【ゲームコラボ】先輩をボコす【ヴァーチャロボット】
英文のエラーメッセージウィンドウをたくさん張り付けた背景に、黄色髪の褐色学ランギャルが一人。
「ようお前ら生きてっか? 構文エラーは叩いて直す!
コメント:直らんが
コメント:直らん定期
コメント:トーカから
コメント:コラボと聞いて
コメント:ギャル好き
「へへっ。っつーわけでな、今日はゲーム動画だぜ。んでマルチプレイのゲームだから、ゲストな! 呼んだワケ!」
コメント:ゲスト珍しい
コメント:スミちゃんはお休みか
コメント:誰が来るんだろ?
「さっそく呼ぶぜ! まず一人目!」
「ズドラーストヴィチェ」
もこもこのダッフルコートを着た銀髪の小さな少女が手をあげる。
「北方少女モチです」
コメント:モチちゃん!
コメント:Здравствуйте!
コメント:Выходи за меня замуж!
コメント:モチーチカかわいい
「モチ先輩、チッス!」
「ちっす」
二人はバーチャルなハイタッチを交わす。
「今日は、ゲーム。負けない」
「期待してるぜ。んじゃ次のゲスト!」
「はーい」
大きなリボンを頭の後ろに下げた少女が手を振る。
コメント:来たぞ!
コメント:うおおおおお!
「こんにちは、人類。彩羽根トーカです!」
「トーカ先輩、よろしゃッス!」
「オス!」
コメント:こんにちは!
コメント:挨拶かわいい
コメント:気合いの入った押忍
「いやー、このゲームマルチプレイ用だから、どうしよっかなって考えてて。ちょうど誘ってもらえて……――」
「先輩先輩、もう一人紹介してからなんで」
「あっ、ご、ごめん!」
コメント:草
コメント:ぽんこついいぞ
コメント:楽しみにしすぎだろw
「んんっ。はい、というわけで続いてのゲストは~?」
「フゥアーハッハッハ!」
高笑いと共に、マント付きの大正風詰襟学生服を着た、髪に赤いメッシュを入れた男性アバターが痛々しいポーズをとる。
「おはよう、諸君! バーチャル帝都所属の、
コメント:オウマくん!
コメント:オウマ様!
コメント:帝都組だああああ!
「ん」
オウマの名乗りに対し、ノトは小さく頷く。
コメント:草
コメント:塩対応で草
コメント:あれぇ?
「……いや、ちょっと待て。さっきの二人と明らかに対応が違うんだが?」
「ア? そりゃそーだろ? モチ先輩と、トーカ先輩は、先輩じゃん?」
モチとトーカが、腕を組んで頷く。
コメント:かわいい
コメント:スクショした
「でオウマは後輩じゃん」
「いやいやいや」
「16年組だろ? アタシはギリ15年組だから」
「いやデビュード年末だしほぼ16年だよな?」
コメント:確かにそうだな
コメント:あれ、ノトちゃん15年組だっけ?
コメント:デビュー大晦日だからね
「どっちにしたって半年以上違うだろ、敬えよ~?」
「いやッ……ま、まあ? いいだろう。チャンネル登録者数は抜いてしまったが、重ねた年数だけは変わらないからな。ここは先輩を立ててやるか」
「あァ? 4人で1つのチャンネルだろ、割って考えろよ」
「ハァーン? 4分の1してもまだ余裕がありそうだなぁ~?」
「ヤンのかコラ」
「やッてやる」
ノトとオウマは言いあいながら近づき、顔を近づけて、至近距離に――
「……っ」
ふいっ、とオウマが先に顔をそらした。1カメ2カメ3カメとしつこくループされる。
「弱っ」
「うぐ……!」
コメント:草
コメント:オウマ弱くて草
コメント:編集で追い打ちをかけていくぅ!
コメント:ガチ恋距離には耐えられなかったか
「はいはいプロレスはそこまでで! 戦いはこの後ですから! ね、ノトちゃん!」
「おう! んじゃさっそく、今日プレイするゲームを紹介するぜ!」
バッ、と掌を突きだすポーズをノトがとり、それを全員がマネする。
「バーチャルラウンジ対応、最大四人対戦、搭乗型ロボットアクションゲーム!」
「「「「ヴァーチャロボット!」」」」
どかん、と四人の背後で爆発が起き、タイトルロゴが合成される。
コメント:うおおおおおお!
