【コラボ】バーチャルのペット自慢【特別企画】
上位チャット:待機
上位チャット:待機
上位チャット:おじゃまします~
上位チャット:待機!
上位チャット:貴重なペアコラボ!
上位チャット:楽しみ
上位チャット:そろそろだ
上位チャット:ごきげんよう
上位チャット:ごきげんよう
「みなさま、ごきげんよう」
オープニング動画が終わると、ワンピース姿のお嬢様風の少女が現れる。彼女が首を傾げると、頭の後ろのボリュームのある茶髪の三つ編みが揺れる。
「みなさまを天に導く、バーチャルYouTuberの
上位チャット:ごきげんよう
上位チャット:ごきげんようですわ~
上位チャット:はい昇天RTA新記録
上位チャット:かわいい
「さて今日の生放送は、予告通りゲストを呼んでのトークです」
上位チャット:ゲストだ!
上位チャット:うおおおおおおお!
上位チャット:こんにちは!
上位チャット:キター!
上位チャット:っぱ四天王よ
「ええ、待ちきれない方も多いようですので、さっそくお呼びしましょう。トーカさん?」
「こんにちは、人類」
パッと、画面の横から入り込んで手を挙げる、大きな赤いリボンを頭の後ろに下げた少女。
「彩羽根トーカです!」
上位チャット:こんにちは
上位チャット:こんにちは!
上位チャット:トーカちゃん好き!
上位チャット:リリトカてえてえ
「リリアちゃん、今日はよろしくお願いします!」
「はい、声のトーンを抑えましょうね。ふふふ……どうぞ座って」
上位チャット:トーカ気合入ってて草
上位チャット:リリアちゃんお姉さんかわいい
上位チャット:これが淑女の余裕なんだよなあ……
リリアとトーカは、白い空間を挟んで椅子に座る。
「さて今日はトーカさんがいらっしゃるということで、定番企画の特別編ですわ。トーカさん、『お家のペット自慢』の企画はご存知ですか?」
「もちろん、リリアちゃんの配信はいつも見てますよ!」
「ふふふ、ありがとうございます」
上位チャット:あれ好き
上位チャット:さすがトーカ
上位チャット:聞くまでもなかったなw
「リリアちゃんの『お家のペット自慢』は迷い子の皆さんのペットの写真や動画を、リリアちゃんが鑑賞して楽しむ神企画ですね。いやー人類のペット愛が伝わってくるいい企画だと思います!」
「ええ、いつも楽しませていただいていますわ」
上位チャット:リリアちゃんと動物画像同時に摂取できてうれしいやつ
上位チャット:やっぱ人に見せようと思うと猫チャンのコンディションにも気を遣うようになるんだよね
上位チャット:常連の子の成長が楽しみで
「今日はトーカさんがゲストということで、コンセプトはそのままにバーチャル世界を対象にしてみましたわ。題して、『バーチャルのペット自慢』。バーチャル世界の住民たちのペットをご紹介いただきます」
上位チャット:おおー?
上位チャット:なるほどね
上位チャット:バーチャルだもんな
「いやー、すっごく楽しみにしてました!」
「ふふふ、そうですか?」
「みんなネタバレしないって言って何も見せてくれないので……!」
上位チャット:草
上位チャット:トーカがゲストだって告知されてたからねwwwww
上位チャット:そら本番までは見せないわw
「まあ。それではわたくしとのおしゃべりが楽しみだったわけではない?」
「あっ、ハッ! ちが! もちろんそこはとても楽しみで!」
「ふふふ、冗談ですよ」
上位チャット:トーカ弱くて草
上位チャット:リリアちゃんは言わせたい
上位チャット:てぇてぇなあ……
「それではさっそく行きましょう。今回はわたくしの生の反応も欲しいとのことで、投稿の選定はスタッフが行いました。ですので、わたくしも初見ですわ」
「それはワクワクしますね」
「ええ……一抹の不安もありますが……それでは最初の投稿からいきましょう。投稿者は……」
リリアは手元を見て……もう一度見て確認する。
「投稿者は……神望リリア……?」
「リリアちゃん……?」
「いえ、わたくしは投稿していませんが」
上位チャット:おや?
上位チャット:どういうこと?
上位チャット:?
上位チャット:あっ
「どうしましょうトーカさん。いきなり不安なのですが」
「もしかして……アレなんでしょうか?」
「その可能性が……いやしかし、アレがわたくしのペットだと名乗るでしょうか? いくらトーカさんに見ていただけるとはいえ」
「そう……そうですよね? アシスタントですもんね? ペットじゃないですもんね?」
「ええ。アシスタント以上の関係になるのはまっぴらごめんですわ」
上位チャット:アレ呼ばわりで草
上位チャット:まっぴらごめんwwwwwwww
上位チャット:イヌカワイソス
上位チャット:ペット以下なのかアシスタント……
「じゃあ、ちょっと一瞬写してみましょうよ」
「そうしましょう。危なかったらすぐに消すということで。では」
リリアが手元を操作する。と、二人の間に写真が表示された。そこに映っていたのは包帯を巻いて宙に浮か
「はい」
画像が消える。
上位チャット:草
上位チャット:一瞬で草
上位チャット:見えなかった
上位チャット:イヌビスじゃねーか
上位チャット:ついにペットと認めたね
上位チャット:待てオレは投稿してないぞ!?
