【その声は】バーチャル山月記ゲーム!【ではないか?】
上位チャット:待機
上位チャット:プレミアだ
上位チャット:コラボ楽しみ
上位チャット:待機
上位チャット:今日平等院だけ?
上位チャット:アキラ君もあるよ
上位チャット:はじまるぞ!
上位チャット:森?
上位チャット:煌真様!
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くす大正風学生服の男。
『草むらの中から、バーチャルYouTuberの魔王の声が聞こえた』
「えッ」
そして草むらから、困惑した男の声。しばらくの沈黙。
「……コ、こんにちは、人類! 彩羽根トーカです!」
上位チャット:草
上位チャット:裏声で草
上位チャット:似てねえwwww
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
「その声は、我が友、ハナヌキヨウセイではないか?」
「……いかにも、自分はハナヌキヨウセイである!」
学生服の男が呼びかけると、白Tシャツと藍色のジャージの男が名乗りを上げながら草むらを貫通して登場する。
上位チャット:草むらペラペラじゃん
上位チャット:草だわ
上位チャット:収録は水曜日か
上位チャット:すいすい水曜日~
「はいというわけで! 初手無茶振りをこなしてやりました! 司会をやらせていただきます、九から六に飛んで
声も大きく、身振りも大きくヨウセイが隣の男に振る。男は痛々しいポーズをとった。
「おはよう、諸君! バーチャル帝都所属の
上位チャット:キター!
上位チャット:オウマ君好き
上位チャット:おはよう!
『天の声を担当します、同じくバーチャル帝都所属の
ワイプ画面に顔写真だけ貼られたアキラが後に続く。
上位チャット:アキラきゅん!
上位チャット:今日は天の声なのか
上位チャット:収録の都合かな?
「ということで本日は! Vバラプレゼンツ! 『バーチャル山月記ゲーム』コラボ! ゲストはオウオウインオウマさん、ナノミヤアキラさんです!」
『いぇ~い!』
「いえー! フゥー!」
アキラが拍手して盛り上げると、オウマも乗って手を挙げて叫び──
『フッフー!』
「………フゥー!」
「そこで照れるなよオウオウイン!?」
アキラにノリノリで倍返しされ、勢いを失ったオウマにヨウセイがツッコんだ。
上位チャット:草
上位チャット:オウマ弱すぎwwww
上位チャット:照れるぐらいなら乗るなよwwwwww
「いやっ、いやまあ、いや、照れてないぞ、うん」
「えー深くツッコムのはね、かわいそうだからやめておきましょう」
「照れてないが!?」
『はいはい、進めようねオウマくん』
「クッ……」
上位チャット:照れてましたねえ
上位チャット:いるよな一定のノリを超えると恥ずかしがるやつ
上位チャット:かわいい
「はい、というわけで今日の企画を説明します! 題して、『バーチャル山月記ゲーム』!」
ヨウセイが宣言し、タイトルロゴが画面に表示された。
上位チャット:888888
上位チャット:バーチャル山月記……?
上位チャット:バーチャル要素?
「オウマさんは山月記は知ってますかね?」
「あれだろう。なんかこう……人間がなんやかんやあって虎になってしまって、それでこう夜に人を食べようとするんだが、相手が友人だと気づいてヤブの中に隠れて『危ないところだった』と言う。すると友人の方も声で気づく……というような話だな!」
「大体そんな感じです!」
上位チャット:へー
上位チャット:まあだいたいそんなところか
上位チャット:日本人山月記大好きだよな
上位チャット:オウマなかなかよく知ってるじゃん
「ということでその有名なワンシーンをモチーフにしたゲームになっています! 解答者がオウオウインオウマさん。出題者がゲストの皆さんです。天の声がお題を出しますので、ゲストはオウマさんに分からないように演技し、オウマさんはそれが誰なのか分かったら『その声は、我が友、○○ではないか?』と解答していただくゲームです!」
上位チャット:なるほど
上位チャット:それ我が友言いたいだけでは?
上位チャット:10割そのセリフ言いたいだけのゲームだコレ
上位チャット:声当てゲームに面白い名前つけやがってwwww
「出題は全部で6問。正解数に応じて、自分から賞品を出させていただきます。しかし! もちろん不正解にはペナルティ! リスナーから恥ずかしいセリフの募集を行って収録していただく罰ゲームをご用意してありますのでね! ご期待ください!」
上位チャット:セリフ!
