何かを手にした時、僕は何かを失う

だから500

第1話

僕は闇深い森の中を足早に進んでいく。

目的は一つ、さっき亡くなってしまった母さんを、あの女に元に戻してもらう為だ。


どのくらい歩いただろうか、木々の中に屋敷が見えてきた。


仄暗い灯りの灯った窓に、人影が映っている。


玄関口に備えつけられたベルを鳴らした。


ドアが開くと女が立っている。

「なんだい、あんた。」


化粧の濃い、年齢不詳の女だ。


僕は胸の鼓動を早めながら言った。


「あなたは、ソフィアさんだよね?

僕はリアムと言います。

今日はお願いがあってきました。」


玄関口に立つ女は目を細めた。


「ふうん、お願いねぇ。」


「お願いです。母さんを生き返らせてください。

あなたが不思議な力を持っているのは、噂に聞いて知っています。」

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