第18話.ホークの隠れ家

「リュート今回の作戦なのだが、特攻隊からは私とリュート、守備隊からはハウルとロベルト、後方支援部隊からはハリーとポルカが行くことになった」

「えっポルカって新人の?」

「そうだ。」

「でも、新人にこの任務はさすがに…」

「リュートの言いたいこともわかるが、ハリーが1度ポルカに聞いた場所に行ったらしいのだが、何処かわからなかったらしい」

「う~ん…」

「大丈夫だ。いざという時は私たちでサポートしてやろう」

ポルカのことを考えると少し不安ではあったが、ストーンの言う通り、いざという時はみんなで守れば何とかなるだろう。何よりポルカしか道を知らない以上、ポルカがいないことにはホークの隠れ家を見つけることもできない。


6人での調査が始まった。本来であれば、守備隊を先頭に特攻隊後方支援隊という順に歩いていくものだが、今回の場合はあくまで調査が名目なので、後方支援隊が先頭になる。後方支援隊を守るように特攻隊、最後に守備隊という形で進んでいく。先頭歩くのはもちろんポルカである。体が小さく、弱々しく見えるポルカを見る度に本当に大丈夫なのかと心配にはなったが、そんなことは杞憂だった。ポルカは体こそ小さいが、とても素早く俊敏に動いていた。本人曰く、ロベルトが王宮騎士に入っ時から鍛えていたと言っていたが、あながち嘘ではないらしい。キビキビと動くその姿を見ていると、後方支援隊こそが天職なのだろうと感じる。しばらく進んでいくと、ポルカの足が止まる。

「どうした、ポルカは何かあったのか?」

ポルカの足が止まったことにより、異常事態が起きたのかを確認するストーン。

「はい、ストーン様。少し先の方に盗賊と思われる人物がいるのですが、どういたしますか?」

「何それは本当か?」

「確実ではないのですが、風貌的には盗賊だと思われます。」

「そうか、では少し様子を見よう。」

ストーンの指示通りに盗賊の様子を見ながら進む。どうやら盗賊は今から向かうホークの隠れ家に向かっているらしい。バレないように慎重に後をつける一行。鎧の擦れる音が極力しないよう慎重に歩く。盗賊が隠れ家に入りポルカがストーンの方を振り向くそれと同時にポルカが

「ストーン様。危ない!」

バシュッ

ストーンが振り向いたと同時に盗賊の顔に矢が刺さる。どうやらいち早く感づいたハリーが敵に向けて矢を放ったようだ。

「うぉぉぉ~」

盗賊が倒れたと同時に周りから残りの盗賊が一斉に攻め込んでくる。どうやら私たちは罠にはめられたらしい。本来では動揺し、敵に翻弄される場面のはずだが、今回は3部隊長が揃っているので、翻弄されることもなく順当に対応していく、どうやら敵の数はそんなに多くないらしい。ストーンやハウルの指示通り、盗賊たちをさばいていく、奇襲の失敗した盗賊達はもう既に烏合の衆で相手にもならない。先頭の囮役の盗賊が半ばヤケクソで斬りかかってきた頃にはもう全てが終わっていた。

「これで全てか…みんな無事か?」

ストーンがそう呟く。十数体の盗賊の亡骸が転がる中各々の怪我の確認をする。どうやら誰1人けがを負っていないらしい。奇襲にあったことを考えると、隠れ家が偽物なのは明白だが、念のため隠れ家内部も調べてみることにする。どうやら内部は休憩所の用でめぼしいものは見当たらなかった。

「ハズレか…」

「ストーン様は申し訳ありませんでした。」

ストーンのつぶやきに対し、謝罪するポルカ。

「あぁ…いや、そういう意味ではないのだ。気分悪くしたんならすまない」

「いえ、そんなことはありません」

「そもそもそんなホークの隠れ家が見つかっただけでも大金星だ。こうやって少しずつヤツの隠れ家を叩くこと自体が奴の首を絞める行為に繋がっていく」

ポルカに向け労いの言葉をかけるストーンだが、ポルカの方は功績を作ることができず、とても悔しそうだ。

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