3章 魅了魔法と夏の訪れ
3-1
国家
試験前も試験中も私と
そして、試験の結果は……。
「……学年、十五位……」
上の方、されど他の生徒たちの名前に
今までの試験では、この紙の一番上に満点で名前があった。
「……クラウディア
「学園始まって以来の
少し遠巻きにザワザワと私への心配の声が
「……クラウディアさん、
「最近放課後にあまり姿を見かけなかったな。学業以外に何か
「あ、ええ、いえ、大丈夫です、みなさん。ご心配ありがとうございます」
声をかけてきてくれた男子生徒数人にニコリと
すると、みんな
(私の試験結果が悪くなったのは、先生たちへの魅了魔法の
魔法のエキスパートである彼らなら、元々魔法の
うーん、もしかしたらこの十五位という成績も
「……ねえ、ちょっと、クラウディアさん?」
「はい?」
メロメロ状態の男子生徒たちが去っていき、やれやれと思っていると背中から投げかけられたのは
豊かな
「彼は
知っている。数えきれないくらいその忠告は受けた。
問題はその忠告後まもなくご令嬢ご本人が私にメロメロになってしまって、なんだかどうにもならなくなるということで……。
「ちょっと、真面目に聞いていらっしゃいます?」
……。
……で、なんだけど、なかなかこの薄紫の君はメロメロ状態にならない。
…………まさか。
「……わ、私……」
「な、なんなんですの? 急に
私、わたし……。
同年代の女の子に、こんなに本気で向き合ってお話ししてもらうの、初めて……!
いつもはここで、なんだかよくわからないまま勝手に
ちょっと
「や、やだ、泣かないでちょうだい。フン、少しは響いたようで何よりですわ。以後、自重することね。失礼いたします」
薄紫の
悲しみを胸に秘めながら私はすごすごといつもの特訓場所に向かった。学年十五位という成績については殿下からは「めちゃくちゃ微妙なとこだな」とのコメントをいただいた。私もそう思う。
ちなみに殿下の試験結果は
*****
その薄紫の君の名を知る機会は思いのほか早くやってきた。彼女はイレーナというらしい。あとで手帳に書いておこうと心に刻む。イレーナ・ベルクラフト
「彼女、あの王太子殿下の婚約者候補筆頭という話だよ。まあ、僕は彼女みたいな絵に
「……殿下の婚約者候補……筆頭……」
私は思い出す。そういえば、殿下は学校にお
(あの人がそうなんだ……)
候補、ということは他にも何人かいるのだろうか。同学年の女子生徒や、最上級生も候補にいるのかもしれない。イレーナさんとは学年も一緒だし、
かつて殿下が女子生徒たちに囲まれていたときのことを思い出そうとするけれど、あまりよく覚えていない。薄紫色の髪の派手な美人、いたようないなかったような。
期末試験の結果が張り出されたときのこと、彼女の口調は厳しかったけれど、ご
(公爵令嬢で、美人で、立派で……ああいう人が未来のお
彼女と殿下が
けれど、なぜかほんの少しだけモヤモヤとしたものを感じてしまった。お似合いだとそう思うのに。なぜだろう。モヤモヤ、ううん、なんだか、
「クラウディア。君とたくさん話ができて嬉しいよ。もう少しゆっくり話せる場所に行かないかい?」
スッと
あ、危ない。完全にボーッとしていた。
三学年が全員揃ってやってきたのは学園内の森林公園。広大な
「……ではみなさん、二人一組のペアになってください」
(……!)