コメント:かっこいい
コメント:やば
コメント:鳥肌
コメント:なんで爆発した?
「説明しようッ! ヴァーチャロボットとは!」
「巨大ロボに乗って2on2のチーム戦で戦うゲームだぜ!」
「使用するロボットはパーツを選んでカスタマイズできますが、さらにそのうえ!」
「モデル。自作できる」
コメント:チャロンのようなカスタムロボのような
コメント:めっちゃ出来のいいスペースだよな
コメント:やったけど楽しかった
「いやー、巨大ロボに乗って戦うとか、夢ですよね、人類? これがね、無料で遊べちゃうのがバーチャルラウンジなんですね」
「ユーザーの作ったゲームスペースの中でも、コイツはかなり本格派だよな。すげえぜ」
「楽しい」
コメント:バーチャルラウンジは無料!
コメント:このスペースも基本無料だしな。すげえよ
コメント:作者です。遊んでくれてありがとうございます!
コメント:作者おるがwww
「それじゃあ……まずはロボ紹介から行きますか!?」
「よォーシ! それではまず自分からいかせてもらおう!」
オウマが手を上げ、メニューを操作する。すると漆黒の翼をもつ細身の人型ロボが背後に現れた。
「ブラック・シュヴァルツ、オウマカスタムだッ!」
コメント:出たwwww
コメント:頭の悪い名前シリーズだ!
コメント:黒い黒wwwwww
コメント:シュヴァルツって黒やん
コメント:草
「デフォルト機体のブラック・シュヴァルツをベースに武装の変更と、あとは飛行ができるようにした。コンセプトは高機動だ!」
「いいですね! メイン武器は?」
「飛ぶと重い武器が持てなくてな……ライトサブマシンガンの両手持ちだ」
「低火力のハエって感じだな!」
「うるっさいわ。当たらなければ勝ァつ!」
コメント:回避系とかいかにもオウマ好きそう
コメント:サブマシンガンは当て続けないといけないからエイム力が試されるぞ
コメント:飛行って相当装甲削らないといけないからめっちゃ上級者向けじゃん
「次、モチ」
モチがトテトテと前に出て、メニューを操作してロボを呼び出す。長い巨大な銃を背負った小さな人型ロボ。
「シャイニング・リヒト、モチカスタム」
コメント:頭の悪い名前2!!
コメント:輝く光www
コメント:大きな銃好きねモチちゃん
「メイン武装、レールガン。打ち抜く」
「このゲーム最大射程の武器ですもんね。要注意ですよ~!」
フンッ、とモチは気合を入れて見せた。
コメント:これマップ端から端まで届くのズル
コメント:チャージもあるし端から端なんて当たんねーよ普通
コメント:ロマン武器
コメント:でもモチちゃんだからなあ
コメント:こっちも軽量機か
「そいじゃこっからは自作勢だ! アタシから行かせてもらうぜ。召ッ喚!」
ノトはパチリと指を鳴らし、天に掲げる。すると轟音を立てて、巨大ないかにもヒーローっぽいバリバリのロボが現れた。先ほどの二人のロボの、およそ三倍のサイズ。
「超機能要件ロボ! ナオッ! ランッ! ガー!」
コメント:きたあああああ!
コメント:ナオランガーきた!
コメント:機能要件wwwww
コメント:バリってんねぇ!
「おおっ!」
オウマがその威容にやや膝をまげて驚く。
「こ、これは……デカいな!」
「自作で許容されている最大サイズですね! いやー、いつ見てもかっこいいですね、ナオランガー!」
「へへっ、トーカ先輩に手伝ってもらったおかげだぜ」
コメント:これトーカが手伝ったの?
コメント:作ってるところに凸して一緒に作業してた
コメント:バーチャルラウンジでモデリングしてたんだよな
コメント:しかしでけぇ
「ノト、武装は」
「おう。メイン武器は腕につけてるコン・パイルバンカーだな! 接近して打ち抜く!」
ぐっ、とノトはこぶしを握る。
コメント:パイルバンカー!
コメント:全弾もってけ!
コメント:打ち貫く!