上位チャット:よし!
上位チャット:有能企画
上位チャット:ありがとうございます(ゲス顔)
上位チャット:今から考えなきゃ
「さてオウマさん、自信のほどはいかがですか?」
「もちろん、このオウオウインオウマに不可能はないッ! ……ないが」
「おや? 何か心配なことでも?」
「いやそういうことではないんだが……」
オウマは顎の下に手をやって首をかしげる。
「この企画に出るにあたってな? 局長とミサギに予定を確認したんだが……」
「はい」
「……予定がある、とだけ答えられたんだが……いや、確認したいわけじゃないが、しかし、もしだ、万が一、万が一な? 二人が出題者にいたとしてだ、答えられなかったらと思うと──」
「はいそれではさっそく始めていきましょう!」
上位チャット:草
上位チャット:これはいますねwwww
上位チャット:不正解は気まずいなw
上位チャット:6問中の2か!
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くすオウマ。
上位チャット:ここかっこいい
上位チャット:これ毎回やるんだ
上位チャット:黙ってればイケメン
『草むらの中から、お母さんを探す迷子の少年の声が聞こえた』
「おかあさん、どこぉ……? ボク、寂しいよぉ」
上位チャット:お?
上位チャット:だ、誰だ!?
上位チャット:ん???
上位チャット:下手なショタボで草
「……えっ? だ、誰だ? 声は男……だよな? え……?」
セリフが終わると、オウマはあたりをきょろきょろ見回す。
「これって、俺の知り合いなんだよな?」
「はい。今回のゲストは、オウマさんが共演したことのある方に限っています」
「いや初手から全然思い当たらないんだが? クッ……」
上位チャット:分からん
上位チャット:難問だぞ
上位チャット:ワンチャン陛下……ないか
「……ショタボを出し慣れていない、感じはしたな。ええと……よし」
呟いていたオウマは、顔を上げる。
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
「その声は、我が友、アサカラ兵士長ではないか?」
「HAHAHA、はずれデース!」
上位チャット:!?
上位チャット:え?
上位チャット:は?
草むらパネルを貫通して、緑の肌に乱杭歯のオークが登場する。
「正解は、オークのルグロズ、デス! HAHAHA!」
上位チャット:お前かよお!
上位チャット:うそやろ
上位チャット:え、これがさっきのショタボを?
上位チャット:モンスターの登場かな?
「いや待て! え!? 本当にか!? ずっ、ずいぶん日本語が流暢だったが」
「エセ外国人っぽいとウケるからやってるだけですよオウマさん。日本人そういうの好きでしょう?」
「そっれっは……ちょぉっと知りたくなかったな!?」
「HAHAHA!」
上位チャット:草
上位チャット:めちゃくちゃ日本語うまくて草
上位チャット:マジで?
上位チャット:さすが知性あるオークだわ
上位チャット:知りとうなかったwwwww
「はい1問目は不正解ということで! 早速罰ゲームボイスが1つ決定です!」
「ク……」
「この調子で2問目にいきましょう! お願いします!」
上位チャット:よし幸先いいぞ
上位チャット:この調子でいこう
上位チャット:おーおーいんの味方いなくて草
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くすオウマ。
『草むらの中から、崖に叩きつけられて瀕死のサイヤ人の息子の声が聞こえた』
「ア゛……ァァァ……ァ゛ッ……ア゛ァ゛……」
「ちょっと待て!?」
上位チャット:wwwwwww
上位チャット:ズルいよwwww
上位チャット:急なドラゴボは草
上位チャット:悟飯じゃねーか!
上位チャット:似てねーw
「なんでしょうオウマさん」
「いやそのこれは……これはズルくないか!?」
「いや~、迫真のモノマネでしたね! 解答をどうぞ!」
「クッ……」
オウマは額に手をやる。
「……いやさっぱりわからん……わからん、が……わりと下手だったことを考えると……よし」
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
「その声は、我が友、
「せいか~い!」
ぴょい、と、草むらパネルから大正時代の女学生風の服を着た長い髪の少女が飛び出る。
上位チャット:おおおお!
