【コラボでドッキリ大成功?】新人Vtuberを生み出した結果【大惨事?】(前)
上位チャット:待機
上位チャット:ごきげんよう
上位チャット:これがプレミア公開か
上位チャット:動画を生放送する感じ?
上位チャット:はじまる
上位チャット:!?
上位チャット:なんだこのカウントダウンくっそうるさいwwwww
上位チャット:はじまるぞ!
「みなさま、ごきげんよう」
白い空間で、オレンジ系のワンピース姿の少女が挨拶する。わずかに傾げた首に応じて、頭の後ろのボリュームのある茶髪の三つ編みが揺れる。
上位チャット:ごきげんよう!
上位チャット:もう昇天しそう
上位チャット:リリア様ごきげんよう!
「みなさまを天に導く、バーチャルYouTuberの神望リリアですわ」
リリアが小さく手を振る。
上位チャット:はいかわいい
上位チャット:うるわしい
「さあ本日の動画は、このわたくしが今立っているバーチャルラウンジの機能を改めてアピールしよう、という趣旨ですわ。それではさっそく、バーチャルラウンジを愛用してくださっているゲストを……」
「待て待て待て待て」
画面端から包帯でぐるぐる巻きにされ宙に浮かぶリーゼント犬が割って入る。
上位チャット:出たわね
上位チャット:イヌじゃん
「順序が違うだろう。キサマのアシスタントを先に呼ばないでどうする」
「あら、いたんですか。いなくても良かったのに」
上位チャット:草
上位チャット:いつもながら辛辣で草
上位チャット:イヌビスがんばれ……
「キサマ……企画としてだな……」
「はい、犬のイヌビスですわ」
「アシスタントだ!」
「あら、進行を邪魔するのがアシスタントの仕事ですか?」
「う、ぐ……」
上位チャット:リリアさまの正論! 効果はばつぐんだ!
上位チャット:イヌビス弱くて草
上位チャット:イヌビス様がんばって!
「全く仕方のない犬ですね。それでは、改めて。バーチャルラウンジを愛用してくださっているゲストをお呼びしましょう。この方ですわ」
「はーい」
大きなリボンを頭の後ろに下げた少女がやってくる。
上位チャット:来たああ!
上位チャット:コラボやったー!
「こんにちは、人類。そして迷い子の皆さん。彩羽根トーカです!」
上位チャット:こんにちは!
上位チャット:こんにちは!
上位チャット:ずっ推しです
上位チャット:ありがとう、ありがとう
「トーカさん、今日はお話を受けてくださってありがとうございます」
「いえいえ! やっぱりね、全人類バーチャルに来てもらうのが私の理想ですから! その手段となるバーチャルラウンジのPRのためなら、いくらでも力を貸しちゃいますよ!」
「心強いお言葉ですわね。頼りにしていますわ」
上位チャット:てぇてぇ
上位チャット:トーカちゃんの初コラボ相手なんだよなあ……
上位チャット:実家のような安心感
上位チャット:バーチャルラウンジは無料!
「それでは今回の企画に移りましょう」
「タイトルはー?」
「「こんなVtuberがいてたまるか大作戦!」」
パチパチパチ、と拍手の効果音が鳴る。
上位チャット:かわいいが?
上位チャット:そろって言うのかわいい
上位チャット:息ぴったりじゃん
上位チャット:大作戦!