(危ない……また
私とのペアを
(うーん、試験の結果を見る限り、先生たちはだいぶ……魅了魔法の影響は薄れてきていると思うけど……)
余った子は先生とペアを組むことになる。でも、サバイバルで二人きり!? みたいな
どうしようかな、と思いつつ、おおかたみんなペアが決まってきたところを見計らって木から降りようとする──と、そこで甲高い悲鳴を浴びた。
「あなっ、あなたっ、ななな、なにをっ、そんなはしたないことを!」
「あっ」
薄紫の巻き
「す、
「はっ、はい! すみません!」
イレーナさんは真っ赤な顔で
「……ふん、
「そ、そうしてもらえたらありがたいですね……。家庭教師はいましたけど、みなさんとは
「
イレーナさんは美しい顔を
「あっ、そうだ! イレーナさん、もうペアって決まっていますか!」
「急になんですの? まだ決まっておりませんけど……」
まだ決まっていない!? なんという天のお導き! ぐっとイレーナさんに
「私とペアを組んでいただけないでしょうか!?」
学園の生徒で私の魅了魔法にかかっていないのは殿下とイレーナさんだけだ。人気者の殿下はとっくに
「は、はあ!? 何を
「ああ、その鋭い一言がいいんです!」
「本当に何を
私の
「うっ……な、なんなんですの。この胸から
「お願いします、イレーナさん。私とペアを組んでください!」
「おやめなさいっ、そんな
イレーナさんのしなやかな指を
……これは、イケるのでは!? 私は
「……む。なんだ、もうペアを見つけていたか」
「えっ!?」
ガサ、と草むらを
こちらにガサガサジャラジャラしながら近づいてくる殿下に私は声をかける。
「もう……ってことは、もしかして、殿下、私のためにペア組まずに待っていてくださったんですか?」
「フン。どうせ困り果てているだろうことは目に見えていたからな!」
で、殿下。やっぱりこの人ものすごくいい人だな!? 腕を組んで胸を張る殿下の背後に
「だが俺は不要のようだな。イレーナ、苦労をかけるがよろしく
「はっ、はい、殿下……ええっ!?」
「なんだ、お前らしくもない。そんな反応をして」
「わっ、わたくし、別にクラウディアさんとペアを組むわけでは……!」
「組んでくれないんですか!?」
「だ、だから、その……愛くるしい目と声でわたくしを呼ばないでくださいませぇ〜!」
「あっ」
イレーナさんは私の手をバッと振り払うと、茂みの中に走り去っていってしまった。
ポカンと取り残される私。殿下はやれやれとため息をついた。
「イレーナさんどうしたんでしょう?」
「……
殿下は茂みに消えていったイレーナさんには聞こえていないだろう声量で言った。
「発作?」
「ああ、魅了魔法を受けていた
「わ、私、じゃあ、あまりイレーナさんのそばにいないほうがいいってことですか?」
魅了魔法再発……なんてことになったりして。
「まあ、問題ないだろう。イレーナには
よかった……のかな?
せっかく魅了魔法の影響から解かれた人と知り合えたのだから、イレーナさんとは仲良くなりたい……けど……。
「アレは
「そ、そうですかね?」
私、イレーナさんに
「しかし、フラれたな! 貴様!」
「うう、笑わないでくださいよ」
フハハハ、と殿下は大きく私を笑い飛ばす。私はイレーナさんというパートナーを得るために必死だったのに。イレーナさんもなにかの
「仕方ない。元々そのつもりだったのだ。特別にこの俺が貴様と組んでやろう」
「あっ、ありがとうございます、殿下!」
殿下と組んで行う採取活動は楽しかった。殿下は
カゴにポイポイと地味な色をしたキノコを放りながら、ふと殿下は小さく呟かれた。
「イレーナ・ベルクラフトか」
目を
「アレも幼いときはこう
「……殿下、やっぱりイレーナさんのことはよくご存じなんですね」
うーん、さすがは婚約者候補筆頭……。さっきはお二人で会話をする間がなかったけど、実際仲もいいのかも……?