コメント:こっちもこっちでロマン武器だよwwww
「あとは対戦してのお楽しみだぜ」
「楽しみです! それじゃ最後は私ですね! いくぞ、発進!」
トーカがメニューを操作すると――
「ん、んん!?」
「せ、先輩、これは?」
コメント:!?
コメント:え?
「メカ・トーカです!」
よく見ると細部がメカっぽくなっていて、服の部分がいくらか装甲に置き換わっている巨大なトーカが背後に立っていた。
コメント:草
コメント:トーカONトーカ?
コメント:ロボトーカちゃん
「ほらね、私、サイバーなので」
コメント:あー
コメント:そういやロボなんだっけ設定
コメント:アニメでやってたね
「だったら大きい自分に乗り込むのも一興かなと! メイン武器はロケットパンチです!」
「アツいぜ!」
「お、おぉ……な、なるほど」
コメント:なんか既視感ある
コメント:もしかして:ゴエモン・インパクト
コメント:それだ
コメント:ダダッダー!
「さて、今日は2on2ということですが! チーム分けはどうなりますか?」
「いやー、今日の企画ではさ、普段はやれないことをやろうと思って。なんで、先輩をボコしたいんだけど」
「おっ、なるほど? 受けて立ちますよ?」
トーカは不敵に笑う。
コメント:草
コメント:ノトちゃん好戦的
「そうなると、私とモチちゃんのチーム。そしてノトちゃんとオウマ君のチームですか?」
「異議あり」
すばやく。間髪入れずに、モチが手を上げた。
「モチ。トーカ、倒す」
「そんな蛮族みたいに」
コメント:蛮族wwwww
コメント:草
コメント:モチーチカ、あなた蛮族なの?
コメント:でもまあモチちゃんはそうよな
コメント:打倒トーカ!
「それじゃ、私とモチちゃんは別チームとして……どっちのチームに入っても先輩をボコせますね? じゃあくじ引きでいいですか? 当たりの方がモチちゃんチームで」
「よっしゃ」
「分かりました」
トーカは手元を操作し、くじ引きアイテムを呼び出す。ノトとオウマは同時に引き――
「よっしゃ!」
「はい、モチちゃんとノトちゃんチーム。そして私とオウマ君チームに決定!」
「まあ? なかなかバランスがいいんじゃない、か? トーカ氏、よろしくお願いします」
「こちらこそ! それではさっそく、バトルの準備をしましょう!」
アイキャッチが入って、場面転換する。
コメント:アイキャッチのナオランガーすき
(テロップ:観戦用カメラでお届けするぜ!)
「おっ、市街戦ですね」
廃ビルの立ち並ぶ市街地をメインにしたフィールドに、上空から4つの武骨なキューブが落ちていく。大小さまざまなキューブは、地面に激突し――
「うおッ!? なっ、なんだ!?」
大きなキューブ二つは、ずしんとその場に停止し、小さなキューブ二つは何回かバウンドしていく。四隅に表示された各アバターのワイプの中で、驚いて左右を見渡すオウマのウィンドウが強調表示された。
コメント:オウマくん?
コメント:不動のモチ
コメント:これプレイヤーの視界はロボ視点なのか
「あー軽い機体は弾んじゃうから、初期位置がランダムなんですよね」
「くそっ、シミュレーターではこんなのなかったぞ!?」
「あっ、いいセリフ。さすが!」
コメント:オウマwww
コメント:平等院くんはカスタムと動作テストしかしてなかったのかな?
コメント:実戦に投入されてピーピーわめくエリート兵感
などと言っている間にバウンドがおさまり、カウントダウンが0を告げる。キューブが弾け、中からそれぞれの機体が飛び出した。
「ナオランガー、ビルドアップ! さあトーカ先輩、叩いて直してやるぜ!」
「メカ・トーカ、発進! 受けて立つよ、ノトちゃん!」
「オウマカスタム、起動……ここはどこだ? 敵は?」
カメラがオウマの視点を映す。ロボットアニメ風のコックピットに座るオウマ。両側にレバーとスイッチ、前面にロボの視界を映すモニター。視界は狭い。
コメント:かっこいい
コメント:やりたい
コメント:全天球くださいよぉ!
コメント:全天は有利すぎるので……
コメント:よくあるタイプのコックピット
「くそっ、とにかく飛ぶ!」
「視界の確保は重要ですよねー。それじゃあ私も、ドローンを射出!」
トーカが手元のスイッチを押すと、メカ・トーカはガシッ、と自らの頭部を鷲掴みにし――
「いっけー!」
頭部が切り離され、上空に蹴り上げられる。
コメント:!?