「いやー、面白そうですね! どんな内容でしょうか?」
「それではイヌビス、アシスタントの仕事を」
「フッ、いいだろう」
上位チャット:ここでイキれるのはメンタル強いわ
上位チャット:イヌくん立ち直るの早いね
上位チャット:まあトーカの前だからな……
「バーチャルYouTuberも今や星の数ほどいる。特に我がバーチャルラウンジのキャラクター作成機能を使った3Dアバターは多い」
「カスタマイズが強力ですし、パーツの追加アップデートも多いですからね! 特に絵柄違いが用意されてるのが強いです!」
「フッ、そうだろう。ハッハッハ!」
上位チャット:うれしそうw
上位チャット:チョロいな
上位チャット:尻尾あったらブンブン振ってそう
「早く進めていただけませんか?」
「フン、せっかちなやつめ。まあいいだろう。二人にはこれからこの機能を使って、『架空のVtuber』を作ってもらう。外見から名前、設定までな」
「なるほど?」
「そして完成した架空Vtuberをもとに、オレとスタッフが総出で一致しそうなVtuberを探し出す。制限時間は2時間。オレがこれはと思った1名のVtuberを紹介し、見事それっぽかったらオレの勝ち。見つからなかった、あるいはこじつけがひどい、という結果であればトーカとリリアの勝ちだ」
(画面暗転、テロップ:というのはスタッフの仕掛け!)
上位チャット:キター!
上位チャット:!?
上位チャット:そういえばドッキリ企画だった
画面が切り替わり、イヌビスだけが中央に浮かぶ。
「フハハハ、というわけで、今日の真の企画はドッキリだ。仕掛けは単純、二人の作るVtuberを2時間以内にでっち上げる!」
上位チャット:え?
上位チャット:どういうこと
上位チャット:なるほど二人を騙すのか
「まあ真の戦いはガブガブイリアルのスタッフたちの技術力によるものになるだろう。フッ、勝ちは確信しているがな」
上位チャット:手間かかりそう
上位チャット:2時間でやるのか……すごいな
上位チャット:ガブガブならやれそう
「制限時間内にTwitterアカウント、YouTubeチャンネルを作り、動画を一本投稿し、その動画の最後でネタバラシだ。いかにバレない工作ができるか、期待して待つがいい」
上位チャット:なるほどね
上位チャット:それ2時間の作業量じゃないですよ!
上位チャット:気合いの入った企画だなドッキリなのが惜しい
「さて――」
イヌビスはトーンを少し抑え、しかし情熱的に語り続ける。
「でっちあげるとはいえ、動画を撮る以上はVtuberの魂が必要だ。それをどうするか。例えこの企画のための一時の存在だとしても、適当な人間に任せるわけにはいかない」
上位チャット:確かに
上位チャット:実質トーカちゃんとリリア様とコラボするわけだしなあ
「そこでだ。昨今はVtuberのオーディションを行う企業も増えてきただろう。今回はオーディションを行っているとある企業にコンタクトをとり、最終選考で惜しくも落ちてしまった、という者どもにウチの企画を紹介してもらった。一回だけVtuberをやってみませんか、とな。そして声を上げてくれたのが、この男だ」
「ど、どうもー」
顔に「?」の文字が貼り付けられたデッサン人形が、ぎこちなくやってくる。
「えー、オーディション落選男です」
上位チャット:草
上位チャット:これは期待できるwwwwww
上位チャット:落選男君!
上位チャット:このセンスで落選するのか……
「ハッハッハ、まあ気にするな。今やオーディションの倍率は高い……それに魂とは一期一会、キサマが落ちたことが正解かどうかは誰にもわからんのだからな」
「あ、はい」
上位チャット:イヌくんいいやつ
上位チャット:しかしやっていることはドッキリ企画
「企画の意図はわかったな?」
「大丈夫です」
「よし。それでは、オレはこれから二人と収録をしてくる。キサマはそこでモニタリングしながら待っているといい」
「はい」
(画面暗転、テロップ:ということで二人を騙していきます)
画面切り替わり、イヌビスが説明を一段落させた場面。ワイプ画面にデッサン人形が映る。
上位チャット:シュール
上位チャット:いや表情のないキャラをワイプされましても
上位チャット:こういう企画かー
「あら、そんな勝負でよろしいのですか? ここにいるのはVtuberのオタクですよ?」
「ドーモ、オタクデス」
「フ、まあこれはつまり、トーカの情報収集能力を試す企画でもある。増加しているVtuberを本当に全部追えているのか? そのパーソナルを把握しているのか?」
「ほほう、なるほど。私への挑戦状ですね?」
トーカは胸を張る。
上位チャット:なるほど
上位チャット:あー
上位チャット:これはトーカちゃん混乱しそうだな
「いいでしょう、受けて立ちます! ちょっといそうで実はいない、そんなギリギリの線を攻めてスタッフさんたちをキリキリ舞いにさせてあげますよ!」
「頼もしいですわね。それで、勝負がついたらどうなるのですか?」
「負けた側には罰ゲームを用意している。オレが負けた場合は、最近発売された激辛のカップ焼きそばを完食してやろう」
「えっ」
トーカが固まる。
「え……いいんですか? 死にますよ?」
「は? いや、市販されているものだぞ。死にはしないだろう」
「お餅も市販されていますよね?」
「……まさか、あのレベルだと?」
トーカは頷き、イヌビスはゴクリと喉を鳴らす。
上位チャット:草
上位チャット:イヌ?
