ルランナ・ワイデの場合

 臭い。窓から入ってくるそよ風に乗って、動物の生臭い匂いが私の鼻を突いた。左手で鼻を覆いながら、右手で机の上に置いてあったナプキンをつかみ、それを扇子代わりにして振る。でも臭いは途切れることなく入ってくる。


「あーもう」


 私は椅子から立ち上がって裏庭に出た。青々とした芝生の広がる小さな庭。その片隅にある低い植木の根元を見る。


「しぶといなあ」


 そいつの腹はまだ上下していた。でも、昨日、一昨日と体勢は変わっていない。動けていないみたいだ。確実に弱っているのは間違いない。


「あと数日の我慢かな」


 私は庭を見回した。こいつの悪臭を防げるものが欲しい。家の壁際には、割れた食器類や壊れた家具など一時的にごみを置いてあった。その中をあさってみたが、どれも役には立ちそうになかった。


 私は腕組みをして考えた。一番手っ取り早い方法は窓を閉めることだ。しかしそれは無理だった。裏庭側の窓をすべて閉めると、部屋に光が入らず真っ暗な状態になってしまうのだ。でも、それだけなら数日の間は我慢できるかもしれないが、無理な最大の理由は、今の季節が夏ということだ。ちょうど裏庭は風の通り道になっていて、窓を閉めれば部屋の中は地獄の暑さへと変わってしまう。その我慢はさすがにできなかった。


「こいつを何かで囲えればいいんだけど......」


 私は部屋に戻った。居間、寝室、物置を見たが、特に使えそうなものはなかった。


「お腹空いたな......」


 時間は昼時。私がちょうど昼ご飯を作ろうとしていた時に、あいつの臭いが入ってきたのだ。こんな臭いを嗅ぎながら、食事なんてできるわけがなかった。昼食は外で食べてこようか――そんな考えがふとよぎったけど、もうすでに食材は買い込んでしまっている。無駄にはしたくなかった。


 私は出かける支度を始めた。服を着替え、帽子をかぶり、手提げかばんを持つ。臭いをどうにかするべく、町へ使えるものを探しに行くことにした。


 玄関を一歩出ると、頭上からは目を細めるほどの眩しい直射日光が降り注ぐ。これを浴びただけで私は嫌気が差す。何もしていないのに、この中にいるだけで勝手に汗が噴き出てくるからだ。汗をかくことが好きだなんて言う人もいるけど、私にはまったく理解できない。たとえ楽しく体を動かし、汗をかいたとしても、あの肌を流れる水滴の感覚、乾いた後のべとべと、酸っぱいような臭いは我慢できない。それが自分であれ他人であれ、自然と顔をしかめてしまうほどだ。だから夏という季節は、私が一番嫌いな季節だった。


 玄関の鍵を閉めて、私は大通りへ出た。ここはいろいろな商店が並ぶ通りで、日常の買い物はすべてここで済ませている。昼時とあって、広い通りには大勢の人がいた。その喧騒が暑さをより高めているような気がした。あの中へは行きたくないと思い、私は店の軒下の日陰を歩いた。それでも暑さはほとんど変わらない。足を動かすたびに、体温が上昇するのを感じる。頬の周辺が熱気で火照ってくる。家を出てまだ数分だというのに、もう汗がにじみ出てくるのがわかった。私はかばんからハンカチを取り出し、首の汗を押さえた。本当なら、こんな文句のつけようのない晴れの日に出掛けるべきではないのだ。まったく、あいつはどれだけ私に迷惑をかけるのか......。


「あら、ワイデさん。お久しぶりね」


 呼ばれて視線を上げると、前から一人の女性が近寄ってきた。買い物かごをぶら下げた、小太りの中年女性――近所に住むヒエリさんだった。


「ヒエリさん、お元気でしたか」


「それはこっちのセリフよ。近頃ほとんど姿を見なかったから、病気でもしたのかと思ってたのよ」


「まさか。私はこうして元気ですから」


 暑さでそんな気分ではなかったが、私は無理やり笑顔を作った。


「本当? 無理してない?」


 笑顔が一瞬引きつりそうになった。


「え、どうしてですか?」


 ヒエリさんは言いにくそうに口を開いた。


「旦那さん......だって、まだ、一か月しかたってないでしょ? そう簡単に受け入れるなんて、難しいんじゃない?」


 ああ、そっちかと思い、私は笑顔を続ける。


「自分でも意外だったんですけど、主人のことはすぐに受け入れられたんですよ。もちろん今も寂しい気持ちは残っていますけど、それじゃいけないと思ったんです。もっと前向きに、明るく生きないと、天国の主人が心配すると思うんで......」


