第10話 戦乙女(ヴァルキュリア)誕生!

---主人公視点---


「どうやら気がついたようじゃな」


 意識が覚醒するなり、私は我に返り周囲を見渡した。

 すると私は輝いた魔法陣の上に立っていた。

 その私を観察するように、

 周囲の教会のお偉方連中がこちらに視線を向けていた。


 気が付けば私の右手に聖剣が、左手に盾が握られていた。

 どうやらさっきの出来事は、私が見た夢ではなさそうだ。

 私は腰帯に携帯したポーチから自分の冒険者の証を取り出した。


「こ、これは……凄い数値だわ」


 私の戦乙女ヴァルキュリアのレベルが一気に25まで上がっていた。

 それに加えて、他の職業ジョブで磨き上げた武器スキルや魔法も継承した。


 武器スキルや魔法には熟練度なる項目があり、

 スキルや魔法を使えば使う程、熟練度が上がり、威力や精度が増す。

 武器スキルや魔法は初級、中級、上級、英雄級、帝王級、

 聖王級せいおうきゅう神帝級しんていきゅうの七つのランクに分けられるわ。


 魔法に関しては、火、水、風、土、光、闇、念動、無属性の八属性があり、

 自分や味方の能力値ステータスを上げる強化魔法。 魔力で結界を張る結界魔法。使役する精霊や不死生物アンデット聖獣せいじゅうなどを呼び出す召還魔法。 医学方面でも重宝される回復魔法や解毒魔法などもあるわ。


 以上のように多種多様な魔法が存在する。

 とりあえず私は剣技ソードスキルを十個程、継承したみたいね。

 どのスキルも熟練度が高く、初級から神帝級まで使えるわ。


 魔法に関しては攻撃魔法は炎と光の二属性。

 ただしそれぞれの魔法の熟練度はかなり高い。

 更に聖王級せいおうきゅうの結界魔法。

 英雄級までの回復魔法と解毒魔法が使えるようだわ。


 これは想像していた以上に凄い力ね。

 これが戦乙女ヴァルキュリアの力か。 

 うふふ、これは凄いわね。


「うむ、どうやら無事に戦乙女ヴァルキュリアの試練を乗り越えたようだな。

 余、教皇アレステイ六世がここで命じる。

 戦乙女ヴァルキュリアリーファ・フォルナイゼンよっ!

 貴公の力を我がサーラ教会の為に使うのじゃぁっ!」


「はい、この力をサーラ教会の為に使う事をここで誓います!」


「うむ、期待しているぞ」


 教皇聖下は鷹揚に頷きながら、視線をアルピエール枢機卿に向けた。

 するとアルピエール枢機卿が小さく頷いて、一歩前へ出た。


「それでは早速だが戦乙女ヴァルキュリアに命じるっ!

