【実況以外全部私】お正月らしさを出していきます【コラボ動画】

 バーチャルな街並みの中、広い道路に並ぶ、たくさんの少女たち。


コメント:こんにち何これ

コメント:こんにちは!

コメント:ん?

コメント:ちょwwww多すぎwwwww


 大きな赤いリボンを頭の後ろに下げ、そして色とりどりのタスキをかけた少女が、観客たちに見守られて緊張の様子を見せる。


コメント:なんだこれwwwww

コメント:草

コメント:トーカちゃんがいっぱい……!?

コメント:ご褒美です

コメント:無駄に時間をかけた無駄のない動画だ


「第19回彩羽根駅伝、まもなく往路がスタートします」


 しわしわの声と共に、画面端に巨大なキャラクターが表示される。


コメント:!?

コメント:誰だ

コメント:え、誰

コメント:でっっっか


 それは、巨大な体であった。全身灰色のもじゃもじゃの毛におおわれた、がっしりした体であった。


 一方で頭部は──しょぼくれた目をし、金色の髪から半ばで折れた羊の角が飛び出ている頭部は、小さかった。


 頭1に対し、肩幅が33はあった。


コメント:wwwwwwwwwww

コメント:いや肩幅よお!

コメント:肩幅ァ!

コメント:パースが狂ってるのかな?

コメント:アバゑもんじゃん

コメント:コラボいいぞ


「実況は吾輩、電脳世界のグレイテストダイモン、アバル=クタアである」


コメント:デーモン?

コメント:ここだけいつも偉そう

コメント:挨拶だけ偉い守護神

コメント:コラボするの早wwww

コメント:トーカちゃんのフットワークの軽さよ


「チームメイト、その家族、見守る卒業生、多くの想いを背負った21本のタスキがまもなくここ、バーチャル大手町をスタートします」


 21人のタスキをかけたトーカを、道路沿いに並んだトーカたちが旗を振って応援する。


コメント:バーチャル大手町とは

コメント:箱根駅伝かwwww

コメント:これランナー全員違う動きしてるんだけど

コメント:全員分モーション取ったのか……?

コメント:なんなら観客も数パターンあるっぽい


「さあいよいよスタートです。スタートラインに横一列に並びました」


 トーカたちが白線を前にして構えを取る。


『位置についてェ!』


 ピストルを持ったトーカがその横で声を張り上げ、空へ銃口を向ける。


 ──パァン!


「スタートしました。第19回彩羽根駅伝、21チームが一斉に飛び出していきました」


 トーカたちが一斉に駆けだす。


コメント:なんなのこれwwwwww

コメント:理解が追いつかない

コメント:実況以外全部トーカ

コメント:銃声もトーカっぽいwwww


 カメラは先頭を走るトーカに寄る。


「彩羽根大学、4年生の彩羽根トーカを先頭に、集団が、その彩羽根トーカを追うように走っております」


コメント:彩羽根大学

コメント:草

コメント:えぇ


「その横にはトーカ大学、3年生の彩羽根トーカの姿もあります」


コメント:トーカ大学とは

コメント:通いたいわ

コメント:トーカ大学のトーカちゃん???


「21人ひと塊、連覇を狙う彩羽根学院大学の彩羽根の姿もあります」


 カメラは21人のトーカたちの全体像を映す。


コメント:彩羽根学院大学

コメント:なんなんだよwwwww

コメント:それっぽい実況で草

コメント:このしわしわした声癖になるな


「ここから往路107.5キロの戦いが始まります。それでは出場校全21チームの紹介をいたします」


 カメラがひとりの選手に注目し、名前や所属などが表示される。


「前回は惜しくも2位に終わりました、バーチャル大学。1区にはキャプテンの彩羽根トーカ。優勝候補の一角です。そして続くのは、前回6年ぶりのシードを得た──」


 と次のチームの紹介から早送りされる。


コメント:早送りしないで

コメント:マジで21チーム分やってそう

コメント:あとでコマ送りで確認するか……

コメント:細かく作り込んであって草

コメント:アバゑもんがんばったな……


 早送りの紹介が終わり、動画が通常の速度へ戻る。


「いかがですかな、解説の彩羽根トーカさんよ」

「そうですね。仮想大学の彩羽根君は『前回は彩羽根君にひっぱってもらった。今回は自分がチームに貢献したい』と意気込みを語っていました。その走りに注目です」


コメント:???

コメント:解説はトーカちゃんか!

コメント:トーカちゃんのトーカちゃんによるトーカちゃんの解説

コメント:お、前回タスキが途絶えてしまった唯一のチームの仮想大学

コメント:早送りの個所把握してるやつがいて草なんだが


 カメラは集団から少し遠ざかり、先導する白バイを映す。


「第19回彩羽根駅伝、先導する白バイは向かって右が彩羽根トーカ巡査長。左が彩羽根トーカ巡査です」


コメント:もうwwwwwwwww

コメント:草

コメント:違いが分からねーよ!!!

コメント:白バイもトーカちゃんだったかwwww


「ここで遅れ始めたのがフルトラ大学の彩羽根トーカ、VR大学の彩羽根トーカ。第二集団を……──」


 アバルが実況する間に、カメラが引いていき──駅伝を映すテレビを、こたつに入りながら見るトーカの後ろ姿になる。


コメント:ん?

コメント:お?

コメント:トーカちゃんだ?


「……あー、お正月かあ……風物詩だなあ」


 トーカはぼんやりと呟き、顔を傾けてカレンダーを見上げる。


「あ、そもそも月曜だったからニチアサじゃない? 正月休みは曜日感覚が薄れちゃうな~」


 トーカは、のそりと首だけ振り返って顔を見せ、ニッと笑う。


「そう思いません、人類?」


コメント:ウッッッ

コメント:はいかわいい

コメント:はい!

コメント:正月から濃度の濃い謎動画だった

コメント:トーカちゃんがいっぱいでよかった

コメント:正月ぐらいだらけていけ……

コメント:終わったwwwww

コメント:よかった5時間ぐらい駅伝するのかと思ったwwwww

コメント:アバゑもん、付き合ってくれてありがとう……

コメント:これで仕事頑張れるわ

コメント:年始から人類もがんばっとる

コメント:こんな子と駅伝をだらだら見ていたい人生だった

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