上位チャット:ペットは草
上位チャット:本人いるじゃん
上位チャット:本人スパチャまでして否定してて草
上位チャット:やったなスタッフ
上位チャット:スタッフ有能
「さて最初の投稿者は雨天乃ちゃいむさんですわ」
「おおっ、ちゃいむちゃんが!?」
上位チャット:なかったことにされたwwww
上位チャット:イヌビス、許されません
上位チャット:ちゃいむちゃん!
上位チャット:マジ!?
「『雨粒のみんなをイメージした、あまつぶちゃんです。いつも窓際にいるんだ~』とのこと。それでは見て見ましょう。どうぞ」
二人の間に写真が表示される。窓際に置かれたベッドの上で、外に向かって手を伸ばす女子高生。長い黒髪に雨粒型のヘアピンが光る。
そして、その窓枠から逆さに吊るされているのが、水色のスライム素材の人形だった。
上位チャット:ハ……ハングドマン
上位チャット:吊るされてるwwwwwww
上位チャット:え、怖ぁ
上位チャット:FAでいつも握りつぶされてるあまつぶちゃんじゃないか!
「尊いッ」
「そうですか?」
「いやーこれはあれですよ、ちゃいむちゃんが雑談回で雨粒のみなさんをイメージしたゆるキャラを作ったんですが、それの3D化ですね。ツールはTilt Brushかな? いやーエモい……だってこれをペットとして飼ってるわけですよ雨粒の皆さん? 嬉しいですよね?」
上位チャット:いや草
上位チャット:嬉しい……嬉しいよなあ?
上位チャット:あの中には俺という雨粒も入ってるし嬉しい
上位チャット:いやあれは俺だぞ
上位チャット:ツール特定は草。そういやそんな動画も撮ってたなあ
「話が長くなりそうなのでその辺で。次はアバル=クタアさん。飼っているワンちゃんとの散歩の様子だそうですわ。どうぞ」
写真が表示される。写真のほぼ9割が肩幅で、しょぼくれた目の頭部がちょこんと乗った守護神。
そして、その足元にいる、同じ肩幅の犬。
上位チャット:アバゑもん!
上位チャット:肩幅でっかwwwwwwwwwwww
上位チャット:肩幅に対して身長wwwwwwwwwww
上位チャット:キュッボンキュッ
上位チャット:貴重な悪魔の肩から下……ちいせえ!!!
上位チャット:守護神やぞ
「やっぱりペットって飼い主に似るんですね」
「その程度で肩幅って広がるものでしょうか?」
上位チャット:骨格まで似るのは草
上位チャット:似ても顔ぐらいだろwwww
上位チャット:この守護神、この肩幅じゃないとイラストかけないのかよwwwww
「では次は……にわとりのトッポリさんから。『オラのペットのヒヨコだ!』とのこと。動画でどうぞ」
表示された動画は、一見、横倒しの卵だった。しかし角度を変えると、その下に毛の生えた四つの犬の足があるのが見え、そして後ろ側には鱗の生えた尻尾が見える。
『パォ~ン!』
そして、大きな声でいなないて動画が終わる。
「……ペットの名前の時点で不安しかありませんでしたが……ヒヨコ?」
「首輪とかつけづらそうですね~」
「心配するのはそこですか?」
上位チャット:いや草
上位チャット:何から何まで違うwwww
上位チャット:アセットごっちゃにつけた感
上位チャット:怖いよwwww
上位チャット:矛盾塊じゃねーかw
「えーと、次は……お疲れシスターズさんから、シップちゃんというペットだそうですわ。こちらも動画でどうぞ」
次の動画には、3人の女子が映っていた。青髪ロングスカートのお姉さん、赤髪ポニーテールのギャル、白髪のお姫様。それが中央にいる、白い四角に棒のような足が生えた物体に向かって呼びかける。
『シップ、シップおいで~』
『がんばるんだぞ、シップ……!』
青髪が優しく呼びかけ、白髪が力を込めて呼びかける──が。ぐちゃっと、急にバランスを崩して物体は倒れ込んだ。『あぁぁ……』と沈痛な声で崩れ落ちる白髪。赤髪が腹を抱えて笑う。
「てぇてぇ……!」
動画が終わると、トーカはそう言って天を仰いだ。
上位チャット:おつシスじゃん
上位チャット:誰これ
上位チャット:ニャアちゃんは知ってる
上位チャット:面白いけど誰だろ
「ええと、わたくし失礼ながら存じ上げないのですが、トーカさん、お疲れシスターズさんとは……? そしてあの謎の生物は……?」
「個人Vtuberグループ『カミガカリ』内の3人組ユニットですね!
