第75話  プロット整理と理解のための一章

 自分でもこんなに長い文章を書くと思っていなかったのですが、最初は金閣寺くらいのスケールを考えていたのに、姫路城になりそうです、笑。


 まるで数年前に訪れたバルセロナのサグラダファミリアの様に感じられてきました。あんないいもの出来るとはとても思いませんけれど。


 この小説の序章でも書きましたけれど、私は小説を建築物か織物のように構想します。だから最初にプロットやキャラは緻密に考えるのですが、当初の建築物が変更になってゆくことは大いにあるのだと思い知らされました。これがデリダのいう「脱構築」や「差延」なのかも、と思ってしまいます。小説を書いているうちにまた哲学に萌えそうです。


 それで、現在までの地点で、この小説の鍵となる法隆寺の「隠された十字架」に辿りつきました。ここで整理しないといけないのは、小説で登場する元々の史実に存在する人物と、私がクリエイトしたキャラです。例えば、蘇我入鹿は史実上のキャラですが、藤崎マヤは私の創作キャラです。


ここから、プロットが


主人公 花田耕平(神様研修者)+神様研修センター職員

       vs

敵対者 笠村和泉守(怨霊)+藤崎マヤ(サキュバス・魔女)


に展開しますが、この笠村和泉守は私の創作キャラで史実の人ではありません。また、笠村を滅ぼした戦国大名、村地右京大夫時定も架空の人物です。しかし、戦国時代の史実を舞台にしていますので、歴史上の人物も登場します。


例えば、室町幕府十三代将軍足利義輝や、三好長慶、松永弾正久秀や関白近衛前久です。


そして、この世で非業の死を遂げた藤崎マヤは、笠村の一族が籠城後、燃え盛る城中で一族が滅びたことを知り、それを山背大兄皇子一族の非業の死と結びつけます。彼女にとって権力によってこの世が成立している事実が相似形として把握されるのです。


 彼女が当初神様として派遣された神社、元の笠村の城は、凡々凸山ぼんぼんおうやまに存在します。ここからの地名も創作です。そしてこの神社の御神体は、女陰即ち女性器を象った岩であり、依代はまさにサキュバスである藤崎自身です。この山の隣にある凡々凹山ぼんぼんとつやまの御神体は男性器、ペニスを模った岩で、ツキヒコ、というマッチョでイケメンの依代がいます。


 これは、陰陽思想を表したものです。


 即ち、凸ー陽、の一部として陰の女性器があり、凹ー陰の一部として陽ー男性器、がある構造です。ところが、藤崎はこの精神世界のバランスを破壊して神道を崩壊させようと試みます。即ち、ツキヒコ(月彦)または、突くーscrew ヒコーboy とセックスしようとするのです。


 素粒子物理学では、この宇宙は物質と反物質で構成されていて、そのバランスで生成されています。時間は一方向に流れているのではなく、虚数時間と実数時間が繰り返し、虚数時間の時は反物質が物質を数的に上回り、宇宙はブラックホールに縮小し、ゼロとなる特異点で反転し、物質が反物質を数的に上回る。これは丁度、陰陽思想のアナロジーです。アインシュタインやボーアが東洋思想に被れた訳が分かりますよね。


 ところが、物質と反物質が時間を超越して衝突すれば、宇宙は恐ろしいエネルギーで崩壊します。これを藤崎は精神世界においてやろうとするのです。この世への復讐と、最高のセックスを求めるために。


 ここにもう一つの不確定要素を登場させる計画です。それはサイコロを振って運命を決める山姥、「賽婆さいばば」です。


 量子力学において、デンマークの物理学者、ニールス・ボーアは、素粒子が観測によって「粒子にも波動にもなりうる」として、物質の「相補性」を説きました。それは素粒子がどういう形で観測されるかという確率による、としたのです。それをドイツの天才物理学者、ヴェルナー・ハイゼンベルクは「量子の不確定原理」として論文に発表したのです。これに対してかのアインシュタインは


「神はサイコロを振らない」


という名台詞で否定しました。物質の状態は観測者がいなくても

宇宙の法則で決定されている。ー実在主義。カッコイイですね。


サイコロを振って何が発生するか試そうとする藤崎マヤ。

己のサイコロに完全な確率を過信する賽婆。

そして、サイコロを振らせない、と決意して戦いに臨む

主人公、花田耕平。

サイコロを振らせなければ、花田は神様になれるのです。


もうお分かりの様に、第二章後半では、物理学が比喩で描かれます。七百猫の代わりに、そう、シュレディンガー博士の飼い猫


シュレネコが大活躍します。


 引き続き、お読みいただければ幸いです。理系の知識はできるだけ分かりやすくシュレネコを介して述べる計画です。


また、エッチな私の分身、藤崎マヤもセクシーに全てを演じてくれるよう、放送コードギリギリに攻めますのでお楽しみください。笑。


著者 山谷灘尾
























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