2-2
翌日、朝食を
「俺は今日は任務が入ったから留守にする。君の
「うん、分かった」
「本当は俺が付き添いたかったのだがな……あのタヌキおやじめ、わざと俺が不在の時を
彼は
フィオナは『タヌキおやじ?』と言いながら、ハチミツをスプーンですくい、パンケーキにたっぷりとかけていた。
朝食を終えると、彼女は
「変なところない?」
「そうだな、じっとしててくれ」
マティアスは
リボンは
「よし、いいぞ」
「ありがとう」
確認が終わるとマティアスは彼女に
手を
目の前にそびえ立つ立派な大きな白い建物。今からあそこに行くのだなぁと眺めていると、ルークがやってきた。彼は白いローブ姿だ。
「フィオナさん、はよーっす。そんじゃ行きましょか」
「おはようルーク。よろしくね」
「はいっす」
鎖を外してもらい、彼と共に部屋の外に出た。長い
階段を下りて外に出て、目の前にそびえ立つ王城に向かってレンガの小道を行く。
行ったことのない方へ歩いていくので、彼女は少しご
「緊張してなさそうっすね」
「うん。したところでどうなるわけでもないしね」
「ははっ、違いないっす」
ルークと話しながら数分歩き、王城に
中は白い石造りで、
フィオナたちが近づくと、扉の両側に立っていた騎士たちが扉を開ける。
中に足を
王の間には護衛騎士が六名、王の側近が二名、それぞれ玉座を囲うように立つ。
そして玉座にはこの国の王が
フィオナはルークに
「よく来たな、金の魔術師。私の名はディークハルト、この国の王だ。
よく通る低い声で、エルシダ王国の国王はフィオナに声をかけた。
彼女は顔を少しだけ上げて、目の前のルークをちらりと見る。彼は国王の
「ご尊顔を拝しまして
右手を胸にそっと当て、軽く頭を下げこの国の
この二人、すごく似ている……。
そんな心の声は
「そこにいるエディルークは私の
「甥……ですか」
甥ということは、ルークは王族に連なる血筋ということだ。そして本名はエディルークというのだと今知った。
フィオナは少しだけ
「エディルーク様?」
「いやもう今さらいいっすから」
彼はまた後ろを向いて、苦笑いしながら王の間に
そうだよね、今さらもう良いよねと彼女もすぐに
「さてと、君のことはマティアスから大体聞いているが、こうやって顔を合わせるのは初めてだからな。改めていろいろと聞かせてもらおうか」
「はい。何なりとご質問ください」
フィオナはルークの前に出た。国王は前もって聞いていたが、彼女の口から改めてガルジュード
帝国がエルシダ王国に対して
欲深い皇子は神器の使い手であるフィオナの力を使って、他国の豊かな領土を手に入れようと画策しだした。
そのためにまずは自国の力をより強めようと、
友好的とは言えないが、帝国と王国はお
国王が、帝国の皇子はどのような人物なのかと彼女に
エッチという部分は本来ならこの場では必要のない情報だが、彼女は言わずにはいられなかった。エロ皇子だと他国に知れ渡ってしまえという願いを
だって
「君には帝国への忠誠心はないようだと聞いたが、本当か?」
「はい。そのようなものは元々持ち合わせておりません。大切な故郷はありましたが、そこにはもう大切な人はおりません」
「そうか……ではもう
「はい。二度と戻りたくありません」
フィオナはきっぱりと言い放つ。
「ふむ。ところで君はマティアスのことをどう思う」
何の
マティアスとは口を
望みを聞いてくれて、細やかな気遣いで世話を焼いてくれる。
温かくて、一緒にいると安心する存在だ。そう、まるで――
「お母さん……? マティアスはお母さんみたいです」
「ぶはッ」
一番しっくりくる表現をしてみたら、後ろから
振り返ると、ルークが口を押さえてぷるぷると
「おかっ、お母さん……」
彼は
彼女は思ったことを口にしただけなのに、何がそんなに
護衛騎士や側近も、表情こそ変わらないが小刻みに震えているように見える。
「くくく……お母さんか……あいつ
国王は笑いを堪えながら呟いた。
(不憫……? そっか、男性にとってはお母さんと言われることは
せめてお父さんと言えば良かったのだろうか。だけと、どう考えても彼は『お母さん』がしっくりくる。一度言葉に表すと、もうそれ以外は考えられない。
だけどマティアスを
「あの、マティアスには言わないでいただけますか」
「くく……分かった。
国王が周りの者たちに目をやると、彼らは軽く頭を下げて
「お
この場にいる数人が今後口外しないなら、
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