第三章 戦乙女(ヴァルキュリア)の行進
第20話 形勢一変
---三人称視点---
パールハイム城攻防戦に勝利した連合軍は、
部隊を二つに分けて、古都パールハイムから北上及び東進した。
北上部隊はラミネス王太子が、
東進部隊はパルナ公国のシャーバット公子が指揮を執った。
6月23日、勢いに乗る連合軍の北上部隊は、
また同様に東進部隊も
立て続けに勝利を収めた連合軍は勢いづいた。
その中でも一際称賛と歓声を一身に浴びたのが、
連合軍の総司令官ラミネス・フォア・アスカンテレスであった。
完全無欠と思われた帝国軍相手に立て続けに勝利を収め、
パルナ公国再建にも大きく貢献した。
それに加え類まれな美貌と頭脳の持ち主、
そのような存在が大衆の関心を引くのは必然的な流れといえた。
だがそれと同時にそういった存在に嫉妬し、
敵愾心を持つ者も同様に存在する。
彼の実弟であるナッシュ・フォア・アスカンテレスもその一人だ。
しかし大国アスカンテレスの王太子であり、
厭戦気分が充満していた連合軍を再建させた
ガースノイド帝国という大きな危機となる存在の事を考慮すれば、
現時点では若き連合軍総司令官の力と頭脳が必要だったのは明白である。
また若き
特にリーファは見目麗しい金髪碧眼の美少女。
彼女を「解放の女神」と呼ぶ者の数は日に日に増していった。
だが当の本人はそれに慢心する事なく、目の前の任務に邁進した。
一方のガースノイド帝国は帝国建国以来、初めての大敗を喫して、
その併合領土内で旧王統派、旧為政者が民を操って各地でデモや蜂起を起こさせた。旧バールナレス、ファーランドといった帝国総督府内でデモや暴動が起き、
帝国軍総参謀長ジョナサン・フーベルグは、
その頭脳と手腕を駆使してそれらの対処法を試みた。
ガースノイド帝国は基本的に宗教支配主義を否定していたが、
信教の自由までは否定してなかった。
あくまで閉鎖的かつ一部の特権階級のみが暴利を貪ること悪行を弾劾するのであって、宗教という存在自体は否定してなかった。
むしろサーラ教から弾圧を受けていた異教徒であるロヴェリア教徒も極少数ではあるが受け入れていた。否、受け入れる姿勢を装っていた、と言った方が正しいであろう。
ただ帝国の皇帝と宰相ファレイラス、総参謀長フーベルグは宗教という存在の影響力は、侮っていなかったので、全てに寛容的というわけでなく、
危険になりそうな存在は、事前にその芽を摘んでいた。
大事なのは信教の自由を許容するという演出であって、
言い換えれば帝国が教会勢力とその近隣諸国とは違う、
という政治的影響力を考慮して利用していると言うのが正しい見解であろう。
今回のデモや暴動に関しても宗教団体及び勢力への弾圧は控えた。
だが旧王統派、旧為政者達の配下、暴動を陰で操る連中には対して一切容赦しなかった。憲兵隊と帝都防衛部隊、更には暗殺部隊を駆使して、
市民及びの大衆の弾圧は徹底して避け、
旧王統派及び共和主義者のシンパ、内通者には、
容赦なく拷問して口を割らせて帝国内に潜んだ旧王統派及び為政者の関係者は、
暗殺部隊の手によって容赦なく粛清された。
総参謀長と帝国宰相が頭脳を駆使してこの一連の騒動を防いだが、
皇帝、宰相、総参謀長の三者で極秘の会議を行い、
帝国内の不満分子の対処と処罰を問題が大事にいたらぬのように細心の注意をはらった。結論から言えば、これらの一連の騒動も帝国が立て続けに連合軍に敗北を喫したからである。
よって皇帝ナバールは国内における不満分子の処遇は、
宰相と親衛隊兼帝都防衛司令官ザイドに任せて、
次なる戦いに向けて戦力の再編成に尽力をつくした。
こうして連合軍と帝国軍の再戦の土台が出来上がった。
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