第4話 急転直下の事態と因習の抜け道

「はあ……連絡手段が交換日記とかさらに先祖返りしたな。実質ラブレターだろあれ」


 特に書き出しとかほぼ愛の告白だった。

 それもこれも朱里が悪い。比翼の鳥なんだからもっと熱烈に。とか茶々入れ指導が入ったのだ。俺もその変なノリに乗ってしまった。

 その途中で青葉の年齢が朱里の一つ下。つまり中二だったことに驚愕したが。見た目から同い年か、年上だと思っていたのに。


 放課後はすぐに帰宅した。俺の未来の黒歴史ノートを持った朱里は青葉に会いに島の中央の役場に向かってくれている。ノートを見て噴き出したその笑顔はむかつくが、大事な協力者様だ。

 もしもこれで青葉に幻滅されたらどうしよう。

 そんな不安をよぎる中で、青葉からのチャットを待っていた。


「来た! ん? えっ? なんだこれ。朱里の奴どんな話をしたんだ?」


 文面はシンプルに……怖かった。


『朱里ちゃんとは仲がいいんですか? 好きなんですか?』


 凄くこじれた空気を感じる。

 スマートフォンに入力する手が震える。焦ってまごついているとすぐに次の文面が来た。


『早く答えてください』


 秒の催促だ。


『ノートを読んでもらえればわかるけど、俺が好きなのは青葉だ。朱里とは協力してもらっただけ』

『本当ですか? 名前も呼び捨てですし、朱里ちゃんの親しそうでした』

『苗字が難しいし、島に馴染めるようって名前の呼び捨てを推奨されたんだよ! 本当になにもないから!』

『本当なんですね。朱里ちゃんに悪いことしちゃった。一樹君の代わりに急に他の女が出てきたから気が動転しちゃって』


「他の女って朱里はロリ……あっ。年齢考えると朱里の方が年上なのか」


 そこまで気が回ってなかった俺が悪い。

 朱里はロリで小学生の生意気な妹感覚でいた。でも青葉から見ると、俺と物理的に近い年上の女友達になるのか。

 青葉がなにしたかわからないが、せっかく協力してくれた朱里にも悪いことをしてしまったようだ。俺からも謝らないと。


『すまん。配慮が足らなかった。俺が全て悪い。朱里も純粋に応援してくれただけの協力者なんだよ』

『そうなんですか……でももう遅いかも』

『遅いってなにが?』

『このままだと絶対に一樹君と引き離される。朱里ちゃんと揉めているところを役場の人に見られちゃったし』


「……それはまずいな」


『一樹君。今から会えませんか? 私のことを本当に好きなんですよね? 実はずっと一緒にいられる方法があるんです』


 朱里はそんなことは言っていなかった。

 いや成立したカップルは存在すると言っていたか。けれど島の中央に何年も隔離されて、片親で子供とともに帰ってきたと。

 抜け道があるのかもしれない。


『そんなものがあるのか?』

『はい。今から私と子作りしましょう』


 この言葉に走り出さない男はいない。

 俺はすぐに家を飛び出した。

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