コメント:は?
コメント:頭が!?
メカ・トーカの頭頂部からプロペラが生えると、上空で静止した。トーカの前面のモニターが、上空からの俯瞰視点に切り替わる。
コメント:貴重な頭部切り離し芸
コメント:ロボだけどさぁ
コメント:これモーションとか自作だろ気合入りすぎwwww
コメント:普通のやつはドローンが飛ぶだけです
「よーしこれで良く見える……って!?」
「ドローンの軌道で丸見えだぜ、トーカ先輩!」
ドドドド、とナオランガーの巨体が首なしメカ・トーカに向かって突進。ワイプされていた操縦席のノトが大写しになる。思い切り殴りつけるように押し出されるレバー。
「いっけぇ! コン・パイルバンカー!」
「ステップステップ!」
ナオランガーの腕に装着された杭打機を、メカ・トーカは横へのステップでかわす。
コメント:うおおお!
コメント:熱い
コメント:当たれば軽量級は一発だぞ
コメント:ナイスゥ!
「まだだぜ! わからんフィールド!」
「うわ!?」
ナオランガーを中心に発生した、よくわからんエラーメッセージの
コメント:草
コメント:なにこれ
コメント:電磁バリアのテクスチャ変更してるんだな
コメント:わからんフィールドwww
「畳みかけるぜ! ループブーメラン!」
「いたた!」
硬直するメカ・トーカに、輪っか型のブーメランが直撃する。画面上のHPゲージがゴリゴリと削れた。
コメント:ナイスコンボ
コメント:近中距離タイプだなナオランガー。あと一つの武装なんだろ
「よっしゃあ! いけるぜ!」
「甘いぞ、ノト氏!」
ガッツポーズをとるノトのカットインを、オウマのカットインが押しつぶす。ふらり、と横滑りするように飛んできたオウマカスタムが、サブマシンガンを構えた。
コメント:かっこいい
コメント:この観戦カメラの出来がいいんだ
「フハハハハ! ハチの巣にしてやる!」
ガガガガガ! と連射しつつ、オウマカスタムはナオランガーを中心にして旋回する。弾丸はすべて命中している――が。
「へっ。効かねえなあ!」
「くっ、重装甲タイプには相性が悪すぎるッ……!」
コメント:うま
コメント:ロックオンなしでこの動きはさすが
コメント:硬すぎるwww
ナオランガーのHPゲージの減りは遅い。それでもなおオウマは射撃を続けようと旋回を続け――画面の奥が光る。
「オウマ君!」
「うおッ!?」
フィールドの端から端までを貫く光のエフェクトが、オウマカスタムを貫き、そのHPゲージを4分の3も吹き飛ばした。
「命中」
レールガンを発射したモチカスタムが、観戦カメラのカットインに映る。
コメント:ヒュー!
コメント:さすモチ
コメント:かわいいつよいモチーチカ!
コメント:飛んでるやつにあの距離で当てるぅ!?
「クッ……バリアが間に合わなかった!」
「オウマ君はモチちゃんを追って! レールガンのクールタイム長いよ!」
「りょッ、了解した! 任せろッ!」
「捕まらない」
モチカスタムは足についたローラースケートのようなものを回転させて急激にダッシュする。
「フハハハ! ローラーは速いが飛行には劣るな! 軽装甲機体にはサブマシンガンも脅威だろう!」
「甘い」
「なっ!?」
オウマのコックピットのモニターから小さなロボの姿が溶けるように消える。
「消えた!?」
「光学迷彩だよ、オウマ君!」
ナオランガーから距離を取り、ブーメランとロケットパンチを撃ち合いながらトーカが言う。
コメント:モチちゃんスペシャル一つ目は光学迷彩か
コメント:モチちゃんの好きそうな組み合わせ
コメント:実際強い
「効果時間短いから、すぐ近くに出るはず! 探して!」
「わっ、わかった!」
了解したオウマは、機体をビル群の間に降下させ、モチを追って角を曲がり――
「うお!?」
爆発する。
「な、なんだ!?」
「浮遊機雷。でも、惜しい」
モチが言う。オウマカスタムのHPゲージは――変わりない。
コメント:あぶねぇ
コメント:なんで?