上位チャット:やるじゃん
上位チャット:局長かわいい
上位チャット:局長かよwwww
「いかにも、自分はホノノギクヌギであるっ! あはは。えー、すごい! よくわかったねオウマくん!?」
「いや、まぁ? 新式放送局の一員として、局長の声を間違えるなんてことは、ありえないですからね。しかし用事があるというのはやはりブラフでしたか。となると……」
「ところで、下手って言ってなかった?」
「アキラ、次だ! 次に進めてくれ!」
「はい、では3問目です」
上位チャット:あっ
上位チャット:言いましたねえ
上位チャット:笑顔が怖いよクヌギちゃん!
上位チャット:オウマ必死で草
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くすオウマ。
『草むらの中から、青年にドーナツをねだる女の子の声が聞こえた』
「わたし、ハニー……チョコドーナッツが食べたいなぁ、お兄ちゃん」
「かわいー!」
「えっ」
聞こえてきた声に、クヌギが反応する。その声はどう聞いても──おじさんの声だった。
上位チャット:おじさんじゃねーか!
上位チャット:これは楽勝
上位チャット:ハニーキャラメルバナナチョコレートドーナツだぞ間違えるな
上位チャット:クヌギちゃんwwwww
上位チャット:正直興奮する
「はい、解答をお願いします!」
「いや、うん、これは、分かるぞ」
オウマは数回頷く。
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
「その声は、我が友、ぽちゃ氏ではないか?」
「あ、はい、いかにも~」
スーッ、とがに股のドラゴン娘が両手を振って草むらパネルから滑り出てくる。
上位チャット:おじさん!
上位チャット:たまニキ!
上位チャット:登場の仕方よwwww
上位チャット:呼ばれれば出てくれる大物
「おはようございまーす。バーチャルぽちゃロリドラゴン皇女Youtuberおじさんのドラたまで~す」
「ドラたまさん、出演ありがとうございます。しかし、かなり自信があったようですね、オウマさん」
「まあ? 当然だな。数々の戦場を駆け抜けた仲だからな。この耳が声をしっかり覚えている」
「さすがだよ、お兄ちゃん!」
「それはやめてくれぽちゃ氏!?」
「あーはい、まあまあまあ」
わたわたと手を振るオウマに、ドラたまは笑いながら一歩下がる。
上位チャット:オニイチャン!
上位チャット:ふぅ……
上位チャット:素笑いありがたい
上位チャット:おじさんが一番エッチな声出せるんだよなあ
「さあ折り返し。ここまで3問中2問正解です。それでは4問目」
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くすオウマ。
『草むらの中から、人型決戦兵器に乗れと父親から強要されている少年の声が聞こえた』
「無理だよそんなの……見たことも聞いたこともないのに、できるわけないよ!」
「おお~、うまい!」
「これは素晴らしいデスネ!」
上位チャット:おお
上位チャット:えっうま
上位チャット:シンジ君!?
上位チャット:これはレベル高いな
「さあどうでしょうか、オウマさん」
「……いや、自分、さすがにご本人とは共演したことないぞ?」
「いやいやさすがに呼べませんからね!?」
上位チャット:本人出演は草
上位チャット:さすがにねーよwwwww
上位チャット:さすがに本人ではない
上位チャット:うまいけど本人はないでしょw
「まあ、わりとな? こう、局の間でアニメの話はするんだ」
「うんうん、するね」
「で、セリフのモノマネとかもやるんだが……アイツこんなに上手かったか? いや、でもアイツがやりそうな題材ではある……」
オウマはちらりとクヌギを見る。
「局長、今日はミサギと一緒では」
「えぇ~、知らないなぁ~。別行動だよ?」
クヌギは左右に揺れて否定する。
「クッ……」
上位チャット:はいかわいい
上位チャット:局長おちゃめかわいい
上位チャット:白々しい笑
「それではそろそろ解答をお願いします!」
「……わかった、いいだろう」
オウマは心を決める。
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
「その声は、我が友、
「す、すいません……ハズレです」
「なッ……!?」
そろそろと、金髪ショートカットに青い服の少女が草むらから出てくる。
「はい、ということで出題者はこちら!」
「ど、どうも~……
上位チャット:リエルちゃん!
上位チャット:マジか!