「公爵家は王家と関わり深いからな。小さい
「昔とは違うんですか?」
「アイツはなにかとトラブルに巻き込まれることが多くてな。元々はそういう性格ではなかったが、己を高圧的に見せて人を遠ざけるようになったな」
「ううん……やっぱり、高位貴族だと、色々あるんですね……?」
私の言葉に殿下は呆れたように
「ベルクラフト家の血統が持つ特殊魔法を知らんのか?」
「ベルクラフト……あっ」
「貴様とて名前は知っているだろう。ベルクラフト
コクコクと
「魔法というものはすべての魔法が学べば身につくというものではない。生まれ持った血統のみによって得られる希少な魔法が世の中には存在する。……ベルクラフト、彼女の家系が持つ『
「お、お噂はかねがね……」
ベルクラフト治療院。優秀な医者や看護師が集められており
「ピン、ときていなかったくせに」
「あんまりにもドデカすぎて行き当たりませんでした……」
そんなすごい力があるだなんて。それはたしかに王太子のお嫁さん、将来のお妃様になってもおかしくない。
「当然王家は各家系の特殊魔法については
殿下は小さくかぶりを振る。
「だが彼女の家系はその能力ゆえに秘匿することができなかった。『癒し』の力はあまりにも有能すぎる。治療院を設立したベルクラフトのかつての当主は己の力を秘匿することは選ばなかった。自らに危険があろうと己の力で救えるものがいるならば救いたいと。そしてその理念は今代の当主にまで
「ご立派な方なんですね……」
ゆくゆくはイレーナさんもその跡を継ぐんだろうか?
「……あの、ということは、イレーナさんって幼い頃に、色々……あったと……?」
「
「うう、よくぞご無事で……」
「公爵令嬢だぞ。周りがそう簡単に誘拐なんかさせるか」
なるほど、それで……厳しく振る
「貴様のその魅了魔法も、血統……遺伝によるものではないかと俺は考えている」
「ええっ!? でも、父も母も魅了魔法どころか魔力もないんですよ?」
急に話題が私のことになって、
「先祖返り、というものがある。何代も前にたまたま魅了魔法の使い手が先祖にいて、貴様がいきなり魅了魔法の資質だけ引き継いだのかもしれん」
「そういうことってあるんですか?」
「ある。特殊魔法ではないが、両親ともに平民のはずの子どもが一度も習っていないのに二歳にして
「うーん……な、なるほど?」
まあ、それ以外の
「俺が持つ
「だ、だから、破邪の守りをみなさんにお配りしてもどうにもならないと……」
そういえばそんなことを、殿下と特訓を開始したてのときに言っていたかもしれない。
「もしかして、王家のみなさんはみんなその破邪グッズを持っているんですか?」
「そうだ。そして、魔力のこもった破邪の守りをどれほど持ち得ることができるかは己の力の
それは……。
「きっと、王家のみなさんがお集まりになったら、それはそれは
「ああ。貴様の
めちゃくちゃ、ジャラジャラしてるんだろうな……。
「だから殿下はそんなにたくさんジャラジャラしてるんですね」
「そうだ、俺は王家歴代でもまれにみる力の持ち主だからな」
殿下はいつになく誇らしげだった。そういう価値観で育ったからだろう。殿下のジャラジャラにそんな理由? があったなんて。
そして、私はハッとなって殿下に聞いた。
「でも殿下、肩
「肩は凝る」
「ですよね」
よかった、殿下も
そして、後日行われた調理実習にて私は毎秒ごとに殿下から「根菜と葉っぱを同時に
(ほとんど)殿下が作ってくれた料理は
*****
「──クラウディアさん! あなた、何度言われたら理解できるの? いつもそうやって人の婚約者に色目を使って」
「ああ、トマスが優しいのにかこつけてあなたったら……。平民ってみんなあなたみたいに分別がないのかしら?」
「成績も落ちましたし。そろそろみっともない男
中庭の一角、
ご令嬢単体に絡まれているだけならいいんだけど、そこに婚約者さんがいらっしゃると