コメント:さっき出したバリア
コメント:スペシャル2が浮遊機雷とかテクニカルね
「バリアに助けられたか……上昇する!」
先ほどは間に合わなかったものの発生済みのバリアが機雷を受け止めて消滅し、守りを失ったオウマは高度をあげる。
「ああくそっ、当たらねぇ!」
「ブーメランさえ対処すれば、この距離でいけますね!」
一方、トーカに翻弄されダメージを蓄積していたノトは、距離を詰めようとしてもうまくいかずに声を荒げる。
コメント:見切ったか
コメント:ロケットパンチの方が射程あるしな
「こうなりゃ必殺技しかねえ!」
「えっ」
ガンッ、と音がしそうな勢いで、ノトがコックピット内のスイッチを叩きつけると、ナオランガーが赤く輝きながら両腕を天に向ける。空が、紅に沈む。
「必殺! メテオフォール・アターック!」
「不穏!」
空から突然、無数の赤く巨大な隕石が降ってくる。
コメント:メテオフォールwwww
コメント:メテオフォール開発やめろ!
コメント:唐突な全範囲攻撃ぃ!
「でもこれ発動中は動けないヤツだ! 膝ロケットォ!」
「いッて!」
メカ・トーカが膝を折ると、パカリと膝頭が開いてロケットランチャーが発射される。ナオランガーのHPゲージが大幅に減少。
コメント:ろけらん!
コメント:ロケットパンチにロケットランチャーとかどんだけ
コメント:かっこいい
コメント:これも独自モーション作ってくれてますね……ありがとうございます……
コメント:004かな?
しかし、隕石の動きは止まらない。
「オウマ君、避けてね!」
「これ移動難しいんだが!?」
メカ・トーカとオウマカスタムは隕石の間隙を縫って移動する。落下点の爆発をオウマは高度を上げて、トーカはドローンで確保した視界をもとにステップでかわす。
コメント:おおすごい
コメント:やるじゃん六条院
「は、ハッハッハ! 避けたぞ!」
隕石の嵐を乗り切り、オウマのドヤ顔がアップで表示される。と――
「オウマ君、モチちゃんいたよ、前のビルの裏!」
「アッハイ!」
トーカのカットインに押されて、オウマは素直に頷いて機体を回す。途端、モニターいっぱいに表示されるモチカスタムの背中。
「どぅわっ!?」
叫びながらも引いたトリガーで、オウマカスタムは急降下してキックを仕掛ける。
コメント:声www
コメント:サブ武装ブーストキック!
「う」
命中、硬直するモチカスタム。
「まだだっ!」
間髪入れずに再びブースターを吹かしながら急降下キック。モチカスタムがダメージを受けて硬直する。
「ハァッハッハ! ブーストキックループだ! 装甲の薄さがあだになったなモチ氏! 遠慮なく狩らせてもらう!」
ガッシャンガッシャン。急降下して激突し、反動で飛び上がって再びキック。モチカスタムに与えられた猶予は少なく、わずかな時間ではキックをよけられない。
コメント:モチちゃん逃げて!
コメント:バッタやめてください
コメント:勝ちに行くゲーマー魂
「ハッハッハ! こいつで終わりだッ!」
ドンッ
「何!?」
オウマカスタムが──墜ちる。HPゲージが空になり墜落する、その煙の向こう側でモチカスタムは拳銃を構えていた。
コメント:!?
コメント:あちゃー
コメント:知ってた
コメント:油断大敵
「そう、終わり」
「くッ……硬直の隙をついて少しずつ旋回してマグナムの射線を確保していただと!?」
「解説おつ」
コメント:乙w
コメント:サブ武装マグナム。遠近に火力高いねぇ!
「くっ、すまないトーカ氏……!」
「オウマ君!」
爆発、ワイプ画面が砂嵐になるオウマカスタム。
「よそ見してる場合じゃないぜ先輩!」
「ウワッ!」
背後から迫っていたパイルバンカーを紙一重でかわすメカ・トーカ。
コメント:あぶな!
コメント:上空からの視界じゃなければ当たってたな
コメント:スペシャル1枠使うのも納得
「チッ、当ててりゃ勝ったのに!」
「任せて」
ビル屋上に移動したモチカスタムがレールガンを構える。狙う先は――
「あっ、ドローンが!」
上空に浮いていたトーカの生首が光に貫かれる。
コメント:首が!
