第3話 日常的に繰り返す

「すさまじく暑い」

ひとりごちる。

そういえば入り口にアイスの自販機があった筈だ。アイスを食べよう。自販機に着くと先客がいた。

「うーん、迷う……」

君が小銭握りしめ、どのアイスを買うか思案をしていた。

「オレンジバーにする」

ジト目を後頭部に感じながら僕は自販機に小銭を入れる。出てきたオレンジバーを食べる。

しゃく、しゃく。

冷たくて美味しい。

君の方をみやると自販機に小銭を入れチョコレートでコーティングされたミルクバーを買ってぺろぺろ舐めていた。

「美味しい?」

「はいっ!」

真夏の太陽みたいな眩しい笑顔だった。

残りを並んで食べた。


また別の日のことだ。

今日も今日とて当てもなく本を開く。君の前で。

君は世界地図を広げロシアの広大さに目を丸くしていた。

うん、デカいよね。

僕も最初見たとき驚いたもん。

昔はソ連と言ってもっとデカいんだよ。

「何ですか」

え?

君が僕に声をかけたことに五秒かけて理解した。

「ち、地図帳面白いねって」

「人が何読もうが関係ないと思いますが」

きっつ。

「確かに君の言う通りだけど」

「何も用が無ければ話しかけないでください」

拒絶。

「お兄さんが悪かった。用がある時だけ、ね」

と、そそくさとその場を後にする。

メモを取り出し記入する。

7/27は×と。


鼻歌が聞こえる。

けれど、君の姿は見えない。

「あ、お兄さん。こんにちは」

螺旋階段の頂に君はいた。

今日はブラッドベリの華氏451度を持っていた。ジャンル問わず本が好きなんだね、君は。

螺旋階段を上がっていくとそこには芸術的に本が収納されており、海外の図書館みたいだった。

「ここがお気に入りなんです」

誇らしげに言う君は眩しかった。

7/28は◯っと。

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