ep.10 結局、何してたの?
美代子「貴方、最近わたしに内緒で何してるの?」
松井「あぁ、言い忘れてた。実は…」
美代子は湯呑みを取りながら
美代子「私に隠す事なんてなかなか無いのに、何年の付き合いだと思ってるんです。」
松井「あぁ、悪気は無いんだ。ちょっとお前にプレゼントをしたくてだな」
美代子「プレゼント?」
松井「そうだ。お前の為に友達の知り合いに折り入って頼んでたんだ。」
美代子「なら言ってくれれば良かったじゃないですか。」
松井「すまない、サプライズ的な事をしようと思ってだな。まさか空き巣が入ってるとは思わなくて」
美代子「空き巣はちょっとしたハプニングですが、それとこれとは別ですよ。」
松井は説明する事もなく手帳の内容を美代子に見せた。
美代子「これは…覚えてくれてたの?」
松井「あぁ、昔デートしてた時にそれがしたかったって言ってただろ?それで知り合いに頼んで柔道のクラブで集めた予算を使って夢を叶えようと思ってだな」
美代子は嬉しそうに泣きそうになりながら「ありがとう」と言葉を放った。
一方、優花
優花は柔道のクラブに行く為に、いつも電車で4駅程の距離を通っていた。
駅で待っていると、公園でサッカーをしている子供を見る優花は小学生の頃を思い出した。
(優花の過去)
拓磨は学校の校庭でサッカーを昼の休み時間に友達としていた。
それを窓際で優花はいつも見ていた。
優花「そういえばそんな事もあったな、」と言っていると電車がやって来た。
一方、久家
久家は丁度、買い物をしていた。
すると松井も同じスーパーに買い物に来ていた。
久家はネギを取っていると、松井の顔が目に入った。
久家「あれは、松井じゃねぇか」
松井は豆腐と肉コーナーに行くと、松井は気づかずにレジに向かった。
久家もレジに向かうと、目が合った二人。
松井「あっ、貴方は確かえっと…くっ、くっ」
久家「久家です!」、内心「自分から名乗っちゃった」
松井「そうそう、久家さん。いや〜久しぶりですね。元気にしてましたか?」
久家「あ〜まぁその元気にやってますね。」内心「何だこの平凡な会話」
松井はスーパーを出ると久家もその後に出たが松井さんは車に荷物を入れて、少し話をした。
久家「昔はウチの生徒を全国大会まで導いてくれてありがとうございます」
松井「良いんですよ、この松井ですから」
久家は反応しずらくてにっこりと笑った。
久家「それより、今日は良い天気ですねぇ〜」
松井「はい?」
久家「あぁ、何とな〜く。そう思っただけですよ。」内心「誤魔化せてるのか?」
松井「そうだったんですね、久家さんはあの後、奏恵さんでいろいろとショックだったでしょう。」
久家「えぇ、時間が経つのは早いものです。」
松井「あの後は奏恵は何をしてたんですか?」
久家「聞いてないんですか?」
松井「はい、あの後は亡くなったとしか聞いておらず…」
久家「バイクの修理屋を開いたんですよ、その後に亡くなったんです…単に病弱だったので無理し過ぎだったんです。」
松井「そんな事があったなんて知りませんでした、今度墓参りに連れてって貰えませんか?」
久家「えぇ、良いですよ。きっと奏恵も懐かしの顔で喜ぶと思います!!」
松井「じゃあ私はこれで失礼します」
久家は軽く頭を下げて手を振って家に帰った。
一方、拓磨
拓磨「唐突に告白は不味かったか?」と反省しているような感じで部屋の窓の外の空を見ていた。
拓磨「こうしてても仕方がない、俺はもう一度だけ気持ちを伝えてみよう…あぁ〜でも2度目のハンデはなかなかしんどいな〜勢いで言えたから良かったけど…」と髪をクシャクシャにしながら鏡を見て、「俺なら出来る」と言って髪をまた元に戻して家を出た。
柔道のクラブを覗きに行こうとすると、そこには優花がいた。
拓磨「やぁ」優花「やぁ、この間は楽しかったね。なんだか風も強くて、」
拓磨「うん、本当に美味しかった。あのさ、」
優花「ん?何?私の事が好きなんだっけ?」
拓磨の内心「単刀直入だ…」
拓磨は心臓がバクバクした。
優花「いいよ、」
拓磨「えっ?ほんと?」
優花「女の子に同じ事を何度も言わせるもんじゃありません、じゃあ私はこれから柔道するから」
拓磨「あっ、はぁ行ってらっしゃい」
優花「良かったら相手してあげようか?」
拓磨「あっ、いや〜急用を思い出して、また今度会おう」
優花「そっか、じゃあまた今度、」
一方、松井
松井「母さん、買ってきたぞ〜」
美代子「あら、ありがとう。」
松井「そういえばさっき、スーパーで昔の知り合いに偶然会ってだな」
美代子「まぁ、そうだったんですね。」
松井「昔と変わり無かった、それでだ、今度は昔の知り合いの仲間の1人の墓参りに行ってくるけど構わないか?」
美代子「悲しい事があったんですね…いつ行くんです?」
松井「今度の土曜日だ」
美代子「そうですか、では気おつけていってらしゃいね。」
松井「あぁ、」と言いながら新聞を見た。
一方、拓磨
「さっきの俺、何してたんだ?あれは恋なのか?」と言いながら嬉しそうなテンションで家に帰った。
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