上位チャット:え、うま
上位チャット:あー復活した子だ
「いやー、リエルさん、オファーを受けてくれてありがとうございました!」
「あっ、いえ、それはその、いいんですけど、むしろオウオウインさんに申し訳ないというか……私なんてそんなに絡んでないですし……」
「……いやッ……」
リエルが腰を低くすると、驚き声を失っていたオウマが前に出る。
「リエル氏とは確かに『共演』した。条件は合っている。見抜けない自分が未熟だっただけだ」
上位チャット:同じステージに立ったもんな
上位チャット:はやくDVD届いてほしい
上位チャット:あれはエモかった
「あのステージぶりだな、リエル氏。こう、同じバーチャルYouTuberとしてな、あの場面は感動したし、ぜひもっと語り合いたいと思っていた」
「あ、はい。ありがとうございます」
「いやしかし、上手かったな。なあ?」
「うんうん!」
「もっと聞きたいデスネ」
オウマが問うと、クヌギとルグロズが同意する。
「だよな? どうだろうひとつ?」
「えっ、む、無理無理無理ですよぉ! 準備してきたのアレだけなので……!」
上位チャット:早口で草
上位チャット:アドリブ拒否!
上位チャット:これ好き
上位チャット:モノマネは準備したい派
「はいはい、無茶振りはやめてくださーい。今日はオウオウインをイジる回でーす」
「そうだな、ってォイ!」
リエルの前に立ちはだかるヨウセイに頷きかけたオウマは、固い感じでツッコミを入れる。
「はい、それではここまで4問中2問正解! 恥ずかしいセリフのノルマが積みあがっていくぞオウオウイン! 5問目いきましょう!」
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くすオウマ。
『草むらの中から、背の高いゲストに身長を尋ねるたまねぎ頭の淑女の声が聞こえた』
「お背は何センチでいらっしゃるの?」
上位チャット:草
上位チャット:ちょっと似てる
上位チャット:何?
上位チャット:徹子の部屋かよwwww
「さあどうでしょうかオウマさん」
「これはな……メタ読みしてもいいか?」
オウマは腕を組みながらウロウロと歩き回る。
「このモノマネの昭和的な選択、そして、最初にヨウセイがモノマネをするとき詰まっていただろう? つまり、答えはこれしかない!」
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
「その声は、我が友、彩羽根トーカではないか?」
「ハズレー!」
草むらパネルから飛び出てきたのは、ピンクの書生風着物を着た少女。
「やーいやーい、ひっかかった! バーカバーカ! ──っていうか当てなさいよバカ!」
「いや……いやだっておまっ、お前……えぇ」
「はい、お名前お願いします!」
「こんにちはー、バーチャル帝都所属、七見屋ミサギです!」
ミサギはカメラに手を振る。
上位チャット:ミサギちゃんキター!
上位チャット:サギウマありがてえ
上位チャット:ありがとうございます
「いや、聞いたことないがあんなモノマネ?」
「隠し球ってやつよ。ふっふっふ」
「どうりでトーカ氏にしてはクオリティが低いなと」
「ハァ!? 結構特徴掴んでたでしょうが!」
「いや、あんまり黒柳氏見ないし」
「それでどうしてクオリティ判断できるのよ!?」
「え、まあ、全体的に……?」
「ムキーッ!」
上位チャット:草
上位チャット:仲いいな君らwwww
上位チャット:まあ似てはなかったなwwwww
「まあまあミサギちゃん」
「クヌギちゃん、ダサメッシュがひどいよ~」
「よしよし」
クヌギはミサギの頭をバーチャルに撫でる。
上位チャット:てぇてぇ
上位チャット:はい
上位チャット:クヌサギも好き
上位チャット:局長ママ……
「さあここまで5問中2問正解。恥ずかしいセリフ3種類が確定していますがどうですかねオウマさん!」
「フッ、このオレ様を恥ずかしがらせると思わないことだな」
「いや序盤めっちゃ照れてたぞオウオウイン!?」
「なッ、あ、あれは……照れてないが!?」
上位チャット:照れてたよ
上位チャット:照れてた
上位チャット:弱いからなあ正蔵院は
上位チャット:すでにいろいろセリフ案が某所で書かれてて草
「はい、セリフ収録が楽しみですね。なおこの放送終了後にアンケートフォームでリスナーの皆さんから募集しますのでよろしくお願いします! それでは最終問題、行ってみましょう!」
『月の光を頼りに男が林の中を通っていくと』
ザァァ……と風に揺れた木々がざわめく。月の光の中、立ち尽くすオウマ。
『草むらの中から、違和感を指摘する少年探偵の声が聞こえた』
「あれれ~、おかしいぞ~?」
「………」
「……んっ?」
オウマは首をひねり、天を仰いだ。
「アキラ?」
『は~い』
「いる……よな、そこに。うん。えっ?」
上位チャット:ん?
