【第二回】バーチャル悪い子選手権【これはバーチャルです!】

上位チャット:待機

上位チャット:また燃やすのか

上位チャット:待機

上位チャット:楽しみ

上位チャット:神企画再び

上位チャット:そろそろか

上位チャット:こんにちは!


「バーチャルなら悪いことし放題! 第二回、バーチャル悪い子選手権ー!」


 白Tシャツと藍色のジャージを着た男性アバターがタイトルコールする。


「はい、なんと続いてしまいましたこの企画! 司会を務めさせていただくのは、九から飛んで六と書いて九六はなぬき曜星ヨウセイ、本日は審査員を務めます!」


上位チャット:キター!

上位チャット:声がでけえ

上位チャット:ヨウセイくーん!

上位チャット:あれ審査だけか


「さあ今日も豪華ゲストが参加しています! さっそくご紹介いたしましょう、まずはこの方!」

「ようお前ら生きてっか?」


 黄色髪の褐色学ランギャルが歩み出る。


「ブルスク出たら叩いて直す! 無頼少女ぶらいしょうじょ石花せっかノトだ!」


上位チャット:直らんが

上位チャット:ナオランガー!

上位チャット:ノトちゃんかわいい

上位チャット:接触不良なら直る……直らんが!


「叩いて直る世界線に行きたいな!? さあ続いてはこの方です、どうぞ!」

「こんにちは」


 白いブレザーの制服を着た少女が独特の声音で言い、長い金髪を振って頭を下げる。


獅羽来しばらいアテミです」


上位チャット:アテミちゃんだ

上位チャット:ボイチェンバ美肉おじさんかわいい

上位チャット:ATMちゃん!


「いやー、こんな清楚なお嬢様が悪い子に立候補なんて世も末ですね」

「そんなそんな」


 アテミは顔の前で手を振り──


「あっ、その、出演料です」


 パッと両手に札束を出現させると、深くお辞儀しながらダブルで提出した。


上位チャット:草

上位チャット:綺麗な角度のお辞儀で草

上位チャット:ダブル札束!

上位チャット:出たよwwww


「いや徴収してないからね!?」

「おう、ヨウセイ。アタシの時はなんでそーゆーコメントねえんだ? ん?」

「ええ、いやそれは──」


 ノトは腰を曲げてヨウセイを睨みつけながら近づき──サッサッ、と自然にアテミから札束を回収する。


「──いやそういうところだよな!?」

「持ってて重そうだったからさ。優しさじゃん?」

「ありがとうございます。これ──」

「アテミさんもおかわりはやめようね!? はい、散って散って!」


 ヨウセイが手を振り回し、ノトとアテミが離れていく。


上位チャット:ノトちゃんwwwww

上位チャット:ごく自然なカツアゲムーブ

上位チャット:通報しなきゃ


「さあゲストはあと2人。続けて登場いただきましょう、よろしくお願いします!」

「いえーい!」


 金髪ツインテールに青薔薇のシュシュをした少女が、大きな胸を揺らしながらスキップして入ってくる。


「みんなー! 見てるー!? ミチノサキだよ!」


上位チャット:見てるぞ!

上位チャット:見てるー!

上位チャット:ぞ!

上位チャット:うおおおおおおお

上位チャット:ありがてえありがてえ


「それからそれから!」

「こんにちは、人類」


  大きな赤いリボンを頭の後ろに下げた少女。


上位チャット:キターーー!

上位チャット:こんにちは!

上位チャット:こんにちは!!

上位チャット:かわいい

上位チャット:サキトカだああああああ


「彩羽根トーカです。今日は悪の限りを尽くしに来ました!」

「いえーい! 悪友悪友!」


 トーカとサキはバーチャルなハイタッチを交わす。


上位チャット:てえてえ

上位チャット:こんなコラボが無料ってマジ?

