第41話 青赤鬼の乱(1)


 「 新閻魔王、ブレディ・リサさんは古い役所を取り壊し、鉄とガラスでできた超近代的な庁舎を建設されました。そして、その年大胆な改革案を発表されて、3年間で職員を大幅に入れ替えられたのです。


 クオータ制を採用して、男女の比率をそれぞれ5割にし、司録、司命というトップも、男女でひとりずつに分けられた。女子トイレを増設し、男女の更衣室も新設されました。女子職員が快適に過ごせるような工夫をあらゆる方面で行われたのです。そして、職員全員が休憩できるラウンジやカフェ、テニスコート、データセンターの新設、そして、情報管理の一元化など、今まであったシステムをゼロにして最新鋭の閻魔王庁を作られたのです。


 当然、それに猛反発したのは、今まで暴利を貪っていた鬼たちです。彼らは王庁の建物から締め出され、仮設の鬼営舎に押し込められ、監視カメラで勤務中の飲酒や餅つきを咎められることになったからです。



 青鬼、須餓鬼丸と赤鬼、天凱丸は配下の鬼たちを大勢引き連れて、データセンターや男女トイレ、更衣室などをご存知の鉄製棍棒で破壊して回りました。そして本拠地である金陵山に砦を作り、立て篭もったのです。その上、手榴弾や火炎瓶、棍棒や日本刀で武装して反乱を起こしました。


 ブレディー・リサは烈火の如く怒った。彼女は臨時予算を組んで武器商人から100キロに到達する長距離ミサイル5基とその当時最新鋭だったステルス戦闘機を10基購入すると、金陵山の鬼砦を完膚なきまでに破壊されたのです。


 鬼どもは野蛮とは言え、あれだけの近代兵器の前にはなすすべもなく、ほとんどが手足胴体もバラバラになって殺害されました。ところが、それでも生き残った首領達と幹部、鬼兵士たちが王庁を目指して襲撃してきたのです。


 このあたりからはCGで再現されたドキュメンタリー映像を見ていただきます。この世で作られたCGは凄いですよ。もう現実そのままと言っていいのでご覚悟を。ショックもあるかと思いますが、きっと乱の状況や、常軌を逸するブレディーさんの人となりもある程度お分かりになるかもしれません。」


 浅見が部屋の前にあるパネルのアイコンを操作すると、カーテンが滑り降りてきて部屋が暗くなった。スクリーンも降りてきて、そこに映されているのは迷彩服に身を包み、頭に通信用のヘッドセットをかぶり、マシンガンを手にしたブレディー・リサだった。彼女の背中には見たこともないような巨大な刀剣がつり下がっていた。


つづく




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