首輪に従う黒狗-6-
そんな質疑応答が飛び交う中で、僕は今後の身の振り方について考えていた。本部より密命を担った
「
総本部より派遣された側の監査官が、現場の指示を仰ぐなど本来であればあってはならないことだ。だとしても、記憶がない以上どうしようもないのもまた事実。頭を悩ませるポンコツ監査官を可哀想な目で見るのは、僕に暴行を加えた鬼畜少佐だけであったが、
「現段階で新たな内偵が派遣されるかどうかは分からない。であればこそだ、ハチ。君をこのまま
最初に飛び出た所感としては、「何だそれは?」という純粋な訝りであった。既にルベルロイデ少佐に僕が
「閣下、小官の部隊構成をお忘れか? 特殊精鋭部隊とされる我ら
「確かに、
部隊の戦闘要員ではなく、保護対象として護衛する体裁を取る――全く考えもしなかった展開に、僕は「なるほど」と独り言を放つ。では、戦闘に参加する必要がなくなるのだから、改めて戦闘訓練などをする必要もないはずだ。「己の身の安全が確約されたのだ!」と
「勿論、保護対象は名目上の話さ。飽くまで
無事、安全な生活は保障されないということが確定した。しかも、
まだまだ甘い考えが抜けない僕は、現状軍歴が記憶喪失により素人に成り下がった故に、安全な後方勤務が与えられると都合良く解釈していた。だからこそ、
「話が早計過ぎであります、閣下!
話題の中心人物は間違いなく僕自身だ。眼前で
「ああ、これは済まない。君を記憶喪失の一般人としてでなく、従来通りの軍人扱いをしたが故に、つい我々の公用語を多用してしまった。今の君にとって我々の会話は何一つとして通じ得なかっただろうから、順を追って事細かに説明しよう。その中で不明点や疑問点があれば、逐次尋ねてくれるといい。応じられる範囲内で答えよう」
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