「ワイデさんは気丈なのね。少し安心したわ」


 いえ、と言って私はにこりと笑って見せた。気丈も何も、私は彼への愛を、とっくの昔に失っていた。だから、受け入れる必要もなかったのだ。


 私が彼と出会ったのは、今から九年前、二十一歳の時だった。親元から離れ、雑貨店で働いている時だった。当時私には恋人がいて、特に不満もなく順調だった。そこへ彼が客としてやってきた。そしていきなり交際を申し込まれたのだ。初対面だというのにそんなことを言うものだから、驚いた私は当然すぐに断った。でも彼は諦めず、その後毎日のように店へやってきては私に交際を迫った。それに対して私は恋人がいるからと丁重に断り続けた。後に聞いたことだが、彼は私に一目惚れしたのだという。


 いつからか、そんな私の気持ちが揺らぎ始めた。頻繁に店へ来る彼と会話をするうちに、彼の魅力に気づき始め、そしていつの間にか、店に彼が来るのを心待ちにしている自分を知った。恋人はとても優しく、気遣うように接してくれていた。それを不満とは思っていなかったけど、私にはどこか物足りなさがあった。それに対して、彼は我を立てる性格だった。私の言葉にも、気に入らなければ平気で言い返し、相手の気持ちなんて考えていないように感じた。下手をすれば相手に嫌われかねないものだけど、恋人とは正反対の、自分というものに正直で譲らない、少し子供っぽいところに私は魅力を感じた。


 恋人とはすぐに別れられた。抵抗されるんじゃないかと思ったが、相手は私に何も聞くことなく、すんなり去ってくれた。今思うと、もしかしたら私の心がもう自分に向いていないことをわかっていたのかもしれない。その理由を聞こうとしないところが彼らしいけど、今思えば少しくらい嫌がってくれてもよかったのにと思う。なんだかこっちもふられたような気がしてしまうのは女心というものだろうか。


 別れた翌日、私は彼の交際申し込みを受け入れた。いつも通り断られると思っていた彼は、最初意味がわからないという顔をしていたが、やっと呑み込めたのか、大声を上げて喜びを表現した。それを見て私も嬉しくなった。


 その後、私達は質素な結婚式を挙げ、晴れて夫婦となって今の町に住み始めた。彼は真面目に働いていたが、その給料だけでは生活が厳しく、私も再び働き始めた。共働きとなって、私達の生活は徐々にすれ違い始めた。


 それを感じたのか、ある日彼は一匹の子犬を連れてきた。耳がピンと立ち、長い尻尾をよく振る茶色の犬だった。私は一度も動物を飼った経験はなく、最初は戸惑ったけど、彼に世話の仕方を教えてもらって、子犬と触れ合えるようになった。その犬は彼の同僚の女性からもらったものだった。私が名前を付けようと言うと、彼はその女性の愛称をもらい、ミミと名付けた。子犬はオスだったけど、彼が付けた名前だから、私は特に何も言わなかった。


 ミミのおかげで私達の生活は少し明るくなった。ミミの些細な成長ぶりを報告し合ったり、一緒に散歩に連れていったりして、会話の量も最初の頃に戻りつつあった。でもそれも一時のことで、明るくなった生活は、次第にまたすれ違い始めた。そして、彼の行動が怪しくなってきたのも、その頃からだった。


 彼の帰宅時間は大体決まっていた。でも、時々大幅に遅くなる日があった。私は最初何も疑うことはなかった。彼から今仕事が順調で忙しいと聞かされていて、残業を強いられているのだと思った。現に彼は暑そうに上着を担ぎ、汗を滲ませて帰ってきた。休日も仕事に駆り出され、夜遅くに汗だくで帰ってくる。家には食べて寝るだけのために戻ってくるようなものだった。そうなるとミミの世話は自然と私が受け持つことになった。餌をあげ、フンを片づけ、散歩に連れていく。ミミは私に従順だったから、世話には苦労はなかった。


 彼の帰りが遅くなる日は次第に増えていった。時々だったのが、週の半分になって、一か月まるまるになり、遅くならない日のほうが珍しくなっていった。さすがに私も疑わしく感じ始めた。彼を問い詰めようとしたが、何かを察したのか、彼は私を避け始めた。話しかけても聞こえないふりをして、そそくさと出かけてしまう。そんなことを繰り返すばかりだった。それなのに、彼は必ず家には帰ってきた。そしてミミをなでて可愛がることだけは欠かさなかった。まるで私は無視されていた。


 ある日、私は仕事に行くと嘘を言って出かけた後、彼を尾行してみた。その日彼は仕事が休みだった。隠れて見張っていると、家から出てきた彼は仕事場とは違う方向へ歩き始めた。慎重に後をつけていくと、彼は普通の民家に入っていった。誰の家なのか私はわからなかった。隙間の開いていた窓からこっそり中をのぞいてみると、そこはちょうど居間のようで、こっちに背を向けた一人の女性が、何をするでもなく椅子にぽつんと座っていた。すると、部屋に彼が入ってきた。その途端、座っていた女性は跳ねるように立ち上がり、入ってきた彼に勢いよく抱きついた。その顔は待ち焦がれた恋人そのものに見えた。彼はそんな女性をしっかりと抱き締めていた。そして、耳元でこう呼んだ。ミミ、と。