上位チャット:お?
上位チャット:かなりクソガキ感の増したコナンだったなwww
上位チャット:バーローは草
「さあどうでしょうかオウマさん!」
「これ……もう一回聞くッ……というのは、アリ、か?」
「『自信がなくて二度聞いた男』ということになりますがよろしいでしょうか?」
「ウッ」
「え~、もう一回なの~?」
「いやッ! いや、確認、確認だけだ。いや、それっていいのか? という……」
ミサギに煽られて、オウマは弱々しく言い訳をし──
「いやッ、いい、決めた、やるぞ!」
『驚きながらも、彼はとっさに思い当たって叫んだ』
オウマは大きく息を吸い込んで、答える。
「その声は、我が友、七見屋アキラではないか?」
問いは草むらに吸い込まれ──
「正解で~す! あははは!」
能天気な声になって返ってきた。青い書生風の着物を着た少年は──手と膝を床につくオウマを見て引く。
「え、ちょっ、何崩れ落ちてるの?」
「いやその……なんか疲れた」
「あはは、お疲れ様」
クスクスと笑いながらクヌギが二人に近づく。オウマはヨロヨロと立ち上がった。
「でもオウマ君、よくアキラ君だって当てたね?」
「いや、声は聞いて分かったんですが……天の声と二役やるのはアリなのか? という点で迷って……」
「いやー、惜しいな~、盲点を突いた作戦だったのにな~!」
「フンッ、お前がこのオレ様を出し抜こうなんて甘いんだよ」
「うん、エヘヘ」
上位チャット:エヘヘじゃねえが!
上位チャット:はーてえてえなあ!
上位チャット:ウッッッッ
上位チャット:何このかわいいの
上位チャット:ウマキラ派になります
「はいというわけで最終結果です。全6問中、3問正解! つまり3問不正解ということで! オウマさんには3つの恥ずかしいセリフを収録していただくことに決定しました!」
上位チャット:よっしゃ!
上位チャット:ありがてえ
上位チャット:3つじゃ足りないが
上位チャット:有料でいいからもっと頼む!
「ちなみに正解分のご褒美は、後で自分から菓子折りを贈らせていただきますのでご期待ください」
「お、おぉ。それは、ありがとう」
「ぜひ局のみなさんで」
「やったー!」
「楽しみ!」
オウマを除くバーチャル帝都組が歓声を上げる。
上位チャット:あっ
上位チャット:オウマ君の分残るといいね
上位チャット:これは食べられる笑
上位チャット:仲よくしろよなwwwww
「さて、『バーチャル山月記ゲーム』、いかがでしたかオウマさん」
「いやっ、面白かったな。結局、局の全員が出題者だったのは驚いたが」
オウマが局の面々を見渡すと、クヌギたちは「えー普通だよね」などと言い合った。
上位チャット:オウマ諦めろw
上位チャット:何も不正はなかった
「オーク氏、ぽちゃ氏、リエル氏には出演と熱演に感謝を。特にリエル氏はよかった、上手かったな」
「アッ、イエイエ、お構いなく……ハイ」
「HAHAHA! オウマサン、アピールはもっと丁寧にやらないといけませんヨ!」
「いやそんなんじゃないが!?」
そそ……と後ろに引いたリエルに、オウマは無害を伝えようとし──
「そうなのオウマ君?」
「へー」
「ソウナンダー」
局の面々に追撃を受ける。
「いやお前らも乗るんじゃない! こっ、かっ、リエル氏が困ってるだろうが!」
「ラノベかな?」
「リエル氏!?」
「アッ、な、なんでもないでスゥ……」
上位チャット:wwwwwwwwww
上位チャット:大草原
上位チャット:言うじゃんwwwwww
上位チャット:リエルちゃん面白いな
上位チャット:リアルラノベ男子
上位チャット:後ろから刺されてて草
「はいはい、ややこしいことになる前に締めようと思います! 以上、Vバラプレゼンツ、『バーチャル山月記ゲーム』でした! またお会いしましょう、それではー!」
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