 貴公はこのままパルナ公国にあるエレムダール連合軍の駐屯地に向かいたまえ。

 そして連合軍と力を合わせて、ガースノイド帝国と戦ってもらいたい」


「……はい」


 やはり帝国と戦わされることになったわね

 ガースノイド帝国、それはサーラ教会の不倶戴天の敵国である。

 聖暦せいれき1750年にガースノイド共和国で、

 クーデター騒動が起きて、若き英雄ナバール・ボルティネスが共和国の第一統領に就任。その後、第一統領ナバールは周辺国と戦争を重ね連戦連勝。 

 彼は瞬く間に国民的英雄となった。

 国民議会の後に英雄ナバールは終身統領となる。 


 国民はそれでは飽き足らず彼を皇帝の座につけさせた。

 そして聖暦せいれき1754年、共和国出身の皇帝となったナバールは、

 亜人のダークエルフ族、竜人族をと手を結び、配下に加えて、

 武力で制圧した周辺国の併合を重ねて、自国領を拡大化させた。


 その結果、帝国の隣国である神聖サーラ帝国は自国領土の大半を失い、

 アスカンテレス王国があるイルバンダ半島でも、

 猫族ニャーマンのニャルザ王国、犬族ワンマンのパルナ公国、

 兎人ワーラビットのジェルミア共和国の三カ国は、

 帝国の侵攻を受けて、自国領の半分を制圧された。


 そしてニャルザ王国、パルナ公国、ジェルミア共和国の三カ国は、

 アスカンテレス王国とアームカレド教国に援軍を求めた。

 勢いに乗る帝国を叩く為に、

 アスカンテレス王国とサーラ教会は三カ国の要請に応じた。


 だが彼等が想像した以上にガースノイド帝国は強かった。

 アスカンテレス王国はエレムダール大陸の中でも一、二を争う大国であったが、

 皇帝ナバール一世率いる帝国同盟軍の前に苦戦を強いられていた。


 そして聖暦せいれき1755年6月6日の現在。

 長期化するエレムダール大陸での戦争を終息させるべく、

 戦乙女ヴァルキュリアとなった私に白羽の矢が立ったようだ。


 まあこうなった以上は仕方ないわ。

 でもただ働きするつもりはないわよ。

 とりあえず貰える物は貰おう。


「ご命令を謹んでお受け致します。

 つきましては、この先の為に支500万ローム(約500万円)ほどの支度金が欲しいのですが」


「500万ローム(約500万円)か」


 アルピエール枢機卿が教皇聖下をちらりと見る。

 すると教皇聖下は小さく頷いて、アルピエール枢機卿に目配せする。


「では支度金として500万ローム(約500万円)を用意しよう」


「ありがとうございます」


「それと帝国との戦いに勝利すれば、

 私に地位と領地を頂けませんか?」


 アルピエール枢機卿が再びちらりと教皇聖下を見る。

 すると教皇聖下が低い声で応じた。


「まあそれぐらいなら構わんぞ。

 但し帝国に勝たねばその話もなかったものになるぞ?」


「はい、当然でございます」


「それ以外に何か望むがあるか?」


「はい、無事に帝国に勝って平和が訪れた際には、

 わたくしにお暇を頂けませんか?」


「そうじゃな、帝国に勝てればそれも許そう」


「ありがとうございます!

 このリーファ・フォルナイゼンの全身全霊を持って帝国と戦います!」


「うむ、期待しておるぞ。

 では余はもう退去する、アルピエール枢機卿後は任せた」


「はっ!」


 そして教皇聖下は護衛を引き連れて、踵を返した。

 するとアルピエール枢機卿が「コホン」と咳払いする。


「では戦乙女ヴァルキュリアリーファよ、今から馬車を用意させるから、

 早速パルナ公国へ向かうがよい!」


 と、アルピエール枢機卿。


「ははっ!」


 これで所持金は合計1500万ローム(約1500万円)。

 これだけあればしばらくはお金に困らないわね。

 兎にも角にもまずは帝国相手に戦うわ。

 その後は自由にさせてもらうけどね。


 まずは帝国との戦いに専念しよう。

 でも今の私なら帝国相手でも充分に戦える筈よ。

 見てなさい、このエルムダール大陸に私の名を轟かせてみせるわ!


 さあ、いよいよ私の新しい人生の始まりだ。

 私は大いなる希望と野心を胸に抱きながら、

 周囲の視線を浴びながら聖王宮を後にした。



---------


 名前:リーファ・フォルナイゼン

 種族:ヒューマン♀

 職業:戦乙女ヴァルキュリアレベル25


 能力値パラメーター


 力   :869/10000

 耐久力 :1630/10000

 器用さ :654/10000

 敏捷  :1234/10000

 知力  :1864/10000

 魔力  :3243/10000

 攻撃魔力:1785/10000

 回復魔力:1898/10000


 ※他職のパッシブ・スキル込み


 魔法  :ヒール、ハイヒール、ディバイン・ヒール

      キュア、キュアライト、ホーリーキュア

      プロテクト、クイック、アクセル、フライ

      フレイムボルト、ファイアバースト、フレアバスター

      ライトボール、スターライト、ライトニングバスター


 スキル :結界、対魔結界、封印結界、戦乙女の陣

      戦乙女の波動、戦乙女の祝福


武器スキル:イーグル・ストライク、ヴォーパル・ドライバー

      ダブル・ストライク、トリプル・ドライバー

      ハイ・カウンター、グランドクロス、

      ライトニング・スティンガー、

      シールド・ストライク、正拳突き、

      ローリング・ソバット、掌底打ち

      

 能力  :予測眼 分析眼 魔力探査

      能力覚醒、魔力覚醒


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