父に言われて都会の中学に通うことになったメイジ。電気すら通ってない文明から閉ざされた田舎に住んでいる彼にとって都会での生活は驚くことばかりだった。車がある、テレビもある、スマホだってある。魔術こそ見当たらないが便利なものは大体揃っている!……魔術? そう、実はこのメイジという少年、異世界から日本の学校に通っているのだが、本人はそのことに全く気付いていないのだ!
異世界人ならではのスキルを披露して人気配信者になったかと思えば、魔族や超能力者たちの戦いに巻き込まれたりと、メイジの日常は実に波乱万丈なのだが、地元ではこのぐらい当たり前といった感じで、目の前のトラブルを淡々と切り抜けていく姿は実に爽快。
戦闘などでは非常に頼もしいメイジだがその一方で、友人に教えてもらったカッコいい言葉をすぐに使おうとしたり、初めて見た電車の速さに感動したりする姿は実に素朴で可愛らしく、日本の常識を学ぶにつれて少しずつ成長していく様子はずっと見守りたくなること請け合い!
また周囲の人々が常識はずれなメイジの言動に振り回されつつも、優しく彼を受けいれてくれて、読んでいて心が温まる作品にもなっている。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎 憲)