【新作ゲームでコラボ】世界崩壊後の人助けをしていきます【2人プレイする!】
上位チャット:待機!
上位チャット:待機
上位チャット:待機
上位チャット:お邪魔しまーす
上位チャット:待機
上位チャット:お前ら何時間前から待機してるんだよwwwww
上位チャット:そりゃあ……ねえ?
上位チャット:枠が立ったらタブ開くよなあ?
上位チャット:待機
上位チャット:こん……こん……
上位チャット:そろそろ
上位チャット:うおおお
上位チャット:プレミアの待機画面いつもながらうるせえwwww
上位チャット:はじまる
上位チャット:キターーー!
「こんにちは、人類」
白い空間の中に、赤い大きなリボンを頭の後ろに下げた少女が一人、画面のこちら側に向かって挨拶をする。
「彩羽根トーカです!」
上位チャット:こんにちは!
上位チャット:こんにちはー
上位チャット:トーカ好き
上位チャット:こんにちは
上位チャット:うおおおおお!
「いやー人類、人類はゲームが大好きですよね?」
上位チャット:好き
上位チャット:そりゃあねえ
上位チャット:プレイ時間もっと欲しい……
「でも人類がやってるゲーム、だいたいメジャーなジャンルじゃないですか? アクション、RPG、FPS、TPS……もちろん面白いですよ? みんなと共通の話題もできますし、盛り上がりますからね。でもね、人類……」
トーカはずいっ、と画面に寄って言う。
「マイナージャンルにだって神ゲーはある。今日はその真実を知って帰ってください」
上位チャット:あッ
上位チャット:ガチ恋距離たすかる
上位チャット:?
上位チャット:また奇ゲー紹介なのか……?
上位チャット:コラボ相手に謎ゲーを……!?
「というわけで今日プレイするゲームはこちら! 『錆降り街のオフィウクス』! VR・ポストアポカリプス・サイバーパンク・手術シミュレーターゲームです!」
背後にゲームのタイトル画面を表示し、トーカは楽しげに拍手をする。
上位チャット:おおおおおお
上位チャット:オフィウクスだー!
上位チャット:なにこれ
上位チャット:しゅじゅちゅ!
上位チャット:出たwwww
「いやー手術ゲームファン界隈では話題のゲームでしたからね! 人類の中にもご存知の方は多いでしょうけど、念のためご説明を!」
上位チャット:手術ゲームファン……?
上位チャット:なんだよ手術でゲームって……
上位チャット:神ゲーやぞ
上位チャット:ご存じないのですか?
上位チャット:大好きなゲームですありがとうありがとう
「手術シミュレーターといえばその名の通り、はちゃめちゃ雑手術ゲーの『Surgeon Simulator』が有名で、VTuberの配信で見たよって方も多いと思いますが」
上位チャット:あーあれね
上位チャット:雑手術wwwww
上位チャット:はちゃめちゃになるの好き
上位チャット:誰がやっても面白い神ゲー
「『オフィウクス』はそっちではなく……あのアトラスの作った手術ゲーム『超執刀カドゥケウス』をリスペクトした作品なんです!」
上位チャット:おお!
上位チャット:?
上位チャット:あーカドゥケウスか
上位チャット:アトラスってペルソナの?
上位チャット:へえー
「『カドゥケウス』はニンテンドーDSで発売後、Wiiでリメイクされたんですが……左手のヌンチャクコントローラーのスティックで正確に術具を選択し、右手のリモコンコントローラーのポインター操作で正確に操作するという、本物の手術さながらの手技を必要とするゲームなんです。いやー、懐かしいですよね、人類?」
上位チャット:難しそう
上位チャット:腕めっちゃ痛くなったゲームだわ
上位チャット:イージーがノーマルなゲーム
上位チャット:RTA動画見て戦慄した
上位チャット:2005年発売……
上位チャット:やめてくれ
「その精神をリスペクトした『オフィウクス』も、VRコントローラーの左で術具を選択、右で操作するという操作方法になっているんですね。そこに加わるVRならではの奥行き……いろんな予感がしますね、人類?」
上位チャット:おっそうだな
上位チャット:ヤバそう
上位チャット:難しいんだよこれ……
上位チャット:どうしてVRでやろうとしたんだwwww
「とはいえ、ですよ?」
トーカは指を立てて歩き回る。
「人類はこう思ってるんじゃないですか? ……VRで操作精度の必要なゲームなら、私なら楽勝なんじゃないかって」
上位チャット:はい
上位チャット:いや?
