第8話 制約と奴隷紋

シクは毒の瓶とルドルフさんが用意してくれた?であろうランプを持ち、平民街へと戻った。

ランプは邪魔になるので梯子の下においてきたけど…欲しかったな。


明日の朝日までに、

ゲドさんを殺さないと自分が死ぬ!

あせる気持ちを押さえながら 

シクは両手で頬をたたく。


「痛た!…」


まずは、ゲトさんの様子を見に行こう。



貧民街の下水路につくと

小部屋にいたゲドさんと数人が

シクに向かって走り出し、シクを囲みだした。


「おいお前!最近平民街に行ってるようだが!

やめとけ!!俺たちの立場わかってるのか?」

どうゆうことだろう?

「ここにいるほとんどの者たちが、殺されたって言うのに、あまり目立つ行動はやめろ!」

ゲドさん以外の人達がシクを責め立てる。


「平民街に食べ物を探しに行ってるだけだよ」

たしかに目立つ行動はさけるべきだったな。


ゲドさんが前にでる。


「みんな落ち着け。

シク、封鎖が解除してるからって

奴隷商人をまだ探しているのか?」

「今は俺たちと一緒に行動するべきだ。

あまりひとりでふらふらするな。」


ゲドさん達は隠し小部屋で生活している。

自分もたまに小部屋で寝泊まりさせてもらったが、さすがに下水は怖かったので、寝ぐらを転々としていた。


とりあえずは

「わかったよ、奴隷商人はまだ見つからないし

諦めようと思ってる」

複雑な感情の中、シクはゲドに

表向きには従う事にした。


ゲドはシクに近づく。

「最近、念の為、衛兵とも会っていないが…

1人だけ良くしてもらってる衛兵がいる。

今夜その衛兵が平民街の裏口の番をしていてな、そこから夜中に街をでようと思う。

準備に時間はかかったが、

お前も来い!シク!」


ゲドさんは自分の事も考えてくれてるみたいだ。なんで奴隷商人に会う前に言ってくれなかったんだ…

一緒に行きたかった。


その時、背中の奴隷紋に少し痛みが走ると、

ゲドへの殺意が込み上げてくる。


コロセ…コロセ…殺せ


ゲドヲコロセ!殺せ!!!


くそ!今はダメだ!落ち着け!

奴隷魔法による契約呪文が、感情をかき乱す。

この背中の奴隷紋を見られたらヤバいな…


「大丈夫か?今は小部屋で休んでいろ。

外には魔物がいる、街をでれば寝る暇なんてないぞ。死に物狂いで村まで走る!」


ゲドさん…


「近くには俺の生まれた村があってな、

捕まってここにきたんだが…

今さら村なんかにゃ興味ねえし、ここで頭はってた方がおもしろかったが、そんな事言ってられねえし、そこの自警団にみんなで入れてもらうつもりだ!お前も頼んでやるよ!」


コロ…わかってる!


シクは感情を落ちつかせ、

小部屋に向かい

チャンスを待つ事にした。

ゲドさん達も小部屋で休むみたいだ。





何時間たっただろうか

焦る気持ちを落ちつかせ、靴の中にある毒瓶を確認していると、ゲドさん達から寝息が聞こえ出す。1人は下水路で見張りをしてる為 ここにはいない。自分を除いてここにいるのは3人。



今がチャンスだ。

ゲドさんには悪いけど、

やらなきゃ自分が死ぬ。。


シクはゆっくりと毒瓶を取り出すと

ゲドの口元に…



「服の背中が少しやぶけてるのを知ってたか?」

ゲドさんに手を掴まれた!やばい!


片方の手で殴られる!

く!…


うつ伏せにされたシクは

ボロ服の背中側にあるやぶれた小さな穴から

ゲドの手で服を引き裂かれた!


肌が露出したシクの背中には奴隷の紋章が

くっきりと刻まれている…


「奴隷紋なんかつけやがって、、

アザかなんかだと信じたかったが、

そうゆうことか!」


ゲドの声に他の2人も起きだす。


「俺もツケが回ってきたってことか…

シク!お前の狙いは俺か!?」


!!他の2人はシクを押さえ込もうとする。


ゲドは起きた2人を手で制する。


「黙ってるって事はそうなんだな!?」


もうダメだ…でも殺意がとまらない!

シクがゲドに抵抗しようとするが

ゲドに抑えられて動けない。



「お前も命をかけているんだな…おい!お前たち!シクを下水路に連れ出せ!」


ゲドの仲間がシクを掴みだし

小部屋前の下水路へとつれだす。


「全員スライムの下水まで行くぞ。」

ゲドは悲しそうな顔をしながら、壊れた下水路の奥へと進み出した。



少しの空間がある場所につく。

壊れた階段のその下の下水ではスライム達が

うごめいていた。


「こんな毒瓶まで持っているなんてな、、」

ゲドは毒瓶をスライムの下水に放り投げる。


ぼちゃ… ごごご


放り投げた下水からは、少し変な音がしたが

ゲドは構わず話し出す。


「シク…お前のことは気に入ってたんだが

最後にチャンスをくれてやる。」


ゲドは銅貨1枚を床におく。


「おぼえてるか?死に行く奴にコインは必要なんだぜ? 俺とお前で勝負といこうじゃないか」


ゲドはナイフを取り出すと、

シクの足元にナイフを放り投げた。

 仲間たちが騒ぎ出す!


「あにき!そんな事しないで!早く下水にコイツを捨ててスライムのエサしてやりましょうよ!」

「ゲドの旦那が死んだら街からでれねえよ!」


ゲドは叫ぶ!

「うるせえ!俺が負けるとでも思うか?

そんな頭だからいつまでも負け犬なんだよ!」


シクは相変わらずもがいている!

もう我慢できない!ふりほどいてでも

そのナイフでゲドを突き刺してやる!!


シクは謝りたい!戦いたくない!

と思う感情とは裏腹に

奴隷紋の制約が頭をかき乱した!


おおおああああああああ!!!!


「イキイキとした目をしてやがるぜ!

死神背負ってるてめぇは嫌いじゃなかったぜ!」


ゲドはもう一本のナイフを取り出す!


「てめえら!シクを解放しろ!

かかってこい!シク!!」

仲間達が手をはなした瞬間

シクが地面のナイフを取り

ゲドに走り出した!!


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