上位チャット:っぱサキトカなんだよな……

上位チャット:トーカちゃんに悪いことされたい


「いやホント出演ありがとうございます!」

「いえいえ! 企画、すごく面白かったので!」

「そうそう! あたしもやってみたい~! ってなった! 今日は参加できてすっごく嬉しい!」


上位チャット:言ってたな

上位チャット:Twitterで実況してたw

上位チャット:神企画だったよ

上位チャット:オタクなんでも神にしがち


「トーカ先輩、サキ先輩、チッス!」

「ちっすちっす~! ノトちゃん、久しぶり!」


 サキはノトも手を振ると、アテミの方を向く。


「アテミちゃんとは初めましてだよね! よろしく~!」

「アッ、はっ、は、ハイ!」


 アテミはギクシャクとお辞儀し──


「お近づきのしるしです……!」


 札束を差し出した。


上位チャット:またwwwwww

上位チャット:コラボ代助かる

上位チャット:上納金や!


「わっ。トーカ、お金貰っちゃったお金!」

「サキちゃん、物を貰ったらお礼をしないと」

「あ、そっか? そうだね? えっとそれじゃ……おっぱい揉む?」

「イエイエアノソノエエトダイジョウブデスゥ……」


 どん、とサキが胸を突き出すと、アテミは全力で手を振りながら後退した。


上位チャット:サキちゃんwwwwww

上位チャット:やめなさい

上位チャット:女の子()同士だから問題ないな

上位チャット:じゃあ代わりに俺が

上位チャット:おまわりさんこっちです


「えー、恥ずかしがらなくていいのに。ねー?」

「アテミちゃんは清楚お嬢様ですからね。やっぱりこうどんな女の子よりも乙女らしいところが最大の魅力っていうかそこになんかチョロそうなお支払い要素が合わさることで最強に見えてかわいらしくて私好きで推してます」

「はい盛り上がってるところ申し訳ないんですが、進行します!」


 ヨウセイは大きな声で割って入ると、カメラの方を向く。


上位チャット:早口で草

上位チャット:へえー

上位チャット:アテミちゃん初見だけどトーカ好きそう

上位チャット:清楚お嬢様やぞ


「はい、というわけでこの4名の豪華なゲストを迎えて2回目となります『バーチャル悪い子選手権』を開催します! えー現実ではね、悪いことをすると捕まるわけですが、バーチャルでなら結構許される! ということで、各参加者には悪いことの体験シーンを用意していただき、それのプレゼンをしていただきます。最後は自分がいい感じに優勝者を発表するという感じで!」

「いえーい!」


 サキが率先して声を上げて拍手をする。


上位チャット:イエー!

上位チャット:前回面白かった

上位チャット:めっちゃ悪かったよな……

上位チャット:あやうくチャンネルが燃えるところだった


「前回見ててすっごい楽しかったの! ね!」

「そうですね。ヨウセイさんプレゼンの、『エスカレーター逆走』は個人的に好きでしたよ」

「ウッ。あ、ありがとうございます!」


上位チャット:でたよwwww

上位チャット:小市民的悪

上位チャット:スケールの小さい悪

上位チャット:VRだとイマイチって言われた悲しい悪


「えー、というわけで! 事前の抽選の順番通りにプレゼンしてもらいたいと思います。一番手は──ミチノサキさん!」

「はい! あのねあのね、トーカに手伝ってもらったの!」

「急にてえてえな!? さっそくプレゼン用のスペースに移動しましょう!」


 アイキャッチが入って、場面が変わる。


上位チャット:トーカが手伝いを?

上位チャット:いきなりぶちこんでくるじゃん

上位チャット:てぇてぇ……

上位チャット:ここは?

上位チャット:これは……


 背の高い防音壁に囲まれ、頑丈なガードレールの中央分離帯に分断された、長く果て無く続く真っすぐな道路。立ち並ぶ背の高い道路照明。


「あたしのプレゼンする悪いことは!」


 サキはその道路の中心に立って言う。


「なんだかすごい道路で記念撮影です!」

「なるほどね!? ちょっとすいませんね、さっそくテロップ足させてください!」


 ヨウセイが言うと、画面中央に透かしのように『※バーチャル内で撮影しています。現実ではマネしないでください』と表示される。


上位チャット:草

上位チャット:テロップwwwwwwww

上位チャット:学習したなw

上位チャット:高速道路はまずいですよ!