上位チャット:操作は上手いけど……
上位チャット:ポンしそうなステージあるから楽しみ
上位チャット:あんまり思われてなくて草
「わかります、わかりますよ人類。私だって私なら完璧な手術をしてサクッと終わらせちゃいそうだなと思います」
上位チャット:まあうん……
上位チャット:え?
上位チャット:と思うじゃん?
上位チャット:後半は戦略性が必要だからなあ
上位チャット:手術に戦略……?
「そこで、ですよ人類。思い出してください。『オフィウクス』は左手と右手のコントローラーでやることが完全に別々なんです。――つまり!」
トーカはVRハンドコントローラーを両手に持ち、掲げる。
「私の答えはこれだっ! 『錆降り街のオフィウクス』、コントローラー分担で無理矢理二人プレイ実況コラボ! ゲストはこちらっ!」
「イェーーイ! みんなー! 見てるー!?」
青薔薇のシュシュをした金髪ツインテールの巨乳美少女が、騒がしく画面外から登場する。
「ミチノサキだよ!」
上位チャット:見てるぞ!
上位チャット:ぞ!
上位チャット:うおおおおサキちゃん!
上位チャット:コラボありがてえ
上位チャット:っぱこの二人なんだよな
上位チャット:すでに画面がてえてえんだが?
「ねえねえ聞いて聞いてみんな! あのね、今回ね、トーカから遊ぼうって誘われたんだよ! ねっ、トーカ!? トーカ大好き!」
「ウッ、うん、まあ……」
上位チャット:ウッッッ
上位チャット:てぇてぇ……
上位チャット:ああああああああああああ!!
上位チャット:ありがとう
上位チャット:童貞みたいな照れ方するな
上位チャット:サキトカは永遠なんだよなあ
上位チャット:これが原初の火……
サキに抱き着かれたトーカは、少し明後日の方向を見ながら言う。
「難易度的に適切な人選……だと思いませんか、人類?」
「今日は遊ぶぞ~! トーカとコラボやったー!」
上位チャット:草
上位チャット:そういうことかよwwwww
上位チャット:医療ミスはヤバいですよ!
上位チャット:またしても何も知らないサキちゃん
上位チャット:協力プレイ……あっ
上位チャット:そもそもオフィウクスで協力プレイってどうすんだよ
「さてさて、さすがにチュートリアルからやってると長いので、ステージ3からやっていこうと思います。ストーリーパートの間に、どういう感じのお話なのか説明しますね」
「えっへへへ、何も知らないから教えてね!」
「お任せください!」
トーカはドンと胸を叩くと、ゲームが会話パートをしている間に語り始める。
「物語の舞台は、最終戦争で地球環境がめちゃくちゃになり、文明が一度滅びかけた世界。生命倫理を無視した科学技術でなんとか復興を果たしつつあるも、いまだ人間同士の紛争の絶えない状況です」
「えー、滅びかけなの?」
「そう。もう空気も悪いし、空はいつでも曇天だし、酸性雨は降ってくるし」
「洗濯物干せないね」
「主人公の住む街は長いこと紛争の最前線で、戦闘の余波でほぼ毎日錆が降ってくるという、通称『錆降り街』です」
上位チャット:へえ~
上位チャット:アートが暗くて好きなんだよな
上位チャット:ほのぼのとした感想で草
上位チャット:世界観めっちゃ好き
上位チャット:面白そう
トーカが説明していると、ゲーム画面に新たな登場人物が表示される。軍用のコートを着た人物……だが、性別は分からない。なぜならその頭部は、複数の金属パーツで組み合わされ、ギョロギョロと動く単眼レンズだけがあったからだ。
『よォ、先生。やってるかい?』
「あれ、なんかロボットみたいの出てきたよ?」
「おっ、どうやら彼が今回の患者さんのようですね!」
「え……?」
上位チャット:は?