コメント:ひえ
コメント:グロですよ
破壊され、トーカの見るモニタは通常の視界に戻る。
「サンキューモチ先輩! 背中の目がなけりゃ!」
「なんの!」
再び背後から迫るパイルバンカーを、トーカは方向を決め打ちしてダッシュで回避する。脇目も振らず前進。
コメント:おおおおお
コメント:賭けに勝ったな
コメント:惜しい!
「切り札を切ります!」
トーカはコックピットのスイッチを、強く押し込む。
「メカ・トーカ、オーバーヒートモード!」
カメラがメカトーカの姿をアップに映す。ドローンが破壊されたことで通常通り表示されるようになった頭部の、髪が白くなり、瞳が赤くなる。全身の関節から噴き出す陽炎。
コメント:きちゃあああああ!
コメント:オタクの好きなヤツ!
コメント:オーバーヒート!
コメント:ハイパーモードのスペシャルか!
「げッ! やべェ!?」
「残念、こっちからですねっ!」
身構えるナオランガーを無視して、移動速度が上がったメカ・トーカは駆け、飛び跳ねる。ビル群の影を曲がり──モニターに捉える、モチカスタムの姿。
「機雷を飛び越えてぇ!」
「!?」
コメント:読んでた!
コメント:さすが
コメント:安易だったな
「膝ロケットランチャー!」
空中で折った膝からロケット弾が飛び出し、回避したモチカスタムを──かすめ、地面で爆発する。その爆風に巻き込まれ、モチカスタムのHPが尽きた。
「無念」
「ふふん、機雷の使い方は見てましたからね!」
ドンッ、と機体が爆発してモチのワイプ画面が砂嵐に。
コメント:モチちゃんナイスファイト
コメント:HPギリだったな
コメント:オウマの蹴りが足りなかったら生きてた
「さあ──タイマンですよ、ノトちゃん!」
「へっ、むしろ望むところだぜ!」
特殊効果が切れて元の配色に戻ったメカ・トーカと、走って追いついてきたナオランガーが対峙する。
「先輩をボコしてやらぁーっ!」
「世間の厳しさを教えてやるーっ!」
パイルバンカーとロケットパンチが交錯し──カメラが遠方から、機体の爆発を映す。
コメント:うおおおおお!
コメント:どっちだ!?
コメント:アツい
コメント:どうだ!?
爆炎から現れたのは──
「射程は正義!」
わりと安全な距離からロケットパンチを放っていたメカ・トーカだった。
コメント:はい
コメント:草
コメント:トーカちゃんさあ
コメント:まあ出が遅いからあれより近いと相打ちにもならないし
コメント:みんなお疲れ様
場面が切り替わり、四人が並ぶ。
「はい、というわけで勝ったのは私たち! トウカ、オウマチームでした!」
「負けたーッ!」
「惜しかった」
天をあおいで叫ぶノト、ぽつりとつぶやくモチ。
「フハハハ! 見たかオレ様の実力を!」
「はァー? オウマは最初に撃墜されてたろ? アタシたちを倒したのは全部トーカ先輩じゃね?」
「うっ、おっ、ま、まぁ……そ、そう、だな?」
コメント:草
コメント:オウマくん……
コメント:弱いな往生院?
「いやいや、オウマ君が削っていてくれたおかげでね、モチちゃんを仕留められましたので!」
「誇るべき」
「と、トーカ氏……モチ氏……いやっ、自分がふがいなかったのは事実。いちゲーマーとして、次、次の機会こそは、華麗なる撃墜シーンをお届けしようではないか!」
「おっ、期待してますよー?」
「へっ、何度でも返り討ちにしてやるぜ!」
コメント:いい話ダナー
コメント:オウマくんはやり込みそう
コメント:マリカもやり込んでたしね
コメント:熱い試合だった
コメント:これ無料なんだぜ?
コメント:無料はもったいなさすぎる
コメント:パーツの色変え権でお布施しとけ
コメント:ちょっとバーチャルラウンジ行ってくるわ
「それじゃ今回はこれまでだ! お前ら、体調には気をつけろよ! また見に来いよな!」
「ばいばーい!」
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