五日目(水)

「ねぇ、高校はどこに通ってる?」

「私はあそこだよ、あの角曲がったところの高校。」

「え、あそこめっちゃ頭いい高校じゃん。すごいね。」

「君はどこの高校なの?」

「僕は高架下をずっとまっすぐ行ったところにある高校だよ。」

「え、あそこの高校めちゃめちゃ部活強いよね。何部なの?」

「野球部だよ。」

「やっぱり、厳しい?」

「いや、そうでもない。」


彼女との会話は途切れることがなくなっていた。

お互いの事や、学校のことなどたくさんの事を話した。

一見くだらない話ばかりかもしれないが、僕はそれがとても楽しかった。


けれど、彼女は橋を下りると消えてしまう。


いったい彼女は何者なのだろうか。

まず生きているのか幽霊なのか、今までの不可解な点を振り返ってみると、やっぱり幽霊なのではないかと思った。

橋の上から出ることが出来ないのだとしたら、地縛霊と言った方が合っているかもしれない。

そうだとして、なぜ僕の前に現れたのだろうか。


一人で自転車を漕いでいると、去年この橋で事故があったのを思い出した。


まさか...


僕は明日、彼女に真実を聞こうと心に決め、学校へと自転車を走らせた。

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