 私はすべてを理解した。彼の心は随分前から他へ移っていたのだ。少なくとも犬のミミをもらってきた時には、私の一方通行の愛しか存在していなかったのだ。彼の目に、もう私は映っていない。


 そう知ると、腹立たしいのと同時に、今までの生活や自分自身が馬鹿らしく思えた。一体何のために彼と一緒にいたのか。かいがいしく家事をこなしても、そこに愛や会話はなく、残っていたのは裏切りという最悪なものだけ。私はそんなものはいらない。欲しているのは幸せだけ。でも、彼はもう与えてはくれない――そして、私は決めた。与えてくれないのなら、彼から、私が幸せになれるものをもらうまでだと。


 その後、私は何も気づいていないふりをしながら普段通りに過ごし続けた。彼の遅い帰りも変わらず続いていた。でもなぜか、彼は離婚という言葉は一度も出さなかった。私はそう切り出された時の覚悟もしていたのだが、出さないのならそれも好都合と考えていた。破たんした夫婦生活で、私が幸せになれるもの、それはただ一つ、お金だけだ。


 私は彼の毒殺を考えていた。もちろん財産が目的だ。ただの労働者にすぎない彼が莫大なお金を持っているわけはなかったけど、それでも私は強引に奪い取りたかった。夫婦なのだから、彼が寿命で死んだって私は財産を受け取れるけど、彼を見るたび愛人と抱き合う姿が脳裏に浮かび、正直私から離婚を言い出してやりたかった。そのくらい一緒にいることは私を苦しめていた。寿命まで待つことなんてできなかった。


 しかし、毒殺のための毒がなかなか見つからなかった。私は慎重に選んでいた。毒を手に入れるだけなら一日で終わるけど、私が探していたのは毒殺と悟られない毒だった。いろいろな書物を読みあさり、高熱や腹痛というよく見る症状を引き起こす毒があることを知ったが、そう身近にあるわけもなく、探しているだけであっという間に数年が過ぎるほどだった。しかし、毒探しで使われなかった私の運が、別のところで使われることとなった。


 その知らせは今から一か月前に知らされた。家にいた私のもとに、彼の同僚の男性が血相を変えて飛び込んできた。男性は慌てながらこう言った。あなたの旦那が木材の下敷きになって、さっき病院に運ばれた、と。私は呆然とした。もちろん動揺したからじゃない。そんな都合のいいことがあるのかと驚いたのだ。私は男性の慌てぶりから、彼が相当危険な状態なのだと感じた。そして、病院に着くと、彼はベッドの上ですでに死んでいた。現場にいた人に聞くと、彼は後頭部に倒れた木材を受け、ほぼ即死だったらしい。私は涙を流した。表では夫を亡くした悲嘆の涙として。裏では苦しみから解放された嬉し涙として。


 彼の葬儀では、近所の人や彼の同僚が私に優しい声を次々にかけてくれた。悲しみなんてこれっぽっちもなかったけど、私は悲しみに暮れる妻を披露し続けた。その中に、私の脳裏から離れない顔があった。私以上に悲しみ、涙を浮かべている女性、愛人のミミだった。私は最初、冷静に彼女を見ていた。しかし、私の視線に気づいた彼女は、そろそろと近づいてくると、ご主人は奥様のことをとても大事にしていたようですね、などと言い放った。明らかな皮肉だった。私の自制心があと少し足りなければ、すぐにもつかみかかっていたかもしれない。私の幸せを奪ったのはお前だと叫びたかった。でも、彼女の隣に立つ男性を見て、私は思いついた。


 葬儀から数日後、私は彼女の家にやってきた。彼女は私を見て驚いた様子だったが、すぐに中へ入れてくれた。お茶を出される前に私は早速切り出した。彼とあなたが密会していたことは随分前から知っていたと話すと、彼女は動揺を隠さなかった。どうやら私にはばれていないとずっと思っていたらしい。能天気もいいところだ。私は彼女に詰め寄った。あなたが私達夫婦の仲を壊し、そして幸せを奪ったのだと怒鳴ってやった。すると彼女は怯えた兎のように震えだし、謝った。そこへ私は畳みかけるように言った。このことをあなたの旦那に伝えますと。


