第47話 神様への道


「では、私がこのスクリーンを通さずに神様になろうとしているのはどう解釈したらいいのでしょうか?」


私はリサに尋ねた。


「それは花田さん自身が選んだ道なのです。あなたは前世で偉業を成し遂げられたので、ここのスクリーンに自身を映す必要などなかったのです。気がついていないだけで、結局すべてはご自身が選んだ道なのです。」


「でも、自分が神様にふさわしいなんて、傲岸不遜ではないのですか?そんなことをおっしゃられると自己嫌悪になりそうで怖いです。」


「だからあなたには、厳しい試練が与えられているじゃないの。笠村和泉守は、残虐非道と恐れられた戦国の荒武者で、配下の怨霊が付き従っています。そして藤崎マヤは、霊能力と黒魔術の高いスキルを兼ね備えています。更に女というあけすけな武器を使って誘惑してくるかもしれない。あなたは単独で彼らと戦い、勝たなければならない。殺害されれば、あなたは彼らの念ずる凶悪な異世界へ転落していくかもしれない。だからあなたに私の動画を見せ、アーサー王の話をしたのです。


 神と言うのはね、慈愛がまずは大切ですが、敵対する悪に対しては、時に狂気とも言える怒りで対処しなければならないのです。そこが神と仏の違いかもしれない。


 命がけで戦って平和と安定をもたらすために、あなたはこの世に遣わされたのです。決して傲岸不遜でも誇大妄想でもない。厳しい道を自ら選択されたあなたには最大の尊敬が払われなければならない。そのことをお伝えするために今日はおいでいただいたのですよ。」


 私はやっと自分が神様にふさわしい存在なのだと悟りつつあった。しかしそのためにはこの試練を乗り越えなければならない。幸いセンターは全力でバックアップすると言ってくれている。それに私には心強い支援者が何人もいる。高木、黒田、それに空手の師匠である宮城恵尚、そして私に勇気を与えてくださった菅原道真公やこれから出会う神々。


 不安は計り知れないほど大きいけれど、前世よりさらに大きなチャレンジを与えていただいていることに感謝すべきなのではないか。


「本日はありがとうございました。やっと自分に覚悟がつきました。閻魔王様もお体大切にお仕事をしてください。」

「ありがとうございます。私は前世でがんばりすぎちゃって過労死したの。もう充分反省しているから、ここではマイペースで仕事するわ。それからこの戦いに勝ったら、もう一度ここへ報告に来てくださいね。みんなで乾杯したいわ。高木さんも美香ちゃんも一緒にね。」

「はい、喜んで。」

浅見は大声で返事をした。


「高木さん、花田さんを全力でサポートしてね。あなたにはそれが一番似つかわしい仕事だわ。」

「もちろんですとも。」


高木は私の方を見てうなずきながら言った。私たちは閻魔王庁を後にした。


つづく


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