第19話
私たちはまず学校をめちゃくちゃにした。
校門に自転車を投げ、校銘板をバットで粉々に砕いた。
特に恨みがあった訳でもないけど帰るためなら仕方ない。
これ言い訳ね。
ひと通り暴れたあと、次に校舎の中をグチャグチャにした。
私に銃弾やらナイフを投げてきた教師の脳天をカチ割った。
これはこの世界の住人を手にかけてわかったことなんだが、この世界の住人は死と同時に煙になって消えるみたいだ。
だからかな、スッキリするどころかモヤモヤする。
煙になって消えることは望さんも知らなかった、というか染まっていたころの記憶はあんまりないらしい。
殺した住人は罪悪感と共に消える。
完全犯罪じゃん。
覚悟が決まったと言ってもやっぱり人を手にかけるなんて普通に生きてると起こることじゃない。
スプラッタな演出もないし、手にかけた時の感触も不愉快な感じに終わるからこれはコレでアリだ。
いっそうこの世界への"不満"も貯めやすい。
ある程度学校を荒らしたあとは街に出た。
街も手当たり次第に壊したり、暴れたりした。
看板は鉄パイプで粉砕。
通行人は派手な髪色のヤツから順番に自転車で轢いた。
楽しい、とはならないし反応もないから面白みなんてない。
ただただ暴力の限りを尽くしていく。
一通り暴れて疲れた私たちは拳銃を売っている自動販売機を殴り倒してベンチにして休憩していた。
「やっぱここ気持ちわりーな」
「だね、無反応なのが違和感半端ないよね」
「さっきもよ、コンビニでジュースとお菓子かっぱらってくるときヤバかった
住人が会計してる横を普通にカゴごともってお金払わずに出てきたのに『またのご利用お待ちしております!』って元気よく言われたんだぜ?
普通有り得ねぇだろ」
「ははははは、なにそれー」
「いや、マジだって」
「不気味だねぇ」
お昼を終えて、また私たちは暴れた。
今度は自動販売機を壊して武器を手に入れた。
日本刀にヌンチャク。
なんで自動販売機でそんなのが売ってんだって話はもうやめとこう。
倫理観が〜とかモラルが〜なんてこの世界では馬の耳に念仏だ。
ヌンチャクなんて使ったことないからわからん。
「アチョー!」っていいながら投げればいいんだっけ?
適当に投げたら3人くらい巻き込んで色んなところがちぎれた。
そんでまた煙になって消える。
「3ヒット」って花が言った時はなぜか笑ってしまった。
望さんは首ばっかりきってた。
薄皮1枚残すチャレンジをしているらしい。
「どう?山田浅右衛門みたい?」
「誰それ」
「処刑人だよ、すごい首切るのが上手い人らしいよ」
「へぇー」
「興味無いでしょ」
「バレたか」
そんなやり取りもありながら、どんどん住人を煙にしていく。
そして、街には私たち3人だけになった。
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