 葬儀の時、彼女の肩を優しく抱いていたのは夫ではないかと思った。他の同僚に聞くと、それははっきりとした。彼女は既婚者だったのだ。


 私の言葉に、彼女は顔面蒼白になった。それだけはやめてほしいと言ってきた。でも私はそれを突っぱね、断固とした態度を見せた。彼女は泣きそうな顔で私にすがりついて懇願した。罠にかかったと見て、私は彼女と向き合った。それなら言うことを聞いてくれるかと問うと、彼女は必死にうなずいた。私の作戦通りだった。


 彼女から慰謝料をもらった私は、当分不自由のない生活を送れるようになった。彼やその愛人とのことは、すべてさっぱり忘れて暮らしたかったけど、まだ一つだけ目障りなものが残っていた。愛人の名が付けられた犬だ。何も知らずに名前を呼び、愛情を注いでいた頃の自分が愚かに思えた。私の心変わりなど知らずに、茶色の犬は私を見上げて尻尾をばたばたと振っていた。今となってはそんな仕草もうっとうしいだけだった。


 散歩に使っていたひもを首輪に付けると、裏庭に犬を連れていった。遊んでもらえると勘違いしてはしゃぐ体を押さえながら、ひもを太い植木の幹に縛り付けた。私が離れると、ひもを懸命に引っ張りながらついてこようとするが、芝生の地面を掘るだけでほとんど動くことはできない。これでいいと思った。


 世話をしなくなってだいぶ日がたった。餌もあげなければ水もあげていない。最初のうちは毎日のように寂しげな鳴き声を上げていたけど、それもいつの間にか聞こえなくなり、一日中地面に横たわるようになっていた。綺麗だった毛並みはばさばさに乱れて艶もなく、ところどころ毛が抜け落ちていた。それでも、私の姿を見ると、濁った両目は私を追った。無駄なのに、まだ何か期待しているのだろうか。でも、あばらの浮き出た体はもう限界だろう。数日もたてば一連のすべてが片付く。あともう少し――


「――ところで、今日は何のお買い物?」


 ヒエリさんは笑顔で聞いてきた。


「いえ、今日は買い物じゃないんです。ちょっと材料を探していて......」


「何に使う材料なの?」


 聞かれて私は咄嗟に考えた。


「あの、ちょっとした仕切りを作りたくて。そういうものって、買うと意外に高いですから」


 あいつのために、お金を使うつもりは私にはなかった。


「仕切りねえ......。つまり、板のようなものってこと?」


「はい。誰か譲ってくれそうな方、知りませんか」


 そう言うと、ヒエリさんは頬に手を当てて、辺りを見回し始めた。


「仕切りに使えそうなものって何かしらねえ......廃材なんかでもいいの?」


「はい。ある程度の大きささえあれば」


 うーんと考える仕草を見せたヒエリさんの目が足元で止まった。


「たとえば、こんな木箱とかは役に立つ?」


 示された足元に目を落とすと、そこには青々とした菜っ葉が詰め込まれた木箱が置いてあった。目の前の八百屋の品物だ。


「これを仕切りに、ですか」


 これをいくつも並べるとなると、狭い裏庭では結構な幅を取りそうだ。ちょっと難しい気がした。


「側面と底板を分解すれば、いい仕切りになると思ったんだけど、どう?」


 言われてなるほどと思った。縦向き、横向き、どちらにしても、いい仕切りになりそうだ。


「いい考えですね。それなら仕切りに最適かもしれません」


 私の反応に、ヒエリさんは満面の笑みを見せた。


「本当? それなら一つ心当たりがあるのよ。今から一緒に行く?」


「もちろん。......でも、ヒエリさんのご用事は」


「ただの買い物だから大丈夫よ。それに行くところもすぐ近所だから。さ、行きましょう」


 ヒエリさんは踵を返して歩き始めた。目的地は大通りの先にあるらしい。私はその後を追って歩く。


 汗を拭きながら歩いて行くと、ヒエリさんは大通りから左の路地に入っていった。その先には住宅街が広がっている。


「この先にね、私のいとこが住んでるのよ。家にいるといいんだけど」


 緩い下り坂の路地を何度も曲がって短い階段を上ったところに、そのいとこの家はあった。この辺りでは一般的な、レンガ造りのごく普通の家だ。


 ヒエリさんは扉をノックせず、いきなりドアノブをつかんだ。鍵はかかっておらず、扉を開けたヒエリさんは中へ向かって大声で呼ぶ。


「イア! いるう?」


 静寂の中に声が吸い込まれるようだった。


「......出かけてるのかしら」


 ヒエリさんが呟いた時、奥からゆっくりとした足取りで人影が現れた。


「はいはい、いますよお......」


 現れたのは中年で細身の女性だった。結い上げた髪は乱れ、胸元のボタンは外れ、長いスカートの裾はめくれている。女性は大きなあくびをしながら玄関にやってきた。多分寝ていたのだろう。