上位チャット:患者……?
上位チャット:メカだ!
「……ロボットなのに、患者?」
「そう。正確には彼は体の大部分を機械化したサイボーグ。この劣悪な環境で生き、戦うために、サイボーグとなった兵士たち。人権を失った彼らが前線で戦い続けている……そんな世界なんです!」
「トーカの仲間ってこと?」
「私はバーチャルだしアンドロイドで、生体部品はないからちょっと違うかな~」
上位チャット:サイボーグ兵士!
上位チャット:ヤバい好きかも
上位チャット:設定がね……いいんだよ……
上位チャット:サイバネ ティクス……ってコト!?
上位チャット:機械化率高いと人工透析しないといけなかったりするんだよな
上位チャット:アートブックだしてくれぇ
『最近メシが食いづらくてよ……どォも唾液が分泌されてねェみてェなんだワ。ちょいと直してくれねェか?』
「口の中がパサパサしてるんだ?」
「胃腸が残ってるまだ年若いサイボーグさんのようですね。唾液は大切ですよ、人類。食べ物の消化、粘膜の保護、洗浄、殺菌、抗菌と役割が多いですからね」
「へえ~!」
上位チャット:へー
上位チャット:唾液出てないと虫歯にもなるからなあ
上位チャット:口の中乾きやすいから分かる
上位チャット:ロボに唾液……
上位チャット:ロボじゃなくてサイボーグな
「それではいよいよ手術パートです! 私はVRゴーグルと右手コントローラーを持って……サキちゃんは左手コントローラーをお願いします。モニタで様子も見れますからね!」
「はーい、先生! 助手としてがんばります!」
トーカがVRゴーグルを装備し、サキはモニターの前でコントローラーを構える。
上位チャット:HMDをかぶるバーチャル
上位チャット:あ~、なるほど
上位チャット:器械出しをサキちゃんがやるのか!
上位チャット:なるほど協力プレイできるな
「まずは患者さんの脊椎コネクタに、ケーブルを接続しますよ。よいっしょっと」
トーカは機械から伸びたケーブルを、ベッドに横たわるサイボーグの首の後ろに接続する。すると、機械のモニターにサイボーグの顔が表示された。
『汎用医療マシン、モデルCMD2.2、接続確認。全権限を委譲。よろしく頼むぜェ、先生』
「患者さんしゃべってるけど、麻酔しなくていいの?」
「このマシンに接続すると、感覚がカットされて体が動かせなくなって……全身麻酔みたいな状態になるっていう設定です。モニターに顔が表示されてるとおり、意識はあの医療マシンに移ってます。カメラで自分の治療の様子が見れて、おしゃべりもできたりするので、インフォームドコンセントもばっちりですね」
「え、すごい、便利~! 自分が手術されてるところとか見てみたいもん!」
上位チャット:なるほど
上位チャット:え、怖
上位チャット:楽しそう
上位チャット:サイボーグだからそういうのもアリなのか
上位チャット:手術失敗時のやりとりが結構心に来るけどね……
「さて、患部は口腔内ってことで、まずは開けていきますよ。人工皮膚カバーを切っていきます。サキちゃん、単分子メス!」
「……あっ、あたしがやるんだね! えーと、メスは……スティック……上! えい!」
「選択できましたね。これでガイドラインに沿ってポインターを動かせば、スパッと切れます」
上位チャット:こういう操作方法なのか
上位チャット:手術っぽい
上位チャット:すでに手つきがヤバい
上位チャット:こんなまっすぐに切れないが?wwww
上位チャット:RTA並みの手際の良さ
「えーと、術野を確保するために、まずは頬のカバーを外す感じですね。サキちゃん、ドリル!」
「えっと右上……はいっ!」
「ドライバーパーツをポインタで選んで、まずはネジを外して……開きましたね。でもこのままじゃまだ狭いので、さらに術野を確保するために、顎を外しちゃいますよ~。パーツをレンチに付け替えて、ギュルギュルっと。はい、御開帳~」
トーカはサイボーグの上顎をつかむと、ぐいっと180度開いてしまう。
「ええええ!? 頭が半分に割れちゃったけど!?」
「あっはっは。サイボーグだからこそできる芸当ですね。上顎と下顎を平面で見れるなんて新鮮じゃないですか、人類?」
上位チャット:ヒェ
上位チャット:ちょいグロ
上位チャット:人間なら死んでるwwwww
上位チャット:サイボーグだから無問題!