上位チャット:イヌの葬式会場はここですか?
上位チャット:いや死なんやろ
上位チャット:あのカップ焼きそばか……
上位チャット:他のVが実況やってるの見たけど絶対食べたくないぞあれ
「……い、いや! 勝てばいいだけだからな。フッ、問題ない。それよりもキサマらの心配をするといい」
「わたくしたちへの罰ゲームはなんですか?」
「VRホラーゲーム実況だ。なおその場にはトーカも同席するように」
「な!?」
「ええ!?」
トーカとリリアが慌てだす。
上位チャット:おっ
上位チャット:よしイヌがんばれ!
上位チャット:イヌビス応援してます!
上位チャット:勝ったな!!
「いやっ、ホラーゲームなんてそんな、わたくし平気なので1ミリも罰ゲームになりませんよ!?」
「それバーチャルでやるでいいんですよね!? 今日みたいに!」
「オフコラボでなければ罰ゲームにならないだろう」
「んんんん!」
トーカとリリアは顔を見合わせて、頷く。
「絶対勝ちましょう、リリアちゃん」
「ええ。わたくしは平気ですが、トーカさんを巻き込むわけにはまいりません」
上位チャット:草
上位チャット:わたくしは平気(平気じゃない)
上位チャット:リリア様必死で草
上位チャット:トーカちゃんオフ苦手だもんな
上位チャット:待ってトーカちゃんとリリアちゃんは会えるの!?
上位チャット:さすが四天王は格が違った
「フッ、ではさっそく始めよう。バーチャルラウンジの機能を使って3Dアバターを作り、用意した設定表を埋めてくれ。邪魔しないよう、オレは別室で待機していよう」
(テロップ:モニタールームへ移動)
画面が切り替わり、イヌビスとデッサン人形がトーカとリリアを見守る構図に。
「どうだ?」
「あ、はい……緊張しますね。やっぱり。Vtuberといえばこの人、なので」
「ほう。ちなみに誰のファンとかあるか?」
上位チャット:おっ
上位チャット:気になる
「あっ、その……リリア様ですね。やっぱり、癒やされるというか。すごく推しです。もうこの、生の収録を見れただけで昇天しそうっていうか」
「そうか。トーカはどうだ?」
「もちろん尊敬してます。世界初のVtuberですから」
「そうだろうとも、分かっているではないか」
イヌビスは腕(包帯)を組んで頷く。
上位チャット:迷い子だったか
上位チャット:俺たちじゃん
上位チャット:名誉俺たち
上位チャット:イヌはなんなの?
「その分二人を騙すのには罪悪感が……」
「気にするな。企画だからな、二人ともその辺はわきまえている。それより、始まるようだぞ」
上位チャット:わきまえてい……ますかねえ?
上位チャット:いやあ……
上位チャット:イヌ、許されません(予言)
トーカとリリアの方の音声が入り始める。
『何系のVtuberにしましょうか。リリアちゃんは希望ありますか?』
『何を選んでも被りそうですわね。本当にたくさん増えましたから』
『じゃあちょっとランダム回してみましょうか』
トーカが手元を操作し、二人の間に表示しているウインドウ内で3Dアバターが姿を変える。男だったり女だったり、大きかったり小さかったり……。
『あ、でも女性がいいですわね』
「え゛っ」
リリアの言葉に、デッサン人形が固まる。
上位チャット:草
上位チャット:すごい声出たwwwww
上位チャット:おっとぉ?