「お休みの最中に悪いわね」


「本当よ。昨日徹夜しちゃって寝てないのに......何の用?」


「いらない木箱、まだ捨ててない?」


「ええ。あるけど、何? 代わりに捨ててきてくれるの?」


「違うわよ。こちらのワイデさんに譲ってほしいの。彼女が私のいとこでイア」


 紹介された私は小さく会釈した。


「お邪魔をして申し訳ありません。一つでも譲ってもらえるとありがたいんですけど」


「一つなんて言わずに、好きなだけ持っていってくれたほうが、こっちとしてもありがたいんだけど......」


 すると、イアさんはまじまじと私の顔を見つめ出した。


「......何か」


「どっかで見た気がするんだけど......どこだったかしら」


 そう言われて私もイアさんの顔を見つめ返した。私もなんとなく彼女の顔を以前に見ているような気がした。近くもなく、そう遠くもない昔――


「もしかして、犬を飼ってない?」


 言われて記憶がぱっとよみがえった。


「あっ、散歩の時の」


「やっぱり! あの時の人!」


 イアさんは大仰な身振りで驚きと笑みを見せた。私がまだあいつの世話をしていた頃、日課となっていた朝の散歩の時に、よくイアさんとすれ違ったのだ。初めのうちはただ見かけるだけだったけど、何度もすれ違ううちに、どちらからともなくあいさつするようになっていた。


「私、卸売商だから、朝からあちこち動き回ってるのよ。でも、最近まったく見ないけど、あのワンちゃんどうかしたの? 元気?」


「......どうも体の調子が悪いみたいで、ずっと散歩を控えているんです。もう歳なのかもしれません」


 嘘を言ったつもりはない。あいつが来てから結構な年月がたっている。犬の寿命はよく知らないけど、多分高齢なんだろうと思い言った。イアさんは心配の言葉をかけてくれて、また可愛い姿を見たいわと少し残念そうな表情を見せた。


 その後、私は家の奥にある物置部屋に案内され、そこに山積みされた木箱から一つをもらった。足りなければまた来てねと言うイアさんに、私は何度もお礼を言ってその場を後にした。


 大通りに戻り、ヒエリさんにもお礼を言って、私は自宅へ帰った。部屋の椅子に腰かけると、暑さで火照った全身から汗が一気に吹き出てきた。かばんのハンカチを取り出して顔を流れる汗を拭く。すぐにでも水をかぶりたかったが、その時、裏庭からそよそよと涼しい風が流れてきた。目を閉じてその風を浴びたが、その心地いい中にあいつの悪臭が混ざってくる。思わず私はため息を吐いた。


「......面倒なことは、さっさと終わらせないとね」


 暑さの疲れで重くなった腰を上げて、私は傍らの木箱を抱えた。高価なものでも入っていたのか、この木箱の木板はよく見るものよりも分厚く、なかなかの重さがある。それを裏庭へ運び、とりあえず横たわる犬の横に置く。


 次は分解だ。木箱の四隅を見ると、錆びた釘が打たれていた。これを抜けばばらばらになるだろう。しかし、この家に釘抜きなんてものはあっただろうか。死んだ彼が使っていた記憶はない。私も生まれてこの方、大工の真似事をしたことがなければ、そういう道具を握ったことすらない。望みはほとんどなかったが、一応部屋の至る場所を探してみた。が、予想通り釘抜きは出てこなかった。


 空からの焦げるような日差しを浴びながら、私は木箱を観察した。錆びた釘はきれいに木板に打ち込まれていて、先端が飛び出ている個所はない。つまり、引き抜くには打ち込んだ頭の部分から引っ張るしかなさそうだった。でも、その頭の部分も、木板にぴったりと密着していて隙間がない。中には叩きすぎたのか、木板に埋もれている釘もある。こんなものも、果たして引き抜けるのだろうか。知識のない私には、何の方法も思い浮かばなかった。


 立ち上がって木箱を見下ろしてみる。釘を抜く方法がないのなら、いっそ力任せに壊してみようかと考えた。ただ、そうすると心配がある。私の力で分解できるのか。できたとしても、木板が割れないで済むだろうか。この木箱は長い間放置されていたようで、いくつか小さな穴が開き、見た目にも古いことがわかる。縁を触ると木くずがぱらぱらと落ちるほどだ。力を込めた瞬間に、ばきっと折れてしまう光景が浮かぶ。


「......まあ、いいか」


 万が一折れてしまったら、ひもや何かでぐるぐる巻いて固定してしまえばいい。立派な仕切りを作るんじゃなく、こいつの悪臭さえ防げればいいのだ。心配事がなくなって、私は木箱に手をかけた。


 犬と木箱が同時に視界に入って、ふと思った。横たわるこいつと、木箱の縦横の長さがほぼ一緒だ。分解なんて手間のかかることをしなくても、ただこの木箱をかぶせればいいんじゃないだろうか。


