第3話

僕は息を切らしながら家に辿り着いた。


「ハァ、ハァ…」


握り締めていた手を広げると、あの女にもらった光を放つ石がある。


ドアを開けて部屋の中へ入る。

奥の部屋のベッドの上には、亡くなった母さんが横たわっている。

このままでは埋葬されてしまう。


僕は心臓を高鳴らせながら、光る小さな石を母さんの額の上に置いた。


石から出ていた微かだった光が強くなり、煙が出てきた。


母さんの頬に赤味が差して、唇が僅かに震えた。

「母さん!母さん!」


母さんはパッチリと目を開けた。

僕を見るとキョトンとした。


「リアム…、母さんは、今、どうしていたの?」

僕は流れ落ちる涙を拭った。


「母さん、母さんは一度死んで、生き返ったんだよ。」


「え?そんなまさか…」

「母さん、また会えて良かった。

じゃあ母さん、僕、もう行かなきゃ。」


「え?どこへ?」

「僕、あのソフィアさんと契約したんだよ。

母さんの命と引き換えに、僕はソフィアさんの家族になるんだ。」


「えぇ!?そんなバカな事!」


「バカじゃあないよ。」


僕は母さんを抱きしめて頬にキスをした。


「大好きな母さん、さようなら。」

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