「サキ先輩、攻めるじゃねえか」

「反対車線、車通ってるのが怖いです」


 ノトが感心したように頷き、アテミは札束で目元を隠す。


上位チャット:アテミちゃんwwwwww

上位チャット:札束で目を隠すなwwwwwww

上位チャット:反対車線速度出てるねえ!?

上位チャット:ハラハラするんだがw


「いやー雰囲気は似せましたけど、専用道路の標識は出してないですから大丈夫大丈夫。私が作った、ただの私道です!」

「うんうん、ただの道路! ほら、寝っ転がるとか夢じゃない!?」

「いやクオリティ高すぎて何もなければ誤解されますよコレは!? みんな、絶対真似しちゃダメだからな!? サクッと、サクッと撮影して次にいきましょう!」


 一部ソワソワしながら記念撮影をする。


上位チャット:作ったのかよwwwww

上位チャット:サキちゃん寝っ転がってるの怖いわ

上位チャット:鉄人兵団かな?

上位チャット:大事故間違いなし

上位チャット:これは悪ですわ……


 アイキャッチが入り、場面が変わる。


「さあ初手から現実でやったら炎上、大事故間違いなしの悪いことが炸裂しましたが! 二番手は彩羽根トーカさんです! トーカさん、ここは……なんだかずいぶん味のあるコインランドリーですが?」


上位チャット:近所のコインランドリーに似てる

上位チャット:めっちゃ雰囲気あるな

上位チャット:あっ……


「はい。私がプレゼンする悪いことは……!」


 バンッ、とトーカは大きなドラム式乾燥機の扉を叩く。


「乾燥機の中に入って回されちゃう、です!」

「はー寿命が縮むが!?」


 『※バーチャル内で撮影しています。現実ではマネしないでください』のテロップが画面中を暴れまわる。


上位チャット:ヨウセイwwwwwww

上位チャット:死んじゃう!

上位チャット:フィクション! フィクションです!

上位チャット:炎上待ったなし!

上位チャット:気持ちは分かるがw


「もちろんこの乾燥機、中に入れるし回りますよ! 誰が入りますか?」

「え、あたしやってみたい! ノトちゃんとアテミちゃんは!?」

「うっ、少し興味あります」


 アテミは札束を出して投入しようとする。


上位チャット:草

上位チャット:そこに札束は入んねえよ!

上位チャット:何百回まわすんですかねえ

上位チャット:ガチャじゃねーんですわ


「アタシもやってみてーけどさ、ひとついいか?」


 しかし、一同をさえぎってノトが真剣な声で言った。


「……酔わね? これ」

「………」


 一同は顔を見合わせる。


上位チャット:確かに

上位チャット:酔いそう

上位チャット:回るのはヤバい


「なるほど。それじゃ製作者が責任を取りましょう」


 トーカは頷くと、両手を耳に当てて──


「よっ」


 がしょっ、と首を取り外した。


上位チャット:!?

上位チャット:ひぇ

上位チャット:首を取るなwwww

上位チャット:えっ

上位チャット:サイバー設定あったなそういえばw


「うおっ、久々に見ましたねトーカさんのその芸」

「いやー、転がりやすい方が見栄えがいいかと思って。扉を開けて、中に入れて、扉を閉めてスイッチオンっと」


 首無しトーカが器用に作業をし、乾燥機が回り始めてトーカの首がゴロゴロと転がる。


「わー、回ってる回ってる!」

「いやホラーだな!?」

「確かそのギミック、視界は頭の方にあるんだよな? トーカ先輩、いけんの?」

「はっはっは」


 ゴウンゴウンゴウン、と回るドラムの中でトーカが笑顔で笑い──


「………」


 しばらくして無言になって、トーカの体がキャンセルボタンを押し、乾燥機の中から首を取り出すと装着した。


「……よし、次に行きましょうか!」

「いや前後逆についてますから!?」


上位チャット:草

上位チャット:酔ってるじゃねーか!wwww

上位チャット:装着しなおせるあたり酔ってはなさそう?

上位チャット:トーカちゃん胸ないなった

上位チャット:いつもと変わらなくね?