上位チャット:図鑑でしか見たことない構図wwww
上位チャット:歯とかも機械なんだな
『うへェ、自分の口の中なんて見るもんじゃねェな。先生、まずは高濃度唾液ボックスを交換してくれや』
「唾液ボックスは埋め込まれているので、人工筋肉を切開して露出させますよ。単分子メス!」
「はいっ!」
ビーッ!
『熱ッ!?』
「あれ?」
「おっと、今のは焼却から溶接までお手の物の器械、万能レーザーでしたね」
上位チャット:草
上位チャット:焼いていくぅ!
上位チャット:選択してから使用するのが速すぎるんだよwwww
上位チャット:手際が良すぎるのがあだに
上位チャット:選択音した瞬間に使ってるw
『いや、感覚はカットされてるから本当に熱いって感じたわけじゃねェけどよォ、見てて熱そうなんだよな。俺の体で遊ぶのはよしてくれよ、先生?』
「わー、ごめんごめん!」
「大丈夫大丈夫、手術ゲーにはよくあること、バイタルゲージに微小ダメージが入っただけです。むしろほら、ここは例のあのセリフの言い時ですよ、サキちゃん」
「え? あっ、そっか! ゴホン!」
サキは目を閉じて咳払いし、集中力を高め……カッと目を見開いて迫真の声を出す。
「バイタル低下!」
上位チャット:草
上位チャット:wwwwwwww
上位チャット:おいwwwwwww
上位チャット:バイタル低下! じゃないんですよwwwwwww
上位チャット:お前のせいやろがい!
上位チャット:言いたいセリフ、わかる
上位チャット:めっちゃ医療ドラマっぽい感じ出てる
上位チャット:でもおまゆうなんだよなあ
「うーん、緊迫感がでてきますね! では改めて、メス!」
「はい!」
「切り開いて……唾液ボックスが出てきましたね。交換ってことなので取り外しちゃいます。ドリル!」
「はいっ!」
「ギュイギュイっと……接続解除。取り除きますよ~、ピンセット!」
「はいっ!」
サッサッと、息を合わせて二人で手術を進めていく。
上位チャット:迷いがない
上位チャット:操作が速すぎる
上位チャット:やはりサイボーグか、トーカ……
上位チャット:これは一人でやったら確かに何も起きないなw
上位チャット:俺もこれ二人プレイしたい……
『おっ、取れたか。ってずいぶん古い年式のパーツじゃねェか。工場め、ケチりやがったな』
「いいな~。あたしも歯石とって『ずいぶん古い歯石じゃねェか』って言いたい!」
「あぁ……歯石取る動画が好きだって前に言ってたね」
「歯磨きしてると歯石、育たないからさ~」
「育てないでね?」
上位チャット:育たないは草
上位チャット:汚いよ~
上位チャット:そうなんだ
上位チャット:どっかで言ってたっけ?
上位チャット:初耳の気がする
上位チャット:歯石取り動画俺も好き
上位チャット:さすがVのオタク……情報把握に余念がない
「じゃ、新しい唾液ボックスを取り付けていきます。ピンセットでボックスをつまんで、指定の場所に置いて……接続! ドリル!」
「はいっ!」
「ネジを締めて……先ほど切開した個所を溶接しますよ。レーザー!」
「はいっ!」
ザシュッ!
『痛ェ!』
「バイタル低下!」
上位チャット:wwwwwwwww
上位チャット:草
上位チャット:だからwwwww
上位チャット:それメスゥ!
