終章 少女にとっての「ヒーロー」
私にとって、『ヒーロー』は忌むべき存在だった。自分から姉を奪った人たち、だからずっと恨んでいたんだ。
そんな『ヒーロー』を退治してくれた、彼。
最初は全く話したこともないクラスメイトだったのに、いつからか私は彼に守られることを望んでいる。
そんな彼から、笑顔が消えた。
今日も死んだ魚のような顔をして、街の平和を守っている。自分がヒーローを倒してしまったと追い詰め、使命感に駆られて機獣を倒しているんだ。そんな彼を見ていると、胸が苦しい。彼は正しいことをした。ただそれだけなのに、ここまで思い詰めて傷つかなきゃいけないんだろうか。
「お疲れ様、操君。今日もかっこよかったよ」
「……それなら良かった」
今の私にできることは、ヒーローの隣にいて、彼を肯定すること。今の私にとってのヒーローは、私が支えるべき存在。そうすることで、私自身のことも救っているような気がした。
「私は、ずっと隣にいるから」
いつかまた、共に笑いあえる日が来るその時まで。
ヒーロー退治 星宮コウキ @Asemu
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