以前と違い、最近は私の立ち振る舞いを本気で注意しているご令嬢と「あまりクラウディアに厳しいことを言うな!」っていうご婚約者の男性という構図だから、よりいっそう
それにしても、しかし。
「女子生徒のあたりが強くなってきている気がする……」
「あたりが強くなってきた、で済む話か?」
ジャラ、と金属がぶつかり合う音。
ハッ、このジャラジャラ音は……。
今日も絶好調のきれいな
「貴様の魅了魔法の制御も少しはマシになってきた、ということだな」
殿下は少し離れた位置に、長い
殿下の言葉に「やっぱりそう?」と私はつい
魅了魔法の影響が薄くなってきたのは学校の先生たちだけじゃない。真っ先に魅了魔法が切れたイレーナさんに続いて女子生徒たちへの影響も薄くなってきていたのだ。
期末試験後のレクリエーション的な授業も終わり、振り返りの科目が終わって初めての長期
「そっか……。ちょっとずつ、私、ちゃんとできてきてるんだ……」
つい、しみじみと口をついて出てしまう。
それに対して殿下は
「嬉しそうだな」
「はい! ちゃんと、特訓の成果が出てきているんだ、って!」
「貴様の存在は本来ならば、多くの女子生徒には目の上のたんこぶだったことだろう。それが今までは魅了魔法のおかげでそいつらからもチヤホヤされていた。……今の状況が
「はい。魅了魔法がないと、こういう感じなんだ……って
「魅了魔法はどうしても異性に対しての方が影響力が強いからな。じきに男どもも貴様を魅了魔法の影響なしに
「楽しみですね!」
ニコニコと全力の
「不安には思わんのか? お前の人生、ずっと甘やかされてきたんだろう。何をしてもしなくてもチヤホヤされてきたのに、もうどう甘えても教室
「もうっ。私、そんなこと頼もうとしたことありませんよ!」
教室掃除とゴミ捨てをチョイスしてくるの、何? 殿下、案外発想が
「今までの人生とギャップが大きすぎると、それを
「……心配してくださっているんですか?」
「貴様の心配ではない。貴様の特訓が無に帰すのを
青い瞳が私の目を
私とこうやって向き合ってくれた初めての人、殿下。整ったお顔を間近で見つめていると、なんだか
「殿下には私の魅了魔法、効いていないんですよね?」
「当然だ。何を
殿下は腕を組み、
「へへ、だったら、心配いらないですね」
「……何がだ?」
きれいな眉が怪訝そうにつりあげられる。
「魅了魔法なんてなくたって、殿下は十分お優しいですもん」
「…………」
「そりゃあ、意地悪な人もいると思いますけど。……殿下みたいに優しい人がたくさんいるはずです。だから私、大丈夫です」
ニコ、と私は自然と顔を
殿下はとても真面目な顔で、私のちょっと
──パパパパパパァン!!
そして、破邪グッズが唐突に大量
「きゃ─────!!」
派手な
「
「なっ、なんで!? どうしてそんなに爆ぜたんですかっ!?」
「貴様の魅了魔法のせいだッ! ええい、せっかく特訓の成果を評価したというのに! 貴様は!! やっぱり
「ええーん!」
なんかちょっといい感じだった雰囲気は文字通り
*****
二学期の振り返りの科目も終わり。魔術学園の生徒たちはこれから一ヶ月の長期休暇を
「お嬢様、おかえりなさいませ!」
「ただいま、みんな変わりない?」
蒸気機関車の駅に迎えに来てくれた
駅のホームに降り立った
侍女に荷物を持ってもらいながら、家に向かう。
私の家は港町にある。高台に建てられたお
「
「わあ! うれしい、早くお父さんに会いたい」
「奥様もサロンの集まりが終わったら大急ぎで帰ると意気込んでおりました」
侍女に
……実は少し、心配している。
私の無意識の魅了魔法は、父の
学園に通い出して半年間。魅了魔法の効果は永続ではないらしい。私の魅了魔法の力で父の顧客となっていたみなさまが、みんないなくなってしまっていたらどうしよう。なんていうことを考えてしまっていた。
(でも、使用人のみんなたちに変わった様子はないものね……?)
