練兵に倣う灰滅-10-
まず
外観は一般的な籠手と類似しているが、前腕部に格納できる鉤爪が特徴的である。また、籠手内部には注射針が内蔵されており、鉤爪を格納庫から表出させる際に針が使用者の手首静脈に刺さることによって血液が鉤爪へ輸送される(なお、輸送ルートには弁が付いているため、逆流は生じない)仕組みとなる。
一方
但し、武器研究開発部門によれば、第一級接触禁忌種の血液を練り込んだ特製銃弾をスナイパーライフルやアサルトライフル、ショットガンなどに装填して使用に至る、という特例もあるらしい。だが、接近された段階で重視されるのは
そして
侵蝕因子の特性上、対物的侵襲力に「有機物質≫無機物質」の関係が成立するだけでなく、対人的侵襲力として「血液>呼吸器≫皮膚≫その他」の関係性が成り立つが故に、
特に、空中浮遊型侵蝕因子の誤った吸入を防止する役割を担う
これまでに説明してきた通り、侵蝕因子の甚大な侵襲能力は無機物質にも及ぶが、対物的侵襲法則より無機物への侵襲速度は遅く、対有機物ほどの即効性は認めない。また、
「この二つの装備があれば、
「……それだけじゃ、ないですよね? 第一級接触禁忌種や
「ハチ、君は本当に勘がいい。その通りです。全ては
要は人間の存在が関わると何かと面倒なのだろう。「関わって欲しくない」というあまりにも率直な言い様に思わず苦笑してしまう。
「ここからは人間が参与し得ない対
これまでは座学に相応しい知識の叩き込み作業が行われていたが、今度はルカさんが教鞭を振るう傍らでティムさんが実演して見せる、
アクションゲームで言うところの動作把握。様々な形態を取る相手毎の攻撃と防御のモーション・パターンから隙を見出し、最適解の進攻を繰り出す典型的な必勝法則。実戦的な
しかし今は座学の時間である。ティムさんの動きを敢えて模倣して見せる必要性は現段階ではないと言える。飽くまで実演と共に記憶しやすい状況を作ってくれているだけだ。僕はルカさんから配られたノートに習ったことの要点を纏めて綴っていく。数十分で随分と濃密な内容を勉強したものだと、これまでの軌跡を辿るようにして頁を捲っていけば、まるで予備校の講師が教えたかのような分かり易さに計らずも脱帽した。そうして短い休憩を挟みながらの長丁場に渡る講義は、対
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