 アイキャッチが入り、今度は大型スーパーの店内になる。


「さあ場面を変えて、三番手、獅羽来アテミさんのプレゼンです。スーパーの店内ってことで、もう今から背筋が寒いんですが、いったいここでやるバーチャルな悪いこととは!?」

「はい。自分がプレゼンする悪いことは」


 アテミは、スーパーをぐるりと見まわして言う。


「──金額を気にせず、買いたいものをなんでもカートに突っ込んじゃう、です!」

「お、おおお……?」

「健康も気にしないで買いましょう」

「なるほど、確かに悪いな!?」


上位チャット:なるほどそうきたか

上位チャット:自分に対する加害……!

上位チャット:これは悪ですわ

上位チャット:なんでもいいのか!?


「え、なんでも買っていいの!? ヤッター!」

「お財布の中身を気にせず買い物していい……なるほど、これは悪ですね!」

「それでは早速、店内を巡っていきましょうか!」


 トーカたちはカートを押しながら店内を歩いていく。


「見て見てトーカ、お刺身があるよ!」

「いや、ここは魚を丸ごと一尾……いやむしろ総菜コーナーにあるお寿司の一番でっかいのを買うのが悪では?」

「それいい! あ、お菓子コーナー行こうよ! お菓子買いたい!」

「おっ、食玩あんじゃん。待てよ……これ箱買いしていいってことか? ヤッベェ、ワルだな!」

「フフフ……プリン体を気にせずに食べ物が買えるんですよ……」


 ワイワイと商品を見て、カートにどんどん突っ込みながら進む。


上位チャット:やべえ普通に楽しそう

上位チャット:人生で一度はやりたいやつ

上位チャット:アテミちゃん……糖尿……

上位チャット:肉を買おう肉!


「高いアイス買っちゃった! これは悪だよね!」

「いや、ワルさでいうと入ってる数が少ないのに高い卵のがヤバくねェか?」

「おっと、皆さん。私、すっごい悪を見つけてしまいましたよ。サービスカウンター近くの菓子折りの爆買いです!」

「ウワー! トーカ、そんなの買っちゃっていいの!?」

「しかも自分が適当につまむためだけに買います!」

「悪ー!」


上位チャット:わかる!!!

上位チャット:普段あまりお世話にならないコーナー!

上位チャット:うまそうだけど買うのはないなあって感じの……うわー

上位チャット:これはワルですわ……


 少し早回しをして、レジ近くで全員が集まった場面になる。


「さて、一通りフロアを周りました。いやー、みなさんカートにいっぱい突っ込みましたね!?」

「すっごくドキドキしちゃった! これは悪いね~!」

「腹減ったぜ。これが現実ならいいんだけどな」

「いやー、さわやかな悪でしたね。アテミちゃん、ありがとうございます」

「皆さんが楽しんでくれたようで何よりです。それじゃ──」


 アテミは、にこりと微笑んで──札束を取り出す。


「支払いは任せてください」


上位チャット:!?

上位チャット:アッ

上位チャット:ATMちゃんwwwwwwww


「はっ!? アテミちゃんにたかってしまった……知らずのうちに悪をさせられていた!?」

「んふっ、あはは! そうきたか~! 心がいた~い!」

「ヤッベェ悪を体験させられてるぜ……」


上位チャット:強制的にアテミちゃんにたかる図ができあがってしまったw

上位チャット:まさに外道!

上位チャット:これはうまいわwwwww


 アイキャッチが入り、今度は暗い室内に移動する。


「いや~、アテミさんのプレゼンはまさかのオチが待ち構えていましたね。さて最後は石花ノトさんのプレゼン、なんですが……ずいぶん暗い部屋ですね?」

「そうですね……扉も何もなさそうです」

「あれ、ノトちゃんいないよ?」


 トーカたちはきょろきょろと辺りを見回すが、ノトの姿はない。


上位チャット:あれ?

上位チャット:おや?

上位チャット:トラブルか?

上位チャット:録画のプレミアだよな?

上位チャット:ん?


「えっと、落ちちゃいましたかね?」

「フレンドリスト上はオンラインなのでいると思うんですが……ロード中かな? 少し待ちましょうか」


 そうトーカが言った瞬間。


 ブゥン、という低い音がして、トーカたちが見上げる位置に、画質の悪いモニターの映像が映る。


上位チャット:!?