使用人たちの表情はこの家を出た時の明るいものと変わりない。だから、きっと大事にはなっていないとは思うが。
荷物の整理をして、ゆっくりとお茶を楽しんでいるうちにやがて父と母が揃って帰ってきて、居間のソファに座っていた私に飛びつくようにハグしてきた。
「クラウディア! ああっ、
「学生寮は一人で寂しくないかい? 夜は
「お父さん、お母さん! 久しぶりに会えてうれしい! 私は元気よ!」
久しぶりに見た両親の姿、そして懐かしい声を聞いて思わず胸が熱くなる。
時間もちょうどよかったから、
(最近は殿下のおかげで楽しいことも増えてきたもんね)
殿下のお名前こそ出さないけど、「
雑談を楽しんで、最後の口直しのお茶が出てきたところで、私はぽつりと切り出した。
「……ねえ、お仕事の調子はどう?」
「うん? ああ、お前はよく商談に付き
「う、うん。まあ」
どきりとしながら私は頷く。父は
「そうだな……。実はお前がいなくなってからしばらくはなかなか新規の
「そ、そうなの!?」
ああ、やっぱり魅了魔法のせいだ。私がいなくなって父が商売に苦戦している……。
「お前はうちの
父はハハ、とおどけた風に笑う。魅了魔法のせいだ、とは言えず私は紅茶をぐいと飲んで自分の口を
どうしよう。このまま我が家が
(ジェ、ジェラルドさんに……お城の
私は魔力量が多くて
「だけどな、最近また業績が伸びてきたんだよ」
将来のことを考えて頭をグルグルさせていた私に、父は顔を綻ばせながら言った。きょとんと父の目を見つめると、父はいっそう優しげに目を細める。
「うちで長く契約してくれている馴染みのみなさんはずっとご
「……うん、ありがとう。お父さん」
父の優しい声が私の胸に
よかった。きっかけは私の魅了魔法だったかもしれないけど、でも、父は自らの力でお客様の心を得ていたんだ。父は立派で素敵な商人なのに、娘の私がそれを信じられなかったなんて。
「お前はいつもわたしのことを見守ってくれていたからね。心配してくれていたのか。本当にやさしい子だね、クラウディア」
ニコ、と微笑む父。だけど、ややあってからううむと首を
「しかし、不思議だなあ。いくらお前が小さいときからずうっとかわいい女の子だったとは言っても、娘さんがかわいいから、なんて理由だけで契約してくれるほどお客さんという生き物はやさしくはないはずだが」
「アハハ……」
ギクリとして私は空笑いをする。
「まあ、だからわたしはお前のことを『女神様』なんだと思ったんだけどね。商売
「……ありがとう、お父さん」
愛情に
そんな
「──ところで、クラウディア。しばらく会わないうちにますますかわいくなったわね。好きな人でもできた?」
「えっ!? ま、まさか!」
「あらあら。でもきっとクラウディアのことを気になる男の子はいっぱいいるはずよ。素敵な出会いがあるといいわねえ」
母は白い頰を赤らめてうっとりと目を細めた。対して、
「むむ……。まあ、あそこは別名『貴族学園』とも呼ばれているところだからな。名だたる貴族子女たちの集まりだ。そのぅ、間違いなどはないと思うが……」
「まあまあまあまあ。みなさん貴族ばかりでしょう? ちょっとくらいそういうことがあってもそれがご
「な、なんてことを言うんだ、母さん!?」
父が裏返った声で悲鳴をあげる。母は楽しげにきゃっきゃと
「
「そ、そう?」
どうかなあ、と思って首を傾げる。
「お母さんはお父さんと
うん、まあ、王子様も学園にいるにはいるけど……。私の白馬の王子様になってくれるかは全然別の話だな……。
(殿下、元気かな)
まず間違いなくお元気だろう。私の頭の中には自信満々の勝ち気な笑みで腕を組んでややふんぞりかえって「フハハハハ!」と笑う殿下の姿しかない。
(うーん、殿下。お嫁さん探しどうするんだろうなあ)
私の魅了魔法の影響も女子生徒からはだんだんと消えていっている。そろそろお嫁さん探しも
懐かしい家、懐かしい町で私は久しぶりに
父と母は私をとっても
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます