第3話 純粋の方が興奮する
わたしは論文の締め切りに追われていた。弱いわりに大好きなお酒を断ち。新幹線の中でも書き込むのであった。毎週楽しみにしている、吉岡短大での授業の準備も中途半端だ。ここは短大の授業の方を優先しよう。また、秋葉さんに怒られてしまう。
配布する資料を整理してチェックするとコーヒーを飲む。ふ~う、短大の教養の授業だ。本当は手を抜いてもいいのだが、先生さんと呼んでくれる秋葉さんがいる。
そんな事を考えながら、資料をまとめる。よし、これで論文の作成に戻れる。
国語教育の研究がわたしの専門である。あああ、もっと、頭が良ければこんな苦労はしない。健康の為にお酒を断とうかな。
うん?携帯に水仙さんから画像添付メッセージが届く。水仙さん白いワンピース姿で、それは天使の様な可憐さであった。
ぶぅぅぅ!
『先生、にゃん、にゃん、しましょ』
飲みかけのコーヒーを吹いてしまった。それは誘う様なメッセージであった為だ。そのメッセージは清楚な白いワンピース姿でも、たわわな、胸にセクシーな曲線はわたしの神経細胞を刺激する。
わたしは携帯をしまい、論文の作成に戻る。
落ち着け、落ち着け、わたしは先生だ。
昔、人間関係で挫折した時に、四国八十八ヵ所のお遍路さんをしたいと思ったが、今からお遍路さんに行きたい気分だ。
その夜、花見坂家では食卓におでんが並んでいた。神主である祖父である善三郎さんと水仙さんとわたしである。水仙さんの両親は東京でサラリーマンをしている。
「田中先生、おでんに辛子は必要ですかな?」
善三郎さんがキリリと問うてくる。
「大丈夫です」
「そうか?美味しいのに?」
また、沈黙の時間が流れる。
ははは……。
孫娘が可愛いいのは分かるが婿をみるような目線はつらいな。
コンコン。
気のせいか秋葉の声が聞こえる。わたしはその場の席を外して中庭に出る。
「先生さん、来てくれた」
幼女の秋葉さんが喜んでいる。この秋葉なるあやかしはどんな思考で幼女と成人体を使い分けているのだ?
わたしが秋葉さんを観察していると。
「先生さんはセクシーな方がいいの?」
これは逆に子供の質問だ。うむ、日本語が難しいのを実感していると。
きっと、秋葉さんにとって時間は無限であり。見た目もさほど関係ないのかもしれない。
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