『あまり男性アバターのことを考えても楽しくありませんし』
『Vtuberの女性アバター比率高いですけど、そこはあえて突っ込んでいきましょうか。男性アバターとか逃げですよ逃げ!』
(テロップ:まさかのバ美肉路線決定)
「……そういえば性別を指定していなかったな……いけるか?」
「や……まあ……せっかく拾っていただいた機会ですし……が、頑張ります」
上位チャット:やったぜ!
上位チャット:たすかる
上位チャット:えぇ……?
上位チャット:ありがとうございます!!!
『女性、女性ですと……おばあさまなんかはいらっしゃいませんわね?』
「え゛っ」
(テロップ:まさかの婆美肉!?)
上位チャット:お婆ちゃんwwww
上位チャット:いやそれはちょっと
上位チャット:ありがとうございません
『え? あ……あー、そうですね。実は1000歳! みたいな人はいますけど、外見からお婆ちゃんというのは、なかなか。それならほぼ勝ち確ですが、それでいきます?』
『いえ、それは面白くありませんわね。いわばこれはわたくしたちの作る作品でもあります。いそうでいない、いたら面白いのにな、というVtuberを目指しませんと』
『人気の出そうな、ってことですね。……お婆ちゃんもアリかなと思いますけど!?』
『なぜ……?』
上位チャット:なぜなんだ
上位チャット:いや渋い系の婆ならワンチャン
上位チャット:ルシールみたいなら
『アリかなと思いますけど……勝ち確はね、確かに見ごたえがなくなりますから。ここは視聴者の皆さんのためにも、イヌビスさんに1ミリでも希望を残すために、美少女アバターでいきましょうか』
トーカは性別を女性に固定してランダム生成を押す。
『美少女でもロリ系とかお姉さん系とかってありますけど』
『ロリは……』
「えっ、ロリはキツ」
上位チャット:どうして
上位チャット:ロリはなぁ
上位チャット:ロリでお願いします!
『ロリはちょっと……わたくしがそういうのを作ったということになるのは』
『じゃあお姉さん系かな?』
ぽん、とランダム生成を押して次に出てきたのは、ツインテールの先っぽがドリルのように渦巻いた髪型の少女だった。
『おっ。お姉さん……というか、お嬢様』
『またベタですわね……ん?』
リリアが顎に手をやって首をひねる。
『お、どうしたんですかリリアちゃん』
『……わたくし、ひらめきましたわ。お嬢様キャラでいきましょう』
『おっと!? いいんですか? リリアちゃんと要素がかぶっているような?』
『まさにそれが狙いですわ』
リリアはニコリと笑う。
『わたくしのニセモノ……というか、そっくりさん? をやっているVtuberという設定はいかがでしょう?』
「ええ!?」
『お、いいですね!』
「いいのォ!?」
上位チャット:悲鳴wwww
上位チャット:草
上位チャット:これ逆にドッキリ仕掛けられているのでは?www
上位チャット:仕掛け側の困惑するドッキリ企画www
『なんだかんだ、私たちはデビューが早いですし、露出も多いですからね。リリアちゃんっぽいVtuber、というのは結構、うん、心当たりありますよ! がっつりニセモノ感のある人はいませんけど』
『いっそわたくしの2Pキャラクターを勝手に自称しているというのはいかがでしょう?』
『面白そうですね!』
「え、えぇ……?」
上位チャット:wwwwww
上位チャット:これはひどいwwwww
上位チャット:落選男さん……
上位チャット:2Pキャラを錬成してしまうのか……
上位チャット:リエルちゃん……
『リエルという妹もいましたが、アレは天界に帰ってしまいましたからね』
『そうですね……うん』
『わたくしのファミリーを自称するVtuber、いえむしろ自分こそ本物だと名乗るというのは? 張り合いがありそうですわね』
『なるほど……強くなってきましたね!』
上位チャット:リエルって誰?