上位チャット:えっ


 そこに表示されていたのは、学生帽にガスマスクをした人物。


『おはよう、諸君』


 ボイスチェンジャーの効いたガビガビの声、ノイズの入る画面で言う。


『さて、君たちはどうしてここに来たか分かっていないだろう。だがそれは大して重要なことではない』

「え……?」

「な、何?」


 ガスマスクの人物は、冷たく告げる。


『重要なことは、ここから生きて出られるのはたった一人ということ。そう──』


 クックッと笑う。


『これから始まるのは命をかけたデスゲームだ』

「で、出たー! シンプルに悪ッ! バーチャルだからって気軽に始まったデスゲームだー!」


上位チャット:デスゲームwwwwwwww

上位チャット:デスゲーム始まって草

上位チャット:なるほどバーチャルならではですわwwww

上位チャット:これは悪すぎるだろぉ!


「すいません、これで自分だけ脱出できませんか?」

「賄賂で脱出は斬新だな!?」

「えっ、それじゃあえっちなことしないと出れない部屋とかもある!?」

『いやサキ先輩、それはねェよ……』


上位チャット:アテミちゃんなんでも金で解決しようとして草

上位チャット:サキちゃんwwwwww

上位チャット:どうしてそうなるのよ!

上位チャット:素に戻って否定してて草


 ざわつく中、トーカは一人胸を張った。


「なるほど。いいでしょう、ノトちゃん。受けて立ちますよ! 私たちは絶対に全員で生き延びてみせる! さあ、最初の試練は何ですか!?」

『あ、ワリィ、トーカ先輩』


 意気込むトーカに、ノトは軽く告げる。


『導入のここしか作ってねーんだ。だから終わりな?』

「あっ……はい」

「はい、終了終了ー!」


上位チャット:草

上位チャット:導入だけかよ!

上位チャット:ここからデスゲーム始まるかと思ってドキドキしたw

上位チャット:残り時間的にね


 アイキャッチが入り、最初の白い空間に戻ってくる。


「はい、というわけで四人にプレゼンしていただきました! いやー、前回も思ったけどいろいろ肝が冷えるな!? 配慮はあったけど炎上しないかビクビクもんですわ!」

「あ……迷惑料」

「薪をくべにきたのかな!?」


 アテミがそっと差し出す札束から、ヨウセイは距離を取る。


上位チャット:アテミwwwww

上位チャット:薪をくべには草

上位チャット:薪(札束)


「えー、それではささっとね、優勝者を決めたいと思います! 第二回、バーチャル悪い子選手権の優勝者は!」


 バババ、と四人の悪い顔のカットインが表示され──そのうち一人の絵だけが明るく表示される。


「二段構えの悪さを仕組んだ、獅羽来アテミさんです!」

「えっ、えっ……」

「おめでとうー!」

「ちぇーっ。まっ、いいプレゼンだったもんな」


上位チャット:おめでとう!

上位チャット:アテミちゃんか

上位チャット:内容も良かったよな

上位チャット:アテミちゃんおめでとうー!


 拍手の中、アテミは戸惑う。


「あ、あの、まだ審査料支払ってないですよ?」

「いらないからね!?」

「そうそう、実力ですよアテミちゃん!」


 トーカはにこりと笑って言う。


「アテミちゃんは立派な悪い子! ね?」

「トーカさん……! 自分、自信を持ちます!」


上位チャット:いや草

上位チャット:それはどうなのwwww

上位チャット:イイハナシダナー……?


「自分でやった企画ながらなんだこの良さそうでその実良くない話は!? はいっ、ということで!」


 ヨウセイは大声でまとめに入る。


「以上、第二回、バーチャル悪い子選手権でした! 次回があるなら別のチャンネルでやらせてほしい! それでは皆さん、またお会いしましょうさようなら!」


上位チャット:お疲れ様でした!

上位チャット:楽しかった

上位チャット:いやースリリングな企画ですわ

上位チャット:他のチャンネルを燃やしに行こうとするなwwwwww

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