「それはだいぶお疲れな名前……というか一名手遅れでは?」
上位チャット:草
上位チャット:あーなんか名前聞いたことあるかも
上位チャット:個人V集めて箱的なことやってるグループやぞ
上位チャット:MMO廃人のヘルニアちゃんじゃん
「以前はとある企業グループにいたんですけど、解散になって。でもファンのために活動を継続してくれたんですよ。いやーいろいろあったんですよね……でも、みんないい子なので」
上位チャット:ぎっくり腰配信とかな……
上位チャット:あれは全てがかわいそうだったね
上位チャット:トーカのリスナーの知識量よ
上位チャット:これシップちゃんを歩かせようって配信やってたの見たことあるな
上位チャット:自分たちでBlender使って頑張ってましたよ
「そしてシップちゃんはてぇてぇ。マスコットを決めようって配信を昔企業時代にやっていて……えっ、この3人でモデリングしてボーンの設定まで!? パソコン初心者だったのに……ウッ……すばらしい……ズッ」
「延々と語りそうですから次にいきましょう」
リリアはさっさと手を動かす。
「次は
表示された写真では、黄色髪の褐色学ランギャルがメカメカしい犬の首に腕を回してサムズアップしていた。
「これは……アイボっぽい何かですわね」
「ロボットペットですね。ノトちゃんらしくていいと思います、かっこいい!」
上位チャット:でっかいアイボwwwwww
上位チャット:メカかよ!
上位チャット:なんでや清潔だし面倒も少ないしメリットだらけやぞロボットペット!
上位チャット:なお修理サポート期間
上位チャット:バーチャルならなおさらメカである必要はないだろwwww
「えーと、次はしろいぬさんより、タイトルは無題とのことですが……」
「あ、予想できるんで、あとで個人的に見せて下さーい」
上位チャット:でしょうね
上位チャット:いや草
上位チャット:イヌビスの二番煎じの予感しかしねえ!
上位チャット:オレは投稿してない
上位チャット:社長仕事しろ
その後も次々と写真や動画が紹介される。個性豊かな仮想の動物、ネタに走ったもの、クオリティの高い内容が続いた。
「いやー、みんな気合入ってますね。すっごく楽しいです!」
「ですが、残念ながらそろそろ時間ですわ」
上位チャット:いかないで
上位チャット:もう!?
上位チャット:体感5分
上位チャット:面白かったわwwwww
「最後は大調和弊国のヨルニナルト・ヘガデル陛下から、ペットのライオンちゃんとのことですわ」
「おお、へ!いかですか。しかもライオン。似合いそうですね!」
「それでは画像をどうぞ」
それは、たぶんライオンであった。
なんとなく、ネコ科っぽい面影が顔にあった。
たぶん、たまねぎっぽいのはたてがみであろうこともわかった。
しかし──百獣の王とはとても言えない異様であった。
「これは……えっと、力作ですわね……」
「モデリングの努力がすばらしいと思います!」
「なんというか、今日の企画で求めていたのはこういうのの気がしますわね」
上位チャット:ありがとう陛下
上位チャット:へたくそwwwwwwwwww
上位チャット:ライオンの形をしたなにかで草
上位チャット:陛下、審美眼はあるけど絵はね……
上位チャット:初期立ち絵は奇跡の一枚だった
上位チャット:結局、普通の生き物をモデリングしたのは陛下だけだったなwwwwwww
「このほかにもたくさんの投稿がありましたが、お時間の都合でここまで。トーカさんには応募画像をすべて共有しておきますので、あとでお楽しみください」
「ありがとうございます! いやね、3Dモデルを作ってくれた人はぜひ、バーチャルラウンジで見せてほしいです。なんたってバーチャルラウンジは無料!」
「ふふふ、ありがとうございます」
上位チャット:バーチャルラウンジは無料!
上位チャット:ダイマノルマ達成
上位チャット:採用されなかった人は落選展やってほしい
上位チャット:お、やるか
「それではトーカさん、今日はありがとうございました」
「いえいえ、リリアちゃんのお呼びとあればね! いつでも!」
「あらあら、わたくしは何番目なんでしょうね?」
「アッウッ」
「冗談ですよ」
あたふたとするトーカに、リリアはクスクスと笑う。
上位チャット:トーカwwww
上位チャット:弱いんだからもー
上位チャット:トーカは童貞、間違いないね
上位チャット:リリトカ好き……毎秒絡んで……
「それではみなさま。またお会いする日まで、ごきげんよう」
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