上位チャット:リリアちゃんの前にガブガブにいた子
上位チャット:ニコニコに動画上がってるから見とけ
上位チャット:悪い子じゃなかったんだけど時期がね
『うん。それじゃあ気が強い感じで……せっかくだからドリル巻きを活かして……』
『わたくしの髪は一本のみつ編みでしょう? このドリルも二本じゃなくて一本になりませんか?』
『位置がずらせるので重ねてみましょうか。で、太くして……おっ、二重螺旋ドリル!』
上位チャット:これはwwww
上位チャット:クロワッサンかな?
上位チャット:天を貫けそう
上位チャット:どんどん強くなってくwwww
『わたくしは茶髪ですから、もうゴテゴテの金髪にしましょうか』
『肌も怖いぐらい白くしちゃいますか。色違いキャラ感。で顔つきは、リリアちゃんは垂れ目がちなのでこう、ドギツく吊り目に!』
『瞳はさっき見かけた、極まってる感じのがいいですわね』
『えーと、あ、これ? うわっ、こわ! キてる!』
ひきつった猫目で睨みつけてくる3Dアバター。
上位チャット:怖いwwww
上位チャット:これになるのか(困惑)
上位チャット:これは草やってますわ
『体型は……背は同じぐらいにしましょうか。胸は、控えめに?』
『そうですね……衣装で盛っているというのは?』
『それだ! パッドにしましょう。これねー、揺れのオプションでパッドが選べるんですよ。スタッフさんの力作モーション!』
上位チャット:パwwwwwッwwwwwドwwwww
上位チャット:虚乳は草
上位チャット:パッドとブラと生でモーション違うんだよな
上位チャット:変態かな?
上位チャット:どうして人は胸の揺れにこだわってしまうのか
『あー、いいですね! 外見はもうだいたいできたのでは? さすが、早い! バーチャルラウンジ!』
上位チャット:さすがバーチャルラウンジ!(ダイマ)
上位チャット:なんと無料!
上位チャット:これだけやれて作ったアバター自由に使えて、しかもパーツのアプデが頻繁にあるって頭おかしい
上位チャット:有料パーツを買ってお布施していけ
『他に設定表を埋めろとのことでしたね』
『えーと、名前、性格……』
『名前……ああ、そうですわ!』
ぽん、とリリアは手を打ち合わせる。
上位チャット:はいかわ
上位チャット:お姉さんがみせる幼い仕草っていいよね
『いいことをひらめきました。あの、わたくしはほぼ毎朝雑談配信をしていますよね?』
『朝の目覚めに最適な配信です!』
『あれでいろいろ話すのですけど』
リリアはむくれた顔をする。
『たまに庶民的なものが好きだという話をすると、貧乏リリア、というひどい呼ばれ方をするのですわ』
上位チャット:はい
上位チャット:貧乏リリア好き
上位チャット:かわいそう
上位チャット:誰だよそんなこというやつ(棒)
『あー、ありますね! 意外って感じがありますもん、やっぱり。チンして炊けるご飯に感動したとか』
『あれはスタッフの昼食を見た、というだけの話ですのに。わたくしは一口も食べていませんからね!』
「あったなー……」
上位チャット:あったなwwwww
上位チャット:落選男もようみとる
上位チャット:この落選男けっこう見てるぞwww
『とにかく、そのような不名誉な呼ばれ方はわたくしのイメージに関わるのです。ですから、この機に押し付けてしまおうかと』
『なるほど! この実在しないVtuberに貧乏リリアちゃんの名前を譲る!』
「え……僕がリリアちゃんに……?」
上位チャット:お前がリリアちゃんになることだ(困惑)
上位チャット:貧乏リリアちゃんを返して!