上位チャット:トーカも確認してから使えよwwwww
上位チャット:やめてwwwww
上位チャット:迫真のバイタル低下
『おいおい先生よ、いくら俺たちサイボーグの体が頑丈でも、医療用の器械にゃ負けんだから気を付けてくれよな。いくら感覚がカットされててもヒヤヒヤしちまうぜ』
「はっはっは。まあまあ。改めて、レーザーで溶接して……スプレーください!」
「はいっ!」
「冷却材を選んで、プシュ~ッと冷却。これで交換完了ですね」
溶接され鈍く赤く輝く部分に冷却スプレーを吹きかけると、色が落ち着いて『OK』の判定が出る。
『んじゃ唾液が出るかテストしてみてくれ。……ん? なんか量が少ねェな?』
「あれ? 失敗?」
「どうやらまだ処置が必要なようですね」
上位チャット:おや?
上位チャット:来たぞ
上位チャット:はい本番
上位チャット:ステージ3から殺しに来るやつ
『唾液管が詰まってんのかもしれねェな。プローブ打って確認してくれや』
「プローブって何?」
「探針、細い針ですね。このゲームではどんなところにでも刺せるし傷も残らない不思議アイテムです。早速使っていきましょう……ピンセット!」
「はい先生!」
トーカはピンセットで針を取り、画面のガイドに従って刺していく。
「埋没されている唾液管の始点と終点にプローブを刺して、唾液が通れるかどうかチェックしていきます。えーとここの唾液管は大丈夫。次……も大丈夫。次……おっと」
『おー、その管が詰まってんのか。悪ィけど掃除してくれや』
「管の掃除には吸引機ですね。吸引機!」
「はいっ!」
プシュ~!
「おっとこれはスプレー」
上位チャット:wwww
上位チャット:吹くなwwww
上位チャット:エアダスターじゃねーか!
「大丈夫大丈夫、スプレー系はダメージないし、なんなら冷却材だと微妙にバイタル回復しますからね。さっ、改めて吸引機!」
「えーと、はいっ!」
吸引機の先端を管の出口に差し込み、トリガーを引く。しかし――
「おや? 何も吸い込まれてきませんね」
『デケェ石でも詰まってんのか? しょうがねェ、管ごと交換してくれや』
「ではまずは管を露出させていきましょう。メス!」
「はいっ!」
ガイドラインにそって素早くトーカが操作し、パーツが切開される。その次の瞬間――
「え、何これ!?」
「おおっと!?」
小さなまがまがしい形の機械が飛び出し、虫のような脚を使って患部を這いずり回り始めた。
『ゲッ……コイツは……バグじゃねェか!』
「バグ……ってゲームのバグ?」
「この世界では機械生物兵器のことですね。サイボーグたちを病気にする卑劣な兵器、だそうです」
上位チャット:キモ
上位チャット:うわ
上位チャット:え、なにこれ
上位チャット:あれ、トーカ初見じゃないの?
上位チャット:前のチャプターで説明はある……ちょっとだけ
『おォ気持ち悪……頼むぜ先生、こいつが体の中にいたんじゃ、管という管、全部詰まっちまう』
「トーカ、どうするの?」
「もちろん、バグは退治です! 対処法は……ガイドいわく、とにかく焼けばなんとかなる! レーザー!」
「はいっ!」
レーザーを手にしたトーカは、寸分の狂いなくバグに向かって照射する。ダメージを受けたバグは慌てて逃げだすが、トーカはそれを正確に追尾していった。
「わ、焼けてる焼けてる! いいぞー! ……あっ! 消えちゃった!?」
「どうやら別の管に潜ったようですね。プローブで探しますよ! ピンセット!」
「はい先生!」
「ここは違う、ここも違う……ここ! メス!」
「はい!」
「管を切開ッ!」
素早くバグの潜んだ管を特定、切開し、飛び出したバグを再びレーザーで焼いていく。
上位チャット:はっや
上位チャット:うますぎるwwww
上位チャット:こんなにスムーズにいかないよ!
上位チャット:毎度ながらハンコン使っててブレないのすげぇ
上位チャット:すいません初見RTA会場ってここですか?
「すごく動き回るのによく当てられるね? あ、また消えた」
「切開したところは溶接して、冷却してから、また探していきますよ。繰り返せば勝てる!」
上位チャット:すげえ手技だ……
上位チャット:サキちゃんも器械出し慣れてきたな
上位チャット:あのどう考えても口の中ズタズタなんですけど
上位チャット:溶接してるからいいんだよ!(いいのか?)
