第5話 挫けぬ心
「誰だ!閉め忘れた奴は!」
小部屋に誰かの声がひびく!
「静かにしやがれ!」
ゲドさんは小声で
ついてきた住人に怒鳴りつけた。
「シク!そこにあるレバーをさげろ!」
ゲドさんに言われた通りレバーをさげる。
「よし!これで壁は回らないはずだ!
これ以上小部屋に誰かを入れるのは危険だ」
すると仕掛け扉から壁を叩く音が聞こえる。「おい!どうなってるんだ!
だれかいないのか!?」
「なんでこんな所で集まってるんだ?
ここに何かあるのか?」
「何でもいいからはやくしろ!」
シクが入るのを見たのか
同じように走ってきた住人達の声が聞こえる。
やがてスライムなのか、
黒い集団なのか、仕掛け扉から悲鳴が聞こえだす…
シクやゲド達は手で口を塞ぎ、
殺される存在から身を隠す。
…
びちゃびちゃ!
「しつこいスライム、、
疫病の原因はこいつか。
持って帰って調べる必要がありそうです」
ピエロ?の声がする。
「あとは疫病の疑いのある者の選別ですね」
その後は静かになり
ある程度。身を隠してから
ゲドさんと外に出た。
そこには死体も何もなかった…
あれから数日後
封鎖は解除され
ゲドさんは今日の事は忘れよう…
と生き残った数名とともに
沈黙をつらぬいている。
自分も同じ思いだ。
シクは早くこんな生活を抜け出したいと
前よりも強く心に思った。
死にたくない!
疫病の疑いがはれたのなら
貧民街に奴隷商人がくるかもしれない。
再びシクは奴隷商人の捜索を再開した。
何日か探し続けたが…
まだ警戒をしている様で、
奴隷商人は見つからない。
貧民街で待つより
平民街の奴隷商人の様子を探った方が
早いかもしれない!
思いたったシクは、
掲示板、ゴミ漁りと並行に
平民街へと足を運ぶ毎日がつづいた。
ある日、平民街にある奴隷商の店前で
奴隷商人とおぼしき男達が
困ったような顔をして話し合っている。
何か有益な情報が聞けるかもしれないな。
シクは商人達の近くで
物乞いを始めるそぶりを見せる。
あまり派手にやると衛兵に捕まるが
コソコソとする分にはあまり捕まらない。
平民街での物乞いは別に珍しくもない為
商人達は一瞬怪訝そうな顔をしたが
気にせず話し始めた。
「わしの所の奴隷もこの前何人か、衛兵につれていかれた。元貧民街の奴隷とはいえ、疫病の疑いがあるらしい」
「平民も何人かつれていかれているみたいだぞ!多額の資金を教会に支払えば、治療後、衛兵から帰らされると聞いた!」
「俺の所は、元平民の奴隷も連れて行かれた。
今残っている平民や貧民は大丈夫らしいが、疫病の原因である貧民街には、しばらく怖くて行けないな」
「平民や貧民の全員をどう検査しているのかはわからんが、魔法具を持った衛兵長が何やら指示をしていたのを見たぞ!」
「平民奴隷ならまだしも、
連れ去られた貧民奴隷を
教会に頼のんで帰してもらうのは、
割に合わない。困ったものだ…」
スキルがある平民奴隷と
スキルがない貧民奴隷では、
やはり扱いが違うみたいだ。
それにしても疫病に感染していたら
バレるのか、、
ゲドさんと俺たちもやばいかもしれないな
黒い集団からも殺されそうだったし
身体はまだ動くけど、。。
大丈夫だと信じたい。
教会で治療なんてお金もないぞ…
いろんな情報を知ったが
こんな状況では、違う方法を探さなければ
闇発行の資金や鑑定代を稼ぐ事はできなさそうだ。
早くスキルを授かりたい。
そんな中、物乞いのシクに1人の男が声をかけてきた。
「そこの物乞い…奴隷商人に興味があるのか?」
シクは奴隷商人の話に集中しすぎて
怪しまれたと内心冷ついた。
「奴隷商人?今日生きる食べ物を
慈悲深い人達からもらえるのを待ってるだけだよ」
男は無表情のまま、シクに舌打ちをした。
「検討違いか?
仕事を探してる様に見えたが違うか?」
もしやと思ったシクは
静かに「探している」と小声でつぶやいた。
「なら黙ってついてこい」
そのまま男は路地裏へと消えていった。
一瞬戸惑いながらも
慌てて男の後を追うシクだった。
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