 私は木箱を持ち上げ、こいつの上に重ねるように持ってみた。ちょうどいい幅に見える。ゆっくり木箱を下し、こいつにかぶせていく。すると、木箱はすっぽりと犬を覆い隠してくれた。たったこれだけでよかったのだ。いろいろ考えた時間を損してしまった。自分の抜けた頭を叩く代わりに、木箱を軽く叩いた。すると、木箱はぐらりと小さく揺れた。歪んでいるのだろうかと、私は周りを確かめた。見ると、木箱の内側から茶色の何かがのぞいていた。それはこいつの尻尾の先だった。木箱に挟まれているのに、少しも動かない。


「尻尾か」


 そのままにして私は部屋に戻った。もう光の下で汗をかきたくなかった。


 まっさらな服に着替えようと寝室へ行こうとした。でもその前に、遅れた昼食のためにお湯を沸かせておこうと思い、台所に向かった。鍋に水を入れ、火にかける。これで買っておいたジャガイモを茹で、ホウレン草と混ぜてジャガイモのサラダを作るつもりだ。ちなみにメインのおかずは、鶏肉のソテーだ。ただ焼くだけだからすぐにできあがる。私が好きな料理の一つだ。


 準備をし終わって寝室に向かおうとした時、どこからか話し声が聞こえた。私は思わず足を止め、身を固くした。低い男の声と、高い子供のような声だった。最初は近所から聞こえてくるのかと思ったが違った。声は明らかにすぐ近くから聞こえてくる。誰かが家の中にいるのだ。


 さっきまでとはまったく違う汗が背中を伝った。一体いつ入り込んできたのか、全然気づかなかった。足はこわばり、なかなか一歩が踏み出せない。それでも、時間をかけてゆっくりと台所を出た。壁にしがみつくように進み、声の主の気配を探る。どうにか部屋の中心辺りまで来て、近くの机の陰にしゃがみ、ひとまず隠れた。ここから右へ行けば裏庭へ、左に行けば玄関へ行ける。話し声は右のほうから聞こえてきた。私は迷った。気づかれないうちにこっそり玄関から出るべきなのは当然だが、泥棒の人相も見ておきたいと思ったのだ。この地域は治安が良く、泥棒に入られたなんて話はほとんど聞いたことがない。そして一番気になったのは、子供のような声の主だ。本当に子供だったら、まさか親子で泥棒をしているのだろうか。そんなひどい親はすぐに警察へ知らせなければ。でも、頭には嫌なことばかりがよぎる。そうじゃなかったら、見つかって捕まえられたら......。私の正義感は膨らむ恐怖心にあっさり呑み込まれた。状況が悪くないうちに逃げることにした。


 机に手をかけ、目だけをのぞかせた。裏庭のほうに人影は見えない。いつの間にか話し声は聞こえなくなっていた。不気味な静寂だけが残っている。私は中腰のまま、裏庭のほうへ目を向けて、静かに後ずさりしながら玄関に向かった。机を離れればもう身を隠すものはない。走り出したい衝動を抑えて、慎重に、音を立てず、ゆっくり、ゆっくりと――


「!」


 その瞬間、声も出なかった。後ずさりする私の背中に、何かが当たったのだ。壁や物じゃなく、それは――


「変な歩き方だな」


 心臓が止まったかと思った。私は前に倒れ込みながら、上半身をひねって振り向いた。そこには十歳くらいの、白いローブをまとった男の子が立っていた。驚く私を不思議そうな目で見下ろしている。


「こ、子供......」


 その姿に思わず安堵の息を吐いた。やっぱり子供だった。親のほうに見つからなくてよかった。


 私は立ち上がり、周りに誰もいないのを確認して男の子の手をつかんだ。


「なっ、何だよ」


 手を離そうとする男の子に、私はシーっと人差し指を立てた。


「静かに。ぼくはお父さんと一緒に来たんでしょ?」


「......お父さん?」


 男の子は首をかしげた。もう一人の男は父親じゃないのか?


「とにかく、こんなことしてちゃだめ。私と一緒に警察に行こう」


「......どうして」


「どうしてって、ぼくのやってることは、いけないことなの。だから――」


「待ってよ。あんた、勘違いしてるんじゃない?」


 男の子のやけに大人びた口調に、私は少し面食らった。


「俺達はあんたに、ただ話を聞きに来ただけだ。な?」


 男の子の視線が私の後ろを見る。気配を感じて振り向くと、そこには背の高い男が立っていた。私と同じくらいの歳に見える。整った顔立ちで男の子とお揃いの白いローブをまとっている。その容姿からは泥棒という言葉はとても連想できない。逆に品を感じさせるほどだ。


「勝手に部屋に上がり込んだことはお詫びいたします。ですが、どうしてもあなたにお話をうかがいたかったのです」


 お詫びすると言った割には、まるでそんな表情を見せない。どこか人間味の欠けたような無表情に思えた。お祭りでかぶるお面のほうが、この男性よりよっぽど表情が豊かだろう。でも、不思議と恐怖心は感じなかった。