上位チャット:あの、このバグくん切開が間に合わないと管を破裂させてダメージとかが、その
上位チャット:VR界のブラックジャックかな?
上位チャット:ダクタァサイバァネェ……
切っては焼き、溶接しては冷却する。二人の息を合わせたプレイでバグに余計な行動をさせず、ついに――
「ふいー、バグ、活動停止を確認!」
「やったー! お疲れ様、トーカ」
「あっはっは、まあ私にかかればこんなものですよ!」
上位チャット:おおおおお
上位チャット:(拍手)
上位チャット:あざやかだった
上位チャット:スゴォイ……
上位チャット:初見でこれは神医
「それじゃあ元に戻していきましょうね。まずは、ドリル」
「はいっ」
ブスッ!
『痛ェ!?』
「バイタル低下!」
上位チャット:だwwwwかwwwwらwwwww
上位チャット:刺すなwwww
上位チャット:それ注射器ィ!
「おおっと、これは注入器。バイタル回復剤が入っていれば回復できるんですが、空っぽの状態だと無駄に刺しただけなのでダメージです」
上位チャット:解説してる場合かw
上位チャット:バイタル、残りミリなんだが?wwwww
上位チャット:死因は注射の無駄打ちか
『おいおいこのままじゃ死んじまうぜ?』
「先生、バイタルが!」
「はっはっは、あとは戻すだけなので回復なしで余裕ですよ……うん、はい。レンチで締めて、ドライバーで締めてっと」
若干操作を確認しながら、トーカは頭部を戻していく。
「最後は皮膚カバーを溶接して冷却です。レーザー!」
「はい!」
「スプレー!」
「はいっ!」
「よしっ、手術終了!」
上位チャット:よかったー
上位チャット:終わってみればタイムにも余裕あったな
上位チャット:レーザー万能すぎない?
上位チャット:お疲れ様です!
上位チャット:これは他のステージも見てみたいな
「はい、というわけでね……今回のプレイはここまでです。どうでしたか、サキちゃん。『オフィウクス』は!」
「すっごい面白かった! 手術って聞いて、できるかな~? って思ってたんだけど、なんとかなったし!」
「そうでしょう、そうでしょう。私としてはですね、ぜひサキちゃんにこの『オフィウクス』を初見実況プレイして欲しいと……!」
「えー、やってみたい! けど……」
サキは首をかしげる。
「ずっと助手だけしてる……んじゃ、ダメ?」
「いや、右手操作も含めての『オフィウクス』だから……」
「でもトーカみたいに上手くできそうにないし~。ねえ、またコラボしようよ!」
「ウッ、それはその、うれしいけど……!」
ぐいぐいと迫ってくるサキに、トーカはしどろもどろになり……――
「……そ、その、スケジュールが合えば……」
「忙しいもんね~。でも、またやろ! ね、絶対!」
上位チャット:うおおおおおお
上位チャット:期待してます!
上位チャット:忙しいもんなあ
上位チャット:サキちゃんとのコラボなら時間作るでしょw
上位チャット:むしろサキちゃんの方が忙しいんじゃ?
上位チャット:お互いおっきな存在になったよね
上位チャット:そうだ! アバタに右手を操作させよう!
上位チャット:どれだけ患者を虚空に送り込む気?
「んんっ。はいっ、というわけで! 『オフィウクス』の無理矢理二人プレイ実況コラボでした!」
「みんなー、また会おうね~!」
「また次の動画で!」
上位チャット:またね!
上位チャット:ありがとう
上位チャット:面白かったわ~
上位チャット:友達誘って二人プレイしようかな
上位チャット:いつの間にかこのゲームを所持していた……
上位チャット:後半のステージぜひやってほしい
上位チャット:もくもくと手術配信してくれてもええんやで
上位チャット:トップセールスになってるwwww
上位チャット:後半のステージ、左右コントローラー同時押しのギミックあるからやってほしいなあ
上位チャット:次回に期待
上位チャット:楽しかった
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