上位チャット:そんな……貧乏リリアちゃんが人格を得てしまうのか……
『そうなると性格とかもだいたい埋まってきますね。貧乏……貧乏だけど無理してリリアちゃんのマネをしてる、お金持ち装いキャラ? ニセお嬢様って感じですね!』
『いいですわね。ニセモノっぽくて』
『特徴は貧乏、性格はニセお嬢様……えーと、好きな物はどうしましょうか』
『好きな物……好物? 食べ物でいいんでしょうか? そうですね、それでは……お酒にしましょうか』
「え゛っ」
「どうした」
「いや僕下戸で……」
上位チャット:草
上位チャット:おっと?
『おっ、酒飲みキャラ』
『わたくしは飲みませんけどね』
『あ、なら思いっきり逆に振って、安くて強い酒が好きなことにしましょう!』
『いいですわね。お酒を飲んでくだを巻きながら雑談配信してるんでしょうね』
「えぇ……む、無理……」
上位チャット:飲めない酒豪キャラwwww
上位チャット:おかしい。これはトーカとリリアをいじる動画ではなかったのかw
上位チャット:仕掛け側にいろいろ跳ね返って来てて草
『活動内容は酒飲み雑談、と。えーと、次は得意なゲーム。配信者といえばゲーム実況は欠かせませんからね!』
『将棋で』
「はぁ!?」
上位チャット:落選男!?
上位チャット:渋いwwwww
『お、いいですね』
『でしょう。あえてのアナログゲーム。将棋をやっている方なんて見かけませんし……』
『いや20人ぐらいいますよ』
『そんなに!?』
「そんなに!?」
上位チャット:そんなにいるんだ
上位チャット:いるぞ将棋系Vtuber
上位チャット:いたなあ。なかなか配信難しいみたいだけど……
「ちなみにキサマはどうなんだ、将棋」
「さっぱりです……」
上位チャット:【悲報】貧乏リリア、できない将棋をやらされる可能性
上位チャット:落選男くん元気出して
『将棋系、と名乗らないで将棋している人ももしかしたらいるかも? なので、いい塩梅かなと。囲碁にしちゃうとかなり少なくなるので』
『Vtuber界、深いですわね……では得意なゲームは将棋で。次は何ですか?』
『趣味ですね』
『わたくしは映画鑑賞が趣味と言えますが……その反対……』
『あ、ホラー映画が趣味とか?』
「ホラーはどうだ?」
「普通にダメです」
上位チャット:落選男……
上位チャット:おそろだね!
上位チャット:ホラー映画100本ノック配信待ってます
『なるほど。少しひねりましょうか……オカルト趣味、というのはいかがでしょう?』
『怖いのが好き……スリルを感じること全般が好きとか?』
『なるほど、ギャンブルとかですわね?』
「酒とギャンブルとかどんどんクズになってません……?」
「……ま、まあ、ハンドリング次第だろう」
上位チャット:人間のクズのV化
上位チャット:まだかわいい方よ
上位チャット:ファンなのにクズをやらされる……
『最後は夢、ですね』
『それはもう、わたくしのニセモノなのですから、わたくしになりかわる……自分こそが本当のリリアだと視聴者に認めさせることでは?』
『あっはっは、なるほど! いやー、いいキャラしてますねぇ! どうします、リリアちゃん。こんなVtuberが実際にいたら?』
『それはもう嫌ですよ。いたら困りますわ』
上位チャット:いたら困るwwwwwwwww
上位チャット:困るんだよなあ
上位チャット:これから存在することになるんですよね……
「推しに嫌がられる存在になるのか……」
頭を抱え込むデッサン人形。
上位チャット:かわいそう
上位チャット:元気出して落選男
上位チャット:どうして、どうしてこんなことに
「……まあ、その、なんだ。……やめるか?」
「……いえ、やります」
デッサン人形は顔を上げる。
「やると決めたことなんで……やります」
上位チャット:いいぞ
上位チャット:がんばれ
上位チャット:お前が酒クズだ!
上位チャット:酒!ギャンブル!将棋!河原に住んでる人かな?
上位チャット:これどうなるんだ……?
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