第2話

女は一瞬沈黙してから言った。

「ただでやれって言うんじゃないよね?」


「もちろんです。僕に出来る事なら何でもやります。どうしたら、母さんを生き返らせてもらえますか?」


女は僕を見つめながら言った。

「あんたが私の家族になってくれるなら、願いを聞いてやってもいいよ。」


僕は目を見開いた。

(え?この人の家族になるの…?)


しかし、そうすれば、母さんが生き返る。


「…わかりました。あなたの家族になります。」


女は目を細めてニヤリと笑った。


「いいね。じゃあ、この石をあげよう。」


女は懐から、微かに光る小さな石を取り出した。

女はその石を僕に渡しながら説明した。


「その石をあんたの母さんの額の上に置いてごらん。母さんは息を吹き返すよ。

もし、母さんが無事に生き返ったら、あんたは母さんに別れを告げて、ここに戻ってくるんだよ。

あんたが私の家族として生きることが、あんたの母さんが生きられる条件なんだからね。」


僕は石を受け取り、見つめた。

(この石が、母さんを生き返らせてくれるのか。)僕は石をギュッと握り締めた。


「ソフィアさん、僕戻ってくるよ。じゃあまた後で。」

僕は体の向きを変えると、今来た道を駆け足で戻って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る