 それでも、一応警戒しつつ聞いた。


「あなた達、泥棒じゃないの?」


「......そう思われていたのですか」


「だって、いきなり家の中に知らない人がいるんだから、誰だってそう思うわ」


「盗みなんかするか。他人のもの盗って何が満足なんだよ」


 男の子は腹立たしそうに顔を歪める。とりあえず、二人は泥棒じゃないらしい。でも、嘘を言っているかもしれない。まだ警戒を解くわけにはいかない。何せ勝手に家に入ってきたのだ。何者かもわからない状況で気を許すことはできない。


「......それで、話というのは?」


「はい。あちらで寝ている犬のことをお聞きしたいのです」


 男性は裏庭のほうを示した。私は少しだけ緊張した。


「ええ......なんでしょうか」


「ここじゃなんだ、あいつの側で聞かせてもらおうよ」


「よろしいですか?」


「はい......」


 断るのも不自然かと私はうなずき、三人で裏庭へ向かった。


 庭に出ると、当然そこにはさっき運んできたばかりの木箱があった。が、なぜか犬の上からどかされ、庭の隅に置かれていた。そんな私の驚きを察したように男性が言った。


「箱は私が動かしました」


 台所に聞こえてきた話し声、あの時に木箱をどけていたのだろう。しかし、この二人は横たわるこいつに一体何の用があるというのか......。


「この子が、何か?」


「今日は丁寧な呼び方だな」


 男の子の嫌みたらしい言い方に、私の緊張は増した。どういう意味なのかわからない。いや、意味はただ一つしかない。普段の私を知っているということだ。そう思うと、この二人が急に不気味に見え始めた。


「な、何なんですか、あなた達は」


 正体不明の恐ろしさに声が震えた。


「落ち着いてください。私達はあなたにお話を聞きにきただけですので」


「怖がる必要はないから」


 こんな言葉で落ち着けるわけがなかった。


「あの、話は明日じゃだめ、ですか」


 嫌な感じがした。もうこの場にいたくなかった。何か理由を付けてこの二人を遠ざけたかった。


 二人は顔を見合わせる。


「そんなに長い話じゃない。この犬についてだけだ」


「......そ、そうだ、さっき私、鍋を火にかけて――」


「それは先ほど私が消しておきました。安心してください」


 茫然とした。二人は私を放さない気だ。まるで首を絞められたような気分だった。


「では、お話を聞かせてください。まず、この犬はあなたが飼われているのですよね」


 質問に私は恐る恐るうなずいた。


「飼われているのに、なぜこんなにも弱っているのですか?」


 正直に言えるわけがなかった。


「この子は、病気にかかってしまって、ずっとこんな状態なんです......」


 静寂の中、二人の視線が私に注がれる。自分の鼓動が聞こえる気がした。


「はっきり言うけど、これあんたの仕業だよね」


 力強く言う男の子に、私は思わず瞠目した。


「嘘はだめだって。正直に言って」


「あ、あなた達、何を知ってるのよ......」


「まあ......想像に任せるよ」


 平然としている男の子と無表情で質問する男性――正体もその意図もまったくわからない。そもそもどうしてこの二人は、こいつのことを知っているのか。犬を飼っていることは近所には知られているけど、こうして弱っていることは誰にも言ったことはないし、もちろん見せたこともない。まさか、裏庭の柵の上からのぞかれたのだろうか。弱ったこいつを見て、役所や警察に知らせた人間が? 仮にそうだとしても、犬を弱らせた刑罰などこの町に


はない。それに役人が子連れで来るなんて考えにくい。役人じゃないのなら、この二人は......。


「見たところ、あなたの生活はそれほど困窮しているようには見えませんが、なぜこの犬を放っておくのですか」


「あなた達、もしかして教会の修道士?」


「......いいえ」


 やや間があっての返事だった。どこの教会かは知らないけど、白いローブなんて着ているのはやっぱり修道士だ。そう確信すると、不気味な恐ろしさはどこかへ吹き飛んでしまった。


「質問に答えて――」


「命の尊さを説きに来たわけね。そうでしょ」


 二人は顔を見合わせたが、すぐに言った。


「その通りだ」


 男の子が胸を張る。私はひとまず安堵した。それにしても、この子供は修道士のくせに言葉づかいがなっていない。見習いになったばかりなのだろうか。


「こっちの趣旨がわかったんなら話は早い。なんでこの犬をこんな目に遭わす」


「可哀そうだと言いたいんでしょ? でも自分で言うのもなんだけど、私のほうがもっと可哀そうよ。夫に長年裏切られて、そんなことも知らずに愛し続けて、愛人の名前のついた犬を可愛がって幸せを感じてたんだから。この犬を見ると、その頃の気持ちがよみがえってきてたまらないのよ。ひどい夫とその愛人と、みじめな自分を忘れられないの」


「嫌な記憶を忘れられない、それだけの理由ですか」


 男性はやけに冷めた言い方をする。


「同情してなんて言わないわ。だって私の気持ちは誰にもわからないから」


「そうだな。でも、この犬への仕打ちはやりすぎだ」


「その通りです。見たくないというのなら、もっと他に方法があるはずです」


「......たとえば?」


「首輪を外し、野に放つ」


「逃がすっていうこと? 無理よ。野犬になって人や家畜を襲ったら、私が責任を負うはめになるわ。近所では私が飼い主って知れ渡ってるんだから」


「じゃあ、譲ればいいんじゃないか」


 私は首を振った。


「子犬ならまだしも、こんな歳の行った犬は誰も欲しがらないわ」


「結果、ここで飼い殺しにしようと思われたのですね」


「ええ」


 返事をして、少し気まずくなった。あまりに率直すぎた返事だった。男性は目を伏せ、男の子は苦い表情を浮かべていた。


「な、何よ......」


 沈黙の中、男性の目が私を見た。無表情な目でも、それが何を言っているのか嫌なほどわかった。でも私は早く忘れたいのだ。忘れて新たな人生を送りたい。そのためにはこの犬が邪魔なのだ。こいつさえいなければ、私はまた前を向いて歩き出せる。幸せを見つけられるようになるのだ。


 男性の視線が痛かった。なぜ私が責められる? 責められるのは死んだ彼とその愛人で、私じゃない。苦しめられた私はそこから逃れようとしているだけだ。それがどうしていけないの? 今さらこいつの世話なんてできない。私には絶対に......。


「......あなた達が引き取ってよ。そんなに言うなら、あなた達が引き取ればいいじゃない」


「そう言われるんじゃないかと思ったけど――」


 男の子がきっぱりと言った。


「それは俺達のすることじゃない」


 私は腹が立った。これに男性は、その通りだと言わんばかりに私を見ている。怒鳴らずにはいられなかった。


「助けろと言っておきながら、自分達は助ける気がない。それがあなた達の正体よ、この偽善者! そんな人間に、私を責め立てる権利なんてないわ」


 上から言うだけ言って何もしないなんて、一体何様のつもりだ。それでも聖職者の端くれかと問いたいくらいだ。


「結局、口で何と言おうと、面倒が降りかかりそうになれば逃げるのよ。助けようなんて心から思ってないのよ!」


 私が怒鳴っても、男性は表情一つ変えず、男の子は呆れたように私を見ていた。反論してくる様子はまったくない。


「言うことがないなら、早くここから出ていって」


 二人を睨みつけると、男性が口を開いた。


「この犬を、本当に見殺しにするつもりですか」


「私は一秒でも早く過去を忘れたいの。早く消えてもらいたいのよ」


「愛情は、もうないのですか」


 こいつを見ても、今は愛情のあの字すら湧いてこない――今思うと、世話をしていた時の気持ちは純粋な愛情ではなかったのかもしれない。私は特に動物好きではなかった。それでも彼が連れてきた犬だから、毎日かいがいしく世話をしていた。すべては彼のためだったのだ。彼が喜ぶから、彼とつながっていたかったから、そのために世話を続けていた。愛情は犬を通り過ぎ、離れた彼に注がれていたのだ。犬はただのパイプでしかなかった。初めから


こいつに、愛情なんてものは向けられていなかったのだ。


「......ないわ」


「この犬を見ても、邪魔としか感じないのですか」


「そうよ」


 男性は小さく息を吐いた。


「あんたは、この犬の命を無駄に殺すんだな」


 男の子は厳しい目を向けてくる。


「無駄じゃないわ。私がまた前向きに生きられるんだから」


 男の子は目を見開いたが、すぐに伏せると男性に何やら呟いた。聞いている男性に、特に反応は見えない。


「話はもういいでしょ」


「......ああ、終わった。すぐに出ていく」


 私は安心からため息を吐いた。その直後、意識が完全に消えた。


          *


「悪いな。大事な存在だったのに」


「彼女には気づいてほしかった。どれほど慕っていたのかを」


「一番近くの気持ちに気づかないなんて、まったく馬鹿な人間だよ」


「......あなたの体は、もう限界に達しています。生きられるのはあと数時間ほどと思われます」


「どうする? 苦しくても生を全うするか、それとも今やったようにするか」


「..................彼女に、また会いたいのですね」


「そうか......じゃあやるか。必ず会えるとは言い切れないけど」


「求め続ければ、きっと会えるでしょう」


「今度は心ある人間になってるといいな」


「彼女は、もとは心のある人間だったのです」

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