第4話 苦難の日々

 東京に新幹線で帰る前のことである。わたしは短大の書庫に居た。それは論文の資料となるモノを探していたのだ。


 夏目漱石の俳句集が出てきた。


 その他資料から、この短大にも夏目漱石の研究をした痕跡がある。これがこの書庫の限界か……。


 わたしは東京に戻る為に駅に向かうと水仙さんが待っていた。


「先生、お弁当をお忘れです」

「あ、これはありがとうございます」


 わたしは水仙さんに感謝を伝えると。在来線で新幹線の止まる駅まで向かう。早く、論文を仕上げないと。こうして地方に来るのも大変だ。


 その後、新幹線に乗り換えると、お弁当片手にパソコンを取り出す。


 ……。


 いかん、眠気が酷い、昨夜、根を詰め過ぎたか。わたしはコーヒーのペットボトルを取り出すと。グビグビっと飲む。


 うん?


 また、水仙さんから添付メッセージが届く。画像は、また、可憐な白のワンピース姿であった。この画像はホントわたしの好みを抑えている。文書を読む前にコーヒーを飲み込み吹かないように注意する。


『寂しいから泣いている、にゃん、にゃん』


 この文書は国語教師からして0点である。返信する文書に0点と書くか迷ったが。可憐な白のワンピース姿の画像を見ると興奮してしまう。


 本当に情けない男である。


 わたしは当たり障りのない文書を送ると。論文の執筆に戻るのであった。

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