第4話 紫と黒とピエロ

シクがゲドさんの様子を

見に地下道へと戻ってくると、

下水道には焚き火が焚かれ

何やらゲドさんと松明を持った下水道の

住民達とで口論をしている。


「あぁ?下水路から平民街へと逃げる道だと?

みんな落ち着け!」


みんな考える事は同じ様で

貧民街が封鎖され

隔離された事に怖がってるみたいだ。


「平民街へと行ける下水路は

出入り口で衛兵が見張ってるはずだ!

へたに問題をおかすんじゃねえ!」


それならみんなで下水路から街の外に!

下水道の住民は騒ぎ出し始めた。


「死体処理を頼んだ奴なら知ってると思うが、街外への下水路は道が壊れてる。

下水には大量のスライムのおまけつきだ!

死にたい奴は行け!」


静まりかえった住民たちは…

悲観する者もいれば

街外への壊れた下水路が

渡れるかどうか確認しに行く者もいた。


街外への壊れた下水路には

ゲドさんの手伝いで

行った事があるからわかる。


下へと見おろせる高い場所から

下水に死体を放り投げて

スライムに食わせる仕事なんだけど

下へと続く階段の途中から

下の通路まで全て壊れていたと思う。


下水での死体は厄病の原因にもなるから

衛兵の代わりにやってると

ゲドさんか言っていた。


死体を流すスライムの下水は

衛生的にもかなりやばい。


スライムでも無理なのに

下水を少しでものみこんでしまえば、

最悪死んでしまうかも。


ゲドさんが大声でみんなに叫んでいる。

「とにかくだ!

封鎖される前から原因調査に特殊班がここへ来ると衛兵から聞いてる!衛兵がいなくなったからって好き勝手してると特殊班に目をつけられるぞ!」


特殊班!うわさでしか聞いたことがない。


一部の条件にあてはまる死刑囚達が

死後、何らかの呪いにより遠隔されて動くという得体の知れない屍集団だとか…


表には出ない集団なだけに

本当にいるのかさえ疑問に思う存在だ。


「俺たちは、下水の厄病に近い存在だ!

全員が処分の対象にされたくなければ

ここにいる奴だけでも、大人しくしていろ!」


何かいい方法はないんだろうか。



あれからどれくらい

時間がたったかわからない


壊れた下水路から、

必死に松明を持って走ってくる住民がいた。

「ゲドのあにき!スライムの様子がおかしい!」


どうゆうことだろう?


「一部のスライム達が

緑色から紫色に変色してるんだ!

そいつらが、液体をふりまいて暴走している!液体にかかった奴は苦しんで死んじまった!」


大変だ!スライムが暴走して

こちら側にきたら、みんな死んでしまう。


「おまえ!出入り口の衛兵に連絡してこい!」

ゲドさんは住民の1人に声をかけるが…


「俺たちも、ここから早く離れないと死んじまう!」


だれかの一言をきっかけに

下水の住民達は、貧民街へと逃げ始める。


自分も早く逃げよう!


住民達が避難をする中

シクは寝たきりの住民に足を掴まれる。

「頼む…助けてくれ…」

やばい!このままじゃ逃げ遅れる。


「ぎゃあああああ!!!!」

逃げる方向から叫び声がした!

そちらの方に目を向けると

貧民街へと続く下水路の奥の方から

黒い霧が現れ、

黒い包帯を全身に巻いた人間?

の様な集団が姿を現した!

集団は、

黒く尖ったような手で

先に逃げ出した住民達を殺している。


その集団の中で

小柄なピエロ?が薄気味悪く笑っている。


このままではまずい!

こちらへと集団が向かってくる。

「ごめん…」

シクは捕まれた足をなんとかふりほどき

周りを見渡した!


ゲドさんと数人が、

松明を持って壊れた下水路へと

逃げていく。


そっちは暴走したスライムがいるはず!

何かあるのか?

シクは落ちている松明を拾い

ゲドさんの向かう方へと走り出す!



スライムがいつ現れるかわからない中

ある程度走ったゲドさん達は、

壊れた下水路に続く側壁の何かをさわりだした。


壁が回りだすとゲドさん達は奥へと消えていく


その後、壁は何もなかったの様に元に戻った。

仕掛け扉かもしれない!


驚きながらもシクは急いで

その壁をさわりだす。

すると壁の一部がへこみ

壁が回りだした。


中には小さな小部屋があり

ゲドさん達がそこに隠れていた。


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