていた岩山に大きな穴が開いた。バリエルの指は鋭く尖り、爪のようになっていた。

「バリエル、その指…」

「…俺はもう普通じゃない。ガイアにも帰れない。このままこの星で消える」

その後、バリエルはレイに向かって激しい攻撃を浴びせた。レイは必死にバリエルの攻撃を避け続けた。その最中に、レイはバリエルの身体が透け出していることに気づいた。それはバリエルが光線を放つ度に速まっていった。それでも無暗に攻撃を続けるバリエルを、レイは殴り飛ばした。それは友人である彼の思いの籠った一発だった。

「馬鹿野郎!」

「うぐっ!」

「このまま続けたら君は本当に消えるよ」

殴り飛ばされたバリエルは岩山に激突し、そのまま動かなくなった。レイが駆け寄って言った。

「馬鹿な真似はやめて、ガイアに帰ろう」

「…しばらく考えさせてくれないか」

そう言うと、バリエルは岩山に穴を開け、その中に籠った。バリエルの意思は固く、その身を石に変えた。バリエルはその星と一体化し、レイと他二名のガイア人の力を合わせても引きはがすことは出来なかった。バリエルを見放すことは出来ないレイたちは石化し、この星を見守り続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る