第2話 邂逅
嗚呼、ここは白黒の世界だったのだ。
翌日、またひぐらしをバックに図書館へと向かう。実は行くには階段があって、いつも登るのだけれど、キツくもなく楽でもない勾配と長さに一種の課題めいたものがった。
君はいるのだろうか。
課題をやっつけながら思った。
白のリネンシャツにオリーブのチノパンといういでだちにメッセンジャーバックを肩から下げた格好だった。足元はコンバースのスニーカー。
怪しくは無いと思う。
今日は君が先に来ていた。
探し物があるらしく本棚と格闘していた。
その本は彼女の頭上にありどうやっても届かなかった。
途方に暮れる君は僕を見つけた。
無駄に百八十五センチという図体を持つ僕は脚立がわりに最適だった。
「どの本? 取ってあげる」
君は紺色のハードカバァを指差した。
渡してあげるとじぃとこっちを見た後本で顔を隠してしまった。
この図書館には僕と君しかいなかった。
本を借りる時は、受け付けにある貸し出しの機械で本のバーコードを読み取れば、十五冊まで借りられるシステムだった。
けど、僕はほとんどその場で読んでしまうので使い方だけ知ってるだけだった。
君が使ってるのを見た事がある。
館内は広くて掃除はロボットがしてくれていた。
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