15:LOOP 77,764,192

 そらと共に時空研究を続け、隔てられた周囲から一定の空間を分離するデバイスを開発した。鈍く光る銀色の立方体だ。これでループを最小限に抑えられる。

 同時に、空は時空の歪みを利用したタイムリープを可能にするバッグ型のデバイスも作り出した。


「君の住んでいたマンションは取り壊されてしまった。部屋として周囲から隔てられた空間が必要だから、過去に戻ってあのマンションに分離器を置く必要がある。だが、デリケートな機械だから、大切にな」


 とはいうものの、マンションに侵入することは過去を改変することになる。

 空は頭を悩ませていたが、私はすでに解決法を見つけていた。


 分離器を持って過去に飛ぶ。


   ***


 その子は私を不思議そうに見ていた。私は分離器を彼女に渡して、

「大切にしてね」

 と言った。

 

 そう、彼女は幼い頃の私だ。あれ以来、会っていない理由は私自身だからだ。


 元の時間に戻り、空に報告をしようと向かう途中で、私は瑠璃に刺された。

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