【いタイ?】ドッキリとかやってみたいよね!【マッサージ】
白い空間に、青薔薇のシュシュをした金髪ツインテールの巨乳美少女が立つ。
「みんなー! 見てるー? ミチノサキだよ!」
コメント:見てるー!
コメント:みてっぞ!
コメント:ぞ!
コメント:今日も高まってるな
「あのね、今日はね! あたし、ドッキリをやってみたいなって思ったの! なんかいろんなVtuberさんが企画でやってるの見て、楽しそーっ! って!」
サキは手をブンブンと振り回しながら熱弁する。
コメント:ドッキリ!
コメント:いいね
コメント:おっ
「でね! 事務所の人に相談して、許可をもらいました! あたし、ドッキリの仕掛人をやっちゃいます! ターゲットは~……この人!」
バン、という効果音と共に画像が表示される。
「ジャーン! そう! あたしのマネージャーの、アバタさんです! イェーイ!」
コメント:あっ
コメント:はい
コメント:これは虚空送り
コメント:アバタにならドッキリ仕掛けてもいいって関係性いいよね……
コメント:兎お前……わかってんだろうな?
「やっぱりね、アバタさんってみんなに虚無だとか虚空だとか言われてるでしょ? そこで、ドッキリってわけ! アバタさんの意外な反応を引き出しちゃおう、という企画です!」
コメント:いいね
コメント:(うまくいくと)いいね
コメント:そもそも引き出すものがあるのか?
コメント:虚空しかないよ
「そこでね、あたしは考えました。アバタさんからナイスなリアクションを引き出すにはどうしたらいいか? その答えが、これだーっ!」
バシッ、とサキは空中のアバタの画像を叩く。と、画像が変化してロゴを表示させた。
『アバタさんにちょー痛いマッサージを仕掛けて、悲鳴を上げさせちゃおう!』
「ねねねね! いいアイディアでしょ? リアクションもとれて、アバタさんもちょっぴり痛いけど健康になって、一石二鳥!」
コメント:おー
コメント:なるほどね
コメント:あー……
「ということでね、痛そうなマッサージを探したの! それがこちら!」
バシッ、と再び画像を叩く。するとうつぶせになった人の腰の上に正座して乗っかり、腕を引っ張ってエビ反りにしている画像が表示された。
「タイ古式マッサージ! ねね、すごい体勢だよね? これきっと絶対痛いよね!?」
コメント:プロレスかな?
コメント:ヤバそう
コメント:有名なやつだ
コメント:あっ
「というわけで、マッサージ師さんを呼んでもらって、収録していくね! いってみよー!」
アイキャッチが入り、場面が転換する。
次の場面で表示されたのは、サキともう1人。
「みんなー! 見てるー? ミチノサキだよ! それからそれから!」
「みなさま、ごきげんよう。世界初男性バーチャルYouTuberのマネージャー、アバタです」
兎頭にサラリーマンスーツ。アバタが胸に手を当てて腰を折る。
「ミチノサキさんのマネージャーをしております。よろしくお願いします」
コメント:出番終了
コメント:宣伝乙
コメント:いつもの
コメント:兎ぃ! もっと出てこい!
「というわけで今日はね、アバタさんメインの撮影に、あたしがお邪魔しちゃいました! アバタさんごめんね?」
「いえ。というよりも、私の収録よりもサキさんの収録をした方が……」
「そしてそして、今日はなんと~!」
コメント:草
コメント:押すねえ!
コメント:ごり押していけ
「新しい機材のテストをするんだよね! ね、アバタさん?」
「はい」
アバタはこくりと頷く。
「複数人が密着しても、モーションを綺麗に取り込めるようになる機材と聞いています」
「うんうん。そのテストのためにね! 二人組のストレッチみたいな感じのマッサージを受けてもらいます!」
コメント:なるほどね
コメント:そういう体で行くのか
「アバタさんには、いつもお世話になってるから! 気持ちいいマッサージで元気になってほしいなって! あたしがお願いしておいたの!」
「ありがとうございます」
アバタは丁寧にお辞儀し──ふいに頭を上げる。
「しかし、いいのでしょうか。私にそんな予算を使わなくても」
「はい、それじゃ行ってみましょう!」
コメント:草
コメント:押し切ったwww
コメント:兎はさあ
コメント:もっと予算を使っていけ
再び入るアイキャッチ。次の画面では──サキはワイプ画面に表示されていた。
メイン画面に表示されているのは、ベッドの設置された狭い部屋の中で、モーションキャプチャー用のスーツを着て兎頭のマスクをかぶった男性。
『あの、サキさん』
「なあに、アバタさん!」
『なぜ私はマスクを』
「何言ってるのアバタさん!」
サキは大きな声で遮る。
「それがアバタさんの体でしょ!」
『え』
「いつも人間界に出るときはその顔と体じゃない!」
『え』
「だよね、アバタさん!」
コメント:草
コメント:だよな!
コメント:そうだぞ
コメント:リアバタ助かる
コメント:細くて草
コメント:エッッッロ
コメント:兎組大歓喜
『……そうです』
「問題ないよね、アバタさん!」
『はい、ありません』
「それじゃーマッサージ師さんに入ってもらうね! お願いしま~す!」
ガチャリ、と部屋の扉が開いて──
『………』
入ってきたのは、アメリカ大統領風のマスクをかぶった男性。
コメント:wwwwwww
コメント:いや草
コメント:マッサージ師にもマスクwwww
コメント:make america great again!
コメント:いいのかよこれwww
コメント:ジョークグッズだから……ジョークグッズだからセーフ
『あ、よろしくお願いします』
アバタは躊躇なくお辞儀をする。
コメント:えぇ
コメント:アバタお前
コメント:はい虚空
コメント:なんかこう……あるだろ!
コメント:マッサージ師さんごめんなさい
コメント:ツッコミしろよぉ!
「それじゃーアバタさん、マッサージ師さんの指示に従ってね!」
『わかりました』
無言のマッサージ師に身振り手振りで誘導され、アバタはベッドに座る。まずは足裏の洗浄とマッサージが始まった。
「足裏! これはもう来たでしょ。──どう、アバタさん?」
『はい?』
「痛い!?」
『いえ』
アバタは首を傾げる。
『……気持ちいいです』
「……そっか!」
コメント:おう
コメント:お、おう……
コメント:足裏俺はだめだわ
コメント:内臓が丈夫なのかな?
「じゃあどんどんやってもらおう!」
『はい』
続いてアバタはベッドにうつぶせで寝かされ、足や背中をマッサージされる。ぐっぐっ、とマッサージ師が力を入れるたび、アバタの体も揺れる──が、兎頭マスクから悲鳴は漏れ出てこなかった。
「全然痛そうじゃない……」
『あの、サキさん』
「あ、うん! なに!?」
『ちゃんと、キャプチャ、できてます、か?』
「うん、大丈夫大丈夫! バッチリ映ってるよ!」
コメント:バッチリな
コメント:超リアルな3Dが映ってるよ
しばらくマッサージが続いた後、ようやく画像に出てきたようなアクロバティックな姿勢でのストレッチが始まる。
「本番来た! アバタさん! どう!?」
『はい?』
「痛い!?」
『いえ、気持ちいいです』
「アバタさん!」
『はい?』
「無理しなくてもいいからね!」
『あ、はい』
バキバキ!
コメント:!?
コメント:すごい音したwwww
コメント:俺も馬乗りになりたい
コメント:プロレスかな?
コメント:何今の音
コメント:関節ぅ!
『……ふッ……』
コメント:ここです
コメント:ボリューム最大推奨
コメント:!?!?!?
コメント:エッッッッ!
「キター! アバタさん! 痛い!?」
『あ。いえ、気持ちいいです』
「……そうなんだ……」
『はい』
「うん……」
サキがトーンダウンし……『全然痛がらないのでカット』というテロップが入って、アイキャッチとなった。
コメント:はい
コメント:というわけでね……
コメント:これだから兎はさあ
「え、あれ、やせ我慢とかじゃなくて……? アバタさんすごく体が柔らかいとかなの……?」
白い空間でひとり、サキはうろうろしながら首をひねる。と、スタッフからカンペが出された。
「えっ? タイ古式マッサージってそんなに痛くない!? そうなの!? あんなすごい体勢になるのに!? えぇ……そんなあ~……」
コメント:そうなんだ
コメント:へえ~
コメント:はい
コメント:バラエティ受けする感じではないですね……
コメント:知ってた
コメント:わざわざ痛がらせるマッサージはしないよ普通
コメント:テレビの罰ゲームのイメージだよなあ
アイキャッチが入り、サキとアバタの二人が並び立つ。
「はーい……というわけで、アバタさんにはマッサージを受けてもらいました。どうだった?」
「体が軽くなりましたね」
「そっか! ……なら、よかった!」
サキはにこりと笑う。
コメント:よかったなら良し!
コメント:かわいい
コメント:守りたいこの笑顔
コメント:アバタ健康になってくれ
「はい。ありがとうございます」
アバタは礼をし──ふっと頭を上げる。
「ところで機材のテストはうまくいきましたか?」
「うん? うん……うん……たぶん? あとで確認してみて!」
「わかりました」
コメント:ネタバラシなしかw
コメント:果たしてこれを見たアバタは何を思うのか
コメント:いやあ……虚空送りでしたね
コメント:これがアバタなんだよなあ
「それじゃあ、みんな! ちょっと狙いとは違ったけど、これはこれで良し、だよね! また見てね~!」
コメント:またね~
コメント:お疲れ様
コメント:兎組です最高でしたありがとうございました
コメント:ガチ勢こわ
コメント:サキちゃんの動機はかわいかったし最高
コメント